Q&A 障害の定義についてもう一度おしえてください
「障害」とは何か――。それは奥の深い問題です。まず、日本の法律では障害者がどのように定義されているのかを見てみましょう。
障害者基本法は「身体障害、知的障害又は精神障害があるため、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者」としています。ただ、身体障害など個々の障害の定義はされていません。
そこで、身体障害者福祉法を見てみると、身体障害者とは「別表に掲げる身体上の障害がある18歳以上の者であって、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたもの」と定義されています。精神障害者は「精神分裂病(統合失調症)、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者」と精神保健福祉法で定義されています。知的障害者については法律上の定義はありません。
しかし、現行法には大きな問題点があります。それは、発達障害者、高次脳機能障害者などが抜け落ちていることです。発達障害児は全校生徒の6%以上という国の調査結果があり、高次脳機能障害は若年層だけで7万人とも言われています。
また、国際標準である「社会モデル」の考え方に沿っていないことです。「社会モデル」とは、障害は「個人の特徴」だけでなく「社会環境との相互作用」から発生する、という考え方です。このため、昨年11月に成立した障害者自立支援法では「施行3年を目途として障害者等の範囲等について検討」と明記されています。
これを受けて、千葉県の条例案では、現行法の定義で抜け落ちている障害者もカバーし、国際標準である「社会モデル」の考え方を基本としました。それが、@心身の状態が、疾病、変調、傷害その他の事情に伴いAその時々の社会的環境において求められる能力又は機能に達しないことによりB日常生活又は社会生活において継続的に制限を受ける状態−−との定義です。ただ、定義が広がったとはいえ、通念上の「障害者」の枠を超えるわけではなく、自己破産者や失業者や外国人などは含まないことは言うまでもありません。
現在検討されている国連の「障害者権利条約」でも、「『障害』という語は広く定義されるべきであると提案した。……障害の医学モデルではなく社会モデルを反映する定義とすべきことに一般的な合意が得られた」とされています。
(県資料などを参照。文責・野沢)