研究会の位置付け等
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「障害者差別をなくすための研究会」は、「第三次千葉県障害者計画」(平成16年7月策定)を官民協働で実行する仕組みの1つとして「第三次千葉県障害者計画推進作業部会」の下に設置されたもの。
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障害当事者や福祉関係者のみならず、教育関係者、企業関係者など県民各層から公募等により選考した29名の委員により8ヶ月、計12回にわたり議論。
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昨年9月〜12月に募集した「障害者差別に当たると思われる事例」の分析を中心に「差別とは何か」「どうしたらなくせるのか」等を徹底して議論。併せて企業団体、労働組合、医療・教育関係団体等との意見交換を実施。
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「差別をなくすための取組み」の全体像
1.「差別をなくすための取組み」の意義
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障害当事者一人ひとりにとって、その人らしく地域で暮らすことを実現すること。
この場合、そもそも「差別とは何か」が明確でないため、障害問題に対する共通の理解とルールをつくることが必要。
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障害者に対する理解を広げる「県民運動」となること。
県民全体で障害者の問題を考える機会となり、「障害のある人もない人も当たり前にいる」という県民文化を創造。
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「あらゆる差別のない地域社会」を実現する出発点となること。
長い人生の中では誰しも自分の責任ではない暮らしにくさを経験しているはずであり、差別をなくしていくことを自分の問題と考え、「あらゆる差別のない地域社会」を実現することが重要。
2.「差別をなくすための取組み」の方向性
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差別される側vs差別する側という対立構図ではなく「すべての人が状況に応じて暮らしやすい社会を作るためにはどうすればよいか」という問題意識を、障害のある人もない人も共有することが重要。
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障害を隠さざるを得ない状況もあるが、発言できる環境を整えた上で、障害者も自らの「暮らしにくさ」や思いを積極的に周囲に伝える努力をする必要がある。
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表面の現象を抑制するだけでなく、背後にある原因も含めて、社会の仕組みそのものを変えていける仕組みが必要。
3.「障害を理由とする差別」とは何か
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法律上の定義などにとらわれず、「何らかの心身における損傷・疾病等の特徴のために、社会生活において何らかの困難を継続的に抱えている人」を「障害者」と考えるべき。
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「自分の責任でないことで他の人とは異なる不本意な取扱いや不利益を受けること」を「差別」と考えるべき。
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差別には「不利益取扱い」と「合理的配慮の欠如」等の類型がある。
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虐待は、時には生命を脅かしたり、犯罪に該当したり、保護責任の高い人が行う場合が多いため、通常の差別と異なるアプローチを検討。
4.どうしたら「差別」はなくせるのか
(1) 条例づくり
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条例には法律・政令と抵触する内容が定められないという制約があるが、公害防止条例のように、全国レベルでは合意困難な立法の先駆けとしての役割が期待できる。
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県民の意識を高めるためには、白黒を決着させることにこだわらず、県民の意識と大きく乖離しない範囲で、まずは柔らかいルールを作って、事例を積み上げ、肉付けしていく方法が効果的。
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解決のための仕組みとして、条例の法的限界や司法事情を考慮すれば裁判より、相談や調停業務を行う外国の立法例が参考になる。身近なところに窓口がある県独自の救済機関が必要。
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罰則については、「何が差別か」が明確でなく、処罰の必要性について共通理解もないこと、罰を恐れて障害者との接触を避けるなどの副作用もあることから、公表など多様で間接的な手段を検討すべき。
(2) その他の取組み
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条例になじまない事例も、事例集を作成し、学校教材や相談指針などに活用するなど、様々な取組みを合わせて行う必要がある。
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「罰する」「取り締まる」という発想だけでなく、身の回りの小さな理解を広げるエピソードを集めるなど、頑張って取り組んでいる人や企業・団体などをみんなで応援する仕組みが必要。
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国の障害者施策に対する提言
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○ 障害者自立支援法案のケアホーム及びグループホームは、「ミニ施設」化しないよう十分な検討が必要。
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自立支援法案では、利用者の応益負担が求められているが、重度の障害者に配慮し、適切な減免等の措置を講じるべき。
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身体障害者についても、個別のニーズに応じて、グループホームを利用できるようにすべき。
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精神病院及び在宅障害者が地域生活を体験できる仕組みを創設すべき。
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精神障害者のグループホーム利用者についてもホームヘルプ利用を認めるべき。
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グループホーム利用者に対するホームヘルプサービスについて、複数の者に対する同時支援ができるよう制度の柔軟な運用を図るべき。
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