千葉・ちいき発
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平成17年8月25日
1 経緯
(1)「障害者差別に該当すると思われる事例」の募集
差別とは何かを考える場合、「理不尽な悲しい思い」をしてきた当事者の経験を出発点にすべきです。このため、差別をなくすための取組みの検討の基礎資料として昨年9月、広く県民から「障害者差別に該当すると思われる事例」を募集したところ約700件の応募がありました。(詳細は下記ホームページ参照)
(2)「障害者差別をなくすための研究会」の設置
本年1月、条例の制定をはじめ様々な取組みについて、具体的な検討を行うため「障害者差別をなくすための研究会」を設置し、これまで12回開催してきました。
2 中間報告の特徴
障害者の差別をなくすためには、障害者だけでなく、幅広い層の県民の参加によって検討を進める必要があります。このため、研究会の委員も福祉関係者だけでなく、教育関係者、企業関係者等も参加しており、また、経営者団体、労働組合、医療、教育関係団体等と意見交換を行いました。このような千葉県独自の進め方でうまれた中間報告の主なポイントは次のとおりです。
(1)すべての人が暮らしやすい地域社会をつくるために
差別の問題は、差別される側vsする側という対立構図で議論されがちですが、すべての人がその状況に応じて暮らしやすい社会を作るという共通認識に立って障害のある人もない人も互いに取り組むことを基本とすべきです。
(2)相互理解のため障害当事者からの発信も必要
障害者に対する理解を広げ差別をなくしていくために、障害当事者が自らの暮らしにくさや思いを積極的に周囲に伝えていく必要があり、そのために、障害者が発言できる機会を増やし、環境を整える必要があります。
(3)幼い頃から知り合う機会が重要
子どもの持つ感受性のすばらしさに着目し、幼い時から自然な形で同じ価値をもつ存在として一緒にいる場を持ちつづけることで、社会が多様な特性の人々からなることを実感できるようになります。
(4)まずはソフトルールから
差別かどうかは人間関係や周囲の状況等により変化する微妙な問題であり、また、差別に対する県民の意識が熟していない段階では、罰するというようなハードルールには限界があります。条例で白黒をはっきりさせることにこだわるのではなく、まずは相談や調停を行う機関の設置や事業者名の公表といった柔らかなルールを作って、事例を積み上げて、肉付けしていく方法が効果的です。
(5)罰するより理解を広げる仕組みが必要
差別行為を罰する・取り締まるという発想だけでなく、一所懸命、十分な配慮・取組みをしている人をみんなで応援していく仕組みづくりをすべきです。障害者にやさしい人、差別解消に努めている人を応援する条例を目指すべきです。
3 今後の予定
(1)タウンミーティング等の開催
今後、この報告をもとに幅広い県民の方々と議論を深めるため、県内各地で様々な形のタウンミーティング等を開催していきます。
(2)研究会での検討
今後、研究会では、各分野における差別をなくす取組みのあり方や権利侵害に対する救済の仕組み等について検討するとともに、条例になじまない差別についても学校教育や福祉相談の仕組みの活用も含め様々な形での取組みを検討していく予定です。 |
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