条例案がピンチ!
6月議会が開会しました。2月議会で条例案が継続審査になったとき、6月議会で成立…との希望的観測が流れていましたが、そうではない状況です。新聞各紙が伝えるところによると、堂本知事は条例案の修正を検討していることを表明し、9月議会で修正案を出す意向ですが、自民党側は現条例案の取り下げを求めているというのです。取り下げずに修正もしないままならば6月議会で否決する声が強いとも報道されています。
「一度取り下げてから出し直せばいい」と思う人がいるかもしれませんが、こういう条例はいったん取り下げてしまうと次になかなか提出できないものです。じっくり時間をかけてより良い条例にしようとどれだけ思っても、取り下げれば事実上の廃案になる恐れもあり、なんとも悩ましい局面なのです。
否決・廃案だけは何としても避けなければなりません。27日(火)午前10時からの県議会代表質問をぜひとも傍聴しましょう。どんな議論が行われるのか、みんなでしっかり聞きに行きましょう。
やっぱり議会は重要です。どんなに障害者や家族が切望している条例でも、議会に理解してもらわなければ何も始まりません。ちょうど来年には千葉県議会選挙(統一地方選)もあります。どんな人が議員で、どんな発言を議会でしているのか、私たちは意外に知らないのではないでしょうか。それなのに議員の先生に「障害者のことを理解してください」と言うのもなんだか失礼ですよね。もっと議員のことを知り、もっと議会に注目しましょう。
目まぐるしい勉強会!
この3〜4週間、連日のように勉強会が県内各地で開かれてきました。私が参加したところだけでも計16カ所に上ります。事務局を担っていただいた各地の関係者のみなさんに感謝いたします。勉強会はどこも熱気がありました。100人以上詰め掛けたところがいくつもありました。20人程度のところもありましたが、少人数のところは参加者たちと突っ込んだ意見交換ができたりもして、とても有意義でした。ムダだと思ったところは一つもありません。また、どこの会場も地元の県議や市議の先生方の姿があり、私たちの思いを受け止めてもらえたと思います。
勉強会を通して気づいたことがいくつかあります。
まず、条例案や、それを成立させようという私たちの活動が、障害関係者の間にも意外に知られていないことです。「初めて聞いた」「知らなかった」という人がどこの会場にも大勢いました。条例ニュースを見たこともないという人も大勢います。障害関係者の間の情報伝達の至らなさを痛感しました。ただ、勉強会に参加した議員の先生たちには、条例案をゼロから作ってきた民間の研究会や障害者や家族の「熱」を知っていただけたと思います。
障害者福祉のサービスを手厚く確保するために行政に対して要望活動をする……というのが、これまでの私たち障害関係者の「運動」であったように思います。現在の自立支援法についても勉強会を開催すれば会場に入りきれないくらいの人が集まり、反対集会を開けば日比谷公会堂が一杯になるほどです。
それに比べて、権利擁護や差別をなくす取り組みには何と無関心なことだろうか…と思ったりもしましたが、少しずつ条例のことが地域に浸透していく手応えも感じることができています。条例を成立させるだけでなく、そのプロセスこそが大事だという思いを一段と強く持つようになりました。
先日、厚生労働省の次期事務次官の辻哲夫さんと会いました。財政再建のために歳出削減が現政府の最大課題です。政府与党、経済界からの社会保障費に対する風当たりの厳しさを深刻に嘆いておられました。
このような財政事情、政府の方針の下では、行政当局にどれだけ予算増を要望しても、すぐには大きな効果は期待できないように思います。やはり、有権者や納税者に納得し理解してもらわなければ、このような状況を変えることは不可能だと私は思います。では、どうすれば有権者や納税者の理解が得られるのかと言えば、現在の社会での障害者の暮らしにくさをよく知ってもらい、共感してもらう以外にはありません。
ところが、日常的に差別や偏見や無理解にさらされていると、障害者や家族は少々のことではあきらめきってしまい、周囲の人々には障害者の暮らしにくさが見えなくなってきます。一方、その反動で過剰に反論したり攻撃したりする障害者や家族もいますが、そうすると今度は、一般社会はそのような障害者を敬遠するようになり、ますます溝が深くなります。
そのような残念な状況を改善していくためにこそ、今回の条例案が必要なのです。罰則ではなく、理解を求めることで障害者に対する差別や偏見や無理解を解消していくことが何よりも重要なのです。有権者や納税者に理解してもらってこそ、障害者福祉に十分な予算措置ができようというものです。そのもっとも大事な取り組みがいま、千葉県で行われているのです。
現在のような勉強会はこれからも必要だと思います。少しずつでも少人数でもいいのでこれからも県内各地でやっていきたいと思います。どこの勉強会に行っても、研究会の仲間と出会います。忙しい中、居ても立ってもいられずに駆けつけてくれているのです。どれだけ勇気づけられたことでしょう。いくつもの勉強会に参加してくれている山田晴子さん、森登美子さん、横山典子さんはじめ皆さんに感謝いたします。
不動産会社の経営者の立場で条例研究会のメンバーだった大網白里の野老真理子さんもいくつもの勉強会に駆けつけてくれました。あわてて仕事場に戻る私を駅まで車で送ってもくれました。その野老さんに言われた言葉が今も胸に残っています。
「野沢さんはあちこち駆け回っているから分からないだろうけど、地元でずっと生活している私には、街に流れる空気が変わってきたなあ、ということがよくわかる。この条例案を何とか成立させようという動きは、1センチずつ確実に前に進んでいる」
(文責・野沢)
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