●ハラハラ・ドキドキ・裏方ボランティア物語  えにし結び名簿の左端に★印がついた老若男女。MSW、PSW、PT、OT、介護福祉士、医師、医療事故の遺族、癌サバイバー、大学教授、ビジネスマン、ジャーナリスト……。多彩な顔ぶれの共通点は、たった1つ。国際医療福祉大学大学院の医療福祉ジャーナリズム分野を「ふるさと」と思っている裏方ボランティアの院生、卒業生です。 最初の10年は、仙台に拠点のあるNPO、全国コミュニティーライフサポートセンター(CLC)の方々が、一肌脱いで裏方をつとめてくださっていました。ところが、東日本大震災。「人は乱世にボラになる」の法則どおり、院生卒業生が立ち上がりました。CLCの方々からノウハウを教えていただき、不慣れな世界へと漕ぎだしたのでした。 ◆映像配信&ツイッターボラ  2010年から、実験的にUstream配信が始まりました。苦労するのは電波。プレスセンターも、夜の安い会場を求めて毎年流浪する第3部も、地下だったり、なぜか、電波の入りが悪かったりし、生中継はトラブルが多く心苦しい限りです。でも、海外にいらっしゃる「えにし」の方や当日会場に来られない方から温かいお言葉を頂くたびに、「次こそはもっといいものを!」という気持ちで臨んでいます。生中継の映像は、後日、Youtubeで見て頂けるようにアーカイブしております。URLのご案内は、えにしメールで。過去の映像はenishi-kids.comにまとめてリンクされています。 ◆資料配布ボラ  お手元の手提げの中に資料は、見本をお送りいただき、封入の順番を考え、細かい確認作業があるので一覧表完成は、当日の未明。朝10時には「袋詰めボランティア」を志願してくださった方々が会場に到着集合。送られてきた段ボール約50箱を開いて、セットしていきます。届くはずの資料が届かないこともしばしばで、ハラハラドキドキの連続ですが、それでも、膨大な資料400セットを1時間で終わらせるという離れ業に毎年成功(*^―^*)。資料袋の山は相当な重さになり、開始前から汗だくでの作業です。それでも「疲れより充実感でいっぱい」「来年もボランティア志願します」という声も飛び交い、皆様の貴重な思いを、資料袋の中に込めてお届けしています。 ◆プログラムづくりボラ  かつては、CLCの方が当日未明まで無料奉仕で印刷し、インクが乾いたところで仙台から運んできてくださったのですが、いまは、この道のプロの卒業生がレイアウトし、印刷はプロに。入稿が遅れると、とたんに値段が跳ね上がるので、徹夜仕事になるのは同じです。ことしは「えにし」のみなさんから、伝えたい思いの詰まった原稿が予測をはるかに超えて次々届き、2冊あわせて92ページにもなるという前代未聞の事態になり、用紙の手配が間に合うかひやひやでした。超ご多忙の中、印刷に耐えうる解像度の写真や細々したデータをお送りいただき、保存版の資料となるよう協力していただきました。 ◆名簿&胸の名札作り&満員御礼判定ボラ  当初はCLCの方たちが、手紙と返信ハガキをいれ、発送までひきうけてくださっていたのですが、いまはすべてメールで受信。えにしメールでお知らせすると、その日のうちに100人を超える申し込みが殺到します。必死でコピペし、エクセルに転記し、同時に、昼の部・夜の部の定員に達するかどうかを常にカウントします。キャンセル率が、極めて低く、みなさんが年に一度のこの企画を楽しみにしておられるのが、ひしひしと伝わってきます。印刷前に、参加者に名簿のPDFファイルを作成して確認メールを発送します。ところが、ご自身が記入された公開メルアドにミスがあるケース多く、エラーメールがかなりの数戻ってきて悪戦苦闘します。最終名簿から受付名簿を作成し、名札をプリントアウト。去年はウィンドウズ8に更新してトラブル続出、パソコンが壊れるというアクシデントで最悪の事態でした。でも、綺麗に出来上がった名簿や名札を見て、ひとりにんまりしています。 ◆受付まわりなど、もろもろ  会計、受付周辺の細々した仕事、会場案内、書籍販売、登壇者のお迎え、PCやプロジェクター周りのセッティングと操作、記録写真・映像、情報保障、全体統括。席をくじ引きで決め、名札も着けていただくため、お待たせしないために、事前打ち合せを重ねながら当日に臨みます。お釣りの1000円札をたくさん準備。掲示物、トイレのこと、もし雨の場合のタオル準備などなど、細かなことにも話が及びます。  事前には、会場の手配と交渉、横断幕の作成手配、登壇者垂れ幕など各種表示サインの手配、周辺のレストラン事情の調査、保育サービスの手配も。会の終了後は記録音声の文字起こし、写真の整理からウエブサイトへのアップ、動画の整理と公開……。イベントのプロとはほど遠いメンバーが、指揮命令系統があるようでない、ファジーな体制のなか、「思い」だけで進行にあたっていますので、数々の不行き届きがあるに違いありません。