千葉県議会健康福祉常任委員会で20日、条例案について3時間を越える質疑があり、同条例案の継続審議が決まりました。新聞報道の抜粋を紹介します。
本質議論なく対立目立つ(読売新聞)
堂本知事が全国に先駆けて制定を目指した「障害者差別をなくす条例」は、県議会で単独過半数を占める自民党の反発に遭い、今議会での成立はなくなった。
条例案は、2004年7月の「障害者地域生活づくり宣言」に基づき、県民から差別事例を募り、障害者らと意見交換を重ねながら作成された。「白紙の段階から」(堂本知事)の県民参加型で、差別の実態を検証したうえで練り上げた。
条例案で自民党が最も問題にしているのは「知事が悪質な事案を公表できる」とした点で、事実上の罰則にあたると主張している。しかし、公表は極めて悪質なケースに限られ、条例の実効性を担保する最終的な手段とされている。また、担当者を置くなどの余裕がないケースは適用除外とすることも定めている。
条例案検討の過程では、誤解や偏見による理不尽な差別に、障害者の多くがつらい思いをしている実態が明らかになった。「暮らしにくさ」を感じている人がいる以上、何らかの解決策を打ち出すのは議会や自治体の責任だ。今後、本質的な議論の深まりが期待される。
知事対自民、鮮明に(朝日新聞)
千葉県議会健康福祉常任委員会は、障害のある人もない人も共に暮らしやすい県づくり条例案の取り扱いについて、賛成多数で継続審査を決めた。
この日の委員会に参加したのは12人。採決にあたり、継続審査に自民党委員7人が賛成。公明党、共産党、「市民ネット・無所属市民の会」の各委員は賛成せず、民主党の委員は途中退席し、採決には参加しなかった。
自民党の委員はこの日の討論で、条例案の「差別の定義があいまい」とし、条例がかえって「障害のある人とない人の溝をつくってしまう恐れがある」などと論じた。さらに、条例案がなくすべき差別として、教育や公共交通機関、不動産取引などの現場での差別事例を列挙しているにもかかわらず、「(これらの)関係者にまったく知らされていない」と指摘した。
共産党と「市民ネット・無所属市民の会」はこの日の委員会で条例案に賛成を表明した。それぞれ「条例案の精神を発揮させるためには県側の努力が必要だ」「条例案は(障害者差別をなくす)道筋をつけるものだ」と述べた。
堂本知事はこの日夕、「残念に思う。(条例案は)差別のない社会をつくる第一歩になるもの。議会の理解を得られるよう努力していきたい」とコメントした。