千葉・ちいき発


やっぱり必要、みんなで作ろう!47

6月議会の日程

 とりあえず、6月27日、28日、29日、30日には県議会の代表質問があり、障害者の条例案について質疑が行われるとみられています。さらに7月4日には常任委員会でこの条例案について集中的に質疑が行われる予定です。2月議会のように傍聴席がガラガラだと、「一部の障害者が騒いでいるだけ」と思われてしまいます。万障繰り合わせて傍聴をよろしくお願いいたします。

なんでもQ&A

 6月の議会を前に、各地で勉強会が続々と開催されていますが、会場からの質問で多いものを四つ取り上げてみました。きっと、県議の先生たちや一般県民の間でもこのような質問や疑問が多いものと思われます。条例案について説明する際に参考にしてください。

Q なぜ全国に先駆けて条例をつくる必要があるのですか。

A この条例は、県民と行政が一緒に作り上げた「第三次千葉県障害者計画」で提案されたものです。これを受けて、16年9月、千葉県が「差別に当たると思われる事例」を募集したところ、日常生活の様々な分野にわたって、障害者が「理不尽な悲しい思い」「暮らしづらさ」を抱えて暮らしている実態が明らかになりました。
 このような「理不尽な悲しい思い」「暮らしづらさ」というものは、当事者でなければ気付きにくいものです。
 確かに障害者差別は千葉県だけの問題ではありませんが、千葉県では、当事者を含む県民が全く白紙の段階から計画や施策づくりに取り組み、当事者でなければ気付きにくい問題も行政の課題として取り上げてきています。この条例づくりはその典型例と言えるでしょう。

Q この条例ができると、障害者が条例を盾にとって様々な場面で権利主張し、却って一般県民の反感を招くような事態になるのではないですか。

A この条例の最も大きな特徴の1つは、「障害者の敵を懲らしめる」という発想ではなく「理解者、味方を増やしていく」という発想にあり、条例の「基本理念」として
・様々な立場の県民がそれぞれの立場を理解し、相協力すべきこと
・差別をする人とされる人という対立の関係を克服し、すべての人がその人の状況に応じて暮らしやすい社会をつくるべきこと
などを盛り込んでいます。
 また、差別と思われる行為があった場合には、罰則ではなく、第三者的な立場の相談員等が双方の言い分を聞いて意思疎通を図り、関係者が知恵を絞って問題解決に取り組むこととしています。
 条例ができることで、障害者がかえって暮らしづらくなるのでは意味がありません。私たちとしても、行政とともに、このような条例の趣旨を広く県民に広げていくことが大事です。

Q この条例ができると、普通学級へ子どもを入れたい保護者と学校との対立が深まり、教育現場が混乱するのではないですか。

A この条例案では、「障害を理由として、本人または保護者が希望しない学校への入学を強いること」を「なくすべき差別」として例示していますが、これは、教育委員会による就学指導の仕組みを定める現行法を前提にした上で、その過程で本人や保護者の意向に十分配慮し、理解を得ることを求める趣旨です。
 これは今でも行われていなければならないことで、この条例によってルールを変わるわけではありません。教育委員会や市町村の独立性・自主性に配慮する旨の規定もあり、この条例のために教育現場が混乱するとは思われません。
 また、付き添いなどの負担については、第三者的な立場の人が間に入ることで、保護者等との意思疎通が容易になり、また、ボランティアや地域住民の協力など地域との連携が可能となるなど、問題解決につながる可能性が増えると思われます。
 保護者と学校だけでなく、地域の様々な人たちを巻き込んで、子どもたちの適切な教育をバックアップしていく、それがこの条例の目指すところです。

Q この条例は「障害を理由とする差別」のみを取り上げる趣旨だとしても、会社が「能力に応じた賃金」を支払ったつもりでも結局「障害を理由とする差別」と言われてしまうのではありませんか。

A 確かにそうした不安や批判が存在することは理解できるのですが、それは、個々のケースによって、それぞれ話し合いの運用の中で工夫されるべきものだと思います。この条例案の規定がなければ、逆に、このような会社側と障害者側の事実認識の齟齬があるトラブルを、適切に話し合う枠組みが存在しないことになります。現状はそうです。あちこちで、雇用者と被用者が「できない、などの主張は許さない」「無理難題をいうのなら出ていってくれ」「それは差別意識だ」などと、不信感を増幅するやり取りが重ねられていることが想像できます。
 事実的前提が違っているにしても、条例の規範的な枠組みを共有することは、雇用者と被雇用者の双方で話し合いの枠組みができることを意味しており、大きなメリットがあります。「能力が違うといっていることは障害者差別だ」というのではなく、「障害を理由としているかどうか」を冷静に切り分けていけるからです。「できるけどやらない」とか「できなくてもやるべきだ」などという主張は少なくとも排斥され、できるのかできないのかを、互いに工夫してく足場が築けるはずです。

<呼びかけ人> 田上昌宏(千葉県手をつなぐ育成会会長)/竜円香子(同権利擁護委員長)/大屋滋(日本自閉症協会千葉県支部長)/土橋正彦(市川市医師会長)/植野慶也(千葉県聴覚障害者連盟会長)/野内恭雄(千葉県精神障害者家族連合会会長)/成瀬正次(障害者差別をなくすための研究会委員・全国脊髄損傷者連合会副理事長)/佐藤彰一(同・法政大大学院教授)/高梨憲司(同・視覚障害者総合支援センターちばセンター長)/野沢和弘(同・全日本手をつなぐ育成会理事)
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