次回の改善に役立てさせていただきますので、どうかご助言をお寄せください。 ●おみやげは、「新たなえにし」 ◆「えにし」出生の秘密◆  福祉と医療・現場と政策の「新たなえにし」を結ぶ会は、2001年5月12日、ここ、プレスセンターで誕生しました。 制度や予算の壁にぶつかりながら道を切り開いている当事者や現場スタッフ、現場に学んで制度や政策をつくろうとしている行政官、首長、勉強熱心なメディア、研究機関のみなさん、あわせて、450人。  ところが、お互い見知らぬ人だったのです。それに気付いた方々の間に、この日、不思議な「えにし」が結ばれました。そして、毎年、「新たなえにしを結ぶ会」が開かれることになり、ことし、第14回を迎えました。 第1回、メディアは朝日新聞、お役所は厚生労働省がほとんどでした。きょうの名簿をごらんください。あらゆる種類のメディア、さまざまな省庁、自治体のスタッフ、市町村〜国会議員が参加してくださっています。 ◆ 糸ヘンづくし◆  胸元の名札の上下、このページの上下の縁飾りにお気づきになりましたか? 拡大すると、 縁…絆…縁…絡…縁…紡…縁…編…縁…網…縁…繋…縁…繰…縁…糺…縁…紀…縁…紗  「縁」という字のあいだに糸ヘンの字がはさまれています。「えにし」のグラフィックデザイナーの牧口一二さんが、つどいのために、デザインしてくださいました。メッセージが添えられていました。  「人間っていろんな糸ヘンが絡みあい、紡ぎあって、編まれているんですよね。ネット(網)とか、繋がるとか。人と人の絆や縁に不思議なパワーを感じています。どうぞいつまでも継続していただけますように。結び。……な〜んちゃって」。 糸ヘン飾りのついた名札は、ケースからはずして記念に、どうぞ。  「えにし」を結ぶには、情報保障が欠かせません。プロによるパソコン文字通訳、手話、磁気ループ、指点字を用意することが慣例になりました。詳細は、「えにし結び名簿」の最終ページをご覧ください。  だれもが参加できるように、介助者からは参加費をいただかないのも慣例です。お子さまづれへの支援も始めました。 ◆「えにし」のホームページと「えにしメール」と◆  志をつなぐ道具は、えにしのHP、http://www.yuki-enishi.com/ と「えにしメール」、そして、年に1度の「えにし」のつどいです。「えにしメール」は、マスメディアではあまり報じられない、でも大切な、「えにし」のみなさまの活躍をお知らせし、様々な分野を繋ぐための試みです。2001年には30通だったのが、いまは、米、英、仏、独、伊、スイス、オランダ、北欧諸国、マレーシア、ラオス、ルアンダ、ケニア、韓国…と、広がって5500人ほど。100人を超えるMLに転送してくださっている方もいたりして、輪は思いがけないところに広がっています。  福祉と医療・現場と政策をつなぐ「えにし」のHPでは、「えにし」の方々のご活躍をご紹介してきました。そこから3つの本が生れました。『恋するようにボランティアを〜優しき挑戦者たち』(ぶどう社)、『患者の声を医療に生かす』(医学書院)、『物語・介護保険〜いのちの尊厳のための70のドラマ』(岩波書店)です。『物語・介護保険』下巻には530人の登場人物の索引がついていますが、なかでも、目ざましい活躍をしているのは「えにし」の方々です。 ◆「つどい」の3つのシキタリ◆ その1:毎回、多彩、豪華な「えにし」の方が登壇してくださいますが、どんなに高名な方でも、交通費だけで講演料ナシ。「素晴らしい参加者の前で話すことができる、それは、“権利”なのだ」という理屈からです。 その2:このような催しにかかせないのが裏方です。10年間、全国コミュニティライフサポートセンター(CLC)のみなさんが義侠心で引き受けてくださっていました。ところが、仙台に本拠があるCLCを大震災が襲いました。3年あまりたったいまも、東日本の復興のために奮闘しておられます。そこで、CLCに教えていただき、最高齢73歳の国際医療福祉大学大学院 医療福祉ジャーナリズム分野の院生・卒業生が裏方ボラとして走り回りました。「えにし結び名簿」担当、ユーストリームなどインターネット担当、映写担当、受付・ご案内担当、資料の袋づめの段取り担当、本の売り子担当、そして、このプログラムのレイアウト担当etc.etc.  それを、様々な特技をもったボランティアのみなさまが、朝から会場に来て助けてくださっています。 その3 :席は、籖引き。「新たな」えにしを結ぶためです。話の糸口になる「名札」と「えにし結び名簿」を用意しました。恋が偶然の機会から生まれるように、名簿と胸の名札、そして、籖で偶然近くに坐った方や「えにし結びたい・む」で出会った方々と、日本を変える「えにし」が結ばれますように。