千葉・ちいき発


やっぱり必要、みんなで作ろう!26

vol.26

県議会報告(3月8日、代表質問)

高崎照雄議員(公明党)の質問

 公明党はもともと、弱い人を助ける福祉の党として出発している。しかし今は、上から"何かをしてあげる"というのはまちがい。さまざまな状況にある全ての人が、人間観を大事にし、人権感覚をもち、全てのことに社会参加できるような社会。また、障害や病気はだれでもいつでもなりうるものという認識をみながもつ。このような社会にはまだなっていない。この条例があることで、社会がそこに追いついていくのではないか。知事がこの条例成立を決断したのは、どういう思いからか、それを聞かせていただきたい。

堂本知事の答弁

 15年8月に幕張でチャレンジド・ジャパン・フォーラムが開かれたとき、参議院の浜四津議員が来られた。その時に、米国のADA法、障害者差別禁止法は、障害者を「保護の対象」ではなく「一緒に社会を作る、支える立場」と位置づけているというお話をされた。また、日本をユニバーサル社会に変えていくための基本法制の検討をしている話もあった。障害を「個人の問題」から「社会的な問題」と捉えることへの転換という話だった。その話が、私が問題意識を持つきっかけとなった。
 条例づくりは、16年7月の障害者計画で「国に障害者差別禁止法制定を働きかけ、県独自に条例を検討する」と書かれたことから始まった。1年かけて、白紙の段階から当事者を含む県民の方たちと行政が協力して、21回の作業部会や多くの県民が参加したタウンミーティングを通じて作成した。障害があっても自分らしく地域で暮らしたい。そのためには、地域の誤解や偏見をなくすことが重要と提案された。
 障害のある人もない人も暮らしやすい千葉県のために欠かせないと、地域生活づくり宣言の中でも採り上げた。1年半かけて、県民が参加して、事例の募集、研究会やミニタウンミーティングなどで議論された。丁寧に作ったのがこの条例。私の決断がなかったとは言わないが、県民の皆様、障害をお持ちの方、車椅子の方、目の不自由な方、耳の不自由な方、みんなで作り上げたものだというのが正直な思い。
 障害の問題は、人間観、人生観、人権に直結するとの認識が定着しつつあると言われたが、私も同感です。

高崎議員の質問

 議会での審議は丁寧に行われるべき。条例制定に向けての知事の思い、姿勢を重ねて確認しておきたい。

知事答弁

 公明党は、浜四津議員をはじめ、熱心に取り組んでこられた。敬意を表したい。今まで日本は、障害者差別が強い国と言われている。特に、精神障害者はずっと福祉の対象ではなく、自立支援法ではじめて、ほかの身体・知的障害と並んで同じ立場に立つようになった。最初の精神科医であった呉氏が「この病を得たるの不幸のほかにこの国に生まれたるの不幸」という名言を残したが、その状況が延々と続いてきた。
 障害者計画で、障害者ご自身がそのような問題に声を上げられた。なぜ鳥取の方たちが評価しているかと言うと、この条例案が観念的でなく、事例を集め、差別をなくしていくためにはどうしたらいいのかを議論する中で、対立関係とか罰則ではなくて、理解を深め、支え合っていくことが大事とされ、条例が作られたこと。
 非常に控えめな条例だが、障害者基本法の改正の中で地方自治体の責務とされている部分への対応にもなっている。予算委員会や常任委員会でできる限りの審議をいただきたい。虚心坦懐にご説明をしたい。議会にいらっしゃることができない障害者の方も大勢いるが、この議会で成立することを待ち望んでいる。十分にご審議いただいたうえで、ぜひ、成立をさせていただきたい。

小松実議員(共産)の質問

 袖ヶ浦福祉センターなどを指定管理者として「民間にできることは民間に」との知事のやり方は、条例の精神とは合わないのではないか。

知事答弁

 指定管理者制度の目的は、公立施設の管理に民間のノウハウを活用し、住民サービスの向上と効率的な運営を図ること。この条例は、本人の意に反して、入所施設の生活を強いることを「なくすべき差別」として、サービス主体が官でもと民でもと、障害者が差別を受けずにその人らしく地域で暮らせる社会を目指すもの。指定管理者制度と、施設から地域への移行を目指す本条例とは、目的が違う。

☆7日の代表質問を傍聴した人の感想です☆

 性急すぎるということをお二方(議員)とも言っていらっしゃいましたが、私達にとっては、パブリックコメント、タウンミーティングと、とても丁寧に条例が作られているし、委員会も他に例がないほど、たくさんの議論をしているし、性急という感じをまったく持たないのですが、議員さんにとっては、たくさんの案件の中の一つで、それが急に注目をあび、という点において、納得いかないのかもしれません。あわてて、最終報告書を読み直したのですが、今日の質問についても、報告書の中でとても丁寧に、繰り返し、説明されています。条例がかえって、県民との軋轢を起こしたり、県民が障害者を面倒な存在として遠ざけてしまうのではという懸念は、委員会の中に最初からあり、そういう条例にならないよう、でも、実際に苦しんでいる人の手助けになるよう実効性のあるものでもありたいと、徹底的に討議され、それがこの報告書にまとまったのだと思っています。出来ることなら、今日の質問に対して、民間との話し合いの場もあれば、いいなと思いました。

<呼びかけ人> 田上昌宏(千葉県手をつなぐ育成会会長)/竜円香子(同権利擁護委員長)/大屋滋(日本自閉症協会千葉県支部長)/土橋正彦(市川市医師会長)/植野慶也(千葉県聴覚障害者連盟会長)/野内恭雄(千葉県精神障害者家族連合会会長)/成瀬正次(障害者差別をなくすための研究会委員・全国脊髄損傷者連合会副理事長)/佐藤彰一(同・法政大大学院教授)/高梨憲司(同・視覚障害者総合支援センターちばセンター長)/野沢和弘(同・全日本手をつなぐ育成会理事)
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