長生夷隅地域福祉ネットワーク 池口紀夫さんの緊急勉強会の感想です
「障害のある人に対する理解を広げ、差別をなくす条例」(案)の緊急勉強会を主催し、準備くださった方々ご苦労様でした。そしてありがとうございました。たくさん学ばせていただきました。条例案の説明やQ&Aもとても理解しやすかったです。そして高梨さんの締めにはとても感銘を受けました。
今回の勉強会の内容と議論には幾つかのテーマがあったと思いますが、これからさらにこの条例案を推進普及していく意味で、共感し学んだ事の一つを述べます。高梨さんは、自分は視覚障害者としてではなく、県民の一人として策定作業に参加したのだと強調されました。佐藤彰一さんはこの条例案は障害者の為だけではなくすべての県民の為の条例案だ、と強調されました。「差別を受けてしまうという事態」を障害者だけに「封じ込めない」、ひいては一人の人間の人生や生活の問題を「障害問題」という括りに閉じ込めないという姿勢が込められていると受け取りました。私の後輩で知的障害児の親である福祉ワーカーが「家の子は自分のことを障害児だとは思っていないよ」とよく言います。親やお友達や先生が呼ぶ「Aちゃん」という人格に込められた全体として、受け止めているのでしょう。世の中には様々な「個人的な事情」を抱えて生活している人がほとんどではないかと思いますが、「障害性」はその一つの事情だと思います。その障害性の故にその人の人格や生活上の困難性が理解されなかったり、社会の仕組みや関係から排除されたり、不利益を受けたりすると「その個人的な事情が」社会問題となり「障害者問題」となります。
わたしは中核地域生活支援センターのコーデイネーターとして日々相談者と向き合います。そのとき「障害者」としてその人と向き合うと、その人の思いや訴えや願いを聞く事は出来ません。すれ違ってしまいその相談者を傷つけてしまいます。世界に一人しかいないAさんという人と向き合う事で初めて気持や思いの交流が可能になります。まあ、それは当たり前のことではありますが、障害という一つの事情(とても大変な事情ではありますが)の中にその人を封じ込めてしまうと、とても失礼な事になってしまいます。
そんな事を日々体験しているので、この条例案をすべての人々の抱えている「困難な事情」の手助けになる杖になればと強く願うのです。そういう意味で、県民各層に広げていければと思います。障害のある人とない人という二分法を越えて普及すればと願います。
中核地域生活支援センターに「差別相談」が多く寄せられ、スタッフ体制も拡充されてしっかり受け止めていければいいなと思います。私の団体でもこの条例案を普及する為に活動していきたいと思います。