S君の中学3年修学旅行をひかえ、学校とお母さんの話し合いに同席した時のことです。「S君は毎週発売されるハンバーガー店のオマケを集めることに強いこだわりがあり、開店と同時に買っても集合時間に遅れてしまう。どうしたものか」と聞いていました。「それがその後の旅行を混乱なくやり遂げることに繋がる」と、担任も介助の先生も当然のことのように受け止め、校長先生も「介助の先生がS君を連れて後から東京駅に合流すればいい」と。
その後も、日程表を見ながら細々とした打ち合わせが続きましたが、お母さんが安心して送り出せる話し合いでした。横で聞いていて無性に嬉しくなりました。
今回の修学旅行には、介助の先生がつく子がS君の他に2人参加したそうです。先生方は夜もろくに眠れなかったと思います。おかげで、S君は皆と一緒に、中学生活最大のイベントを楽しい思い出として終えることが出来ました。
今はずいぶん落ち着きましたが、一時期、S君は非常に不安定な状況に陥っていました。そのとき療育専門家のアドバイスを受けながら、S君に関わる皆でつくった"S君対応虎の巻"を、学年だけでなく、先生全員が共有できるように職員会議で取り上げたそうです。打ち合わせのときも、校長先生の手にはその虎の巻がありました。
普通学級では悲惨なことだけでなく、いい話が沢山あるんですよ。だからこそ障害があっても皆と一緒にいることが当たり前になって欲しいと思っています。
(Y.S.)