地域包括ケアシステムとは??? 一つの謎である 少子高齢社会と地域包括ケア 唐澤 剛さん(厚生労働省保険局長)   一つの謎である といっても仕方ないので、まず定義はこれ。 地域の実情に応じて 高齢者も誰もが、可能な限り、 住み慣れた地域でその有する能力に応じ その人らしい自立した生活を送ることができるよう、 医療、介護、介護予防、 住まい及び自立した日常生活の支援が 包括的に確保される体制 (地域医療介護総合確保促進法・社会保障制度改革プログラム法)  2013年 地域包括ケアシステム ○ 住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの実現により、重度な要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるようになります。 ○ 認知症は、超高齢社会の大きな不安要因。今後、認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも、地域包括ケアシステムの構築が重要です。 ○ 人口が横ばいで75歳以上人口が急増する大都市部、75歳以上人口の増加は緩やかだが人口は減少する町村部等、高齢化の進展状況には大きな地域差を生じています。    地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や、都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要です。 地域包括ケアの図はどう変遷したか ◆2011年 一体改革検討開始時の地域包括ケアの図 ○医療と介護が縦割り。急性期医療は地域包括ケアと関係ないという誤解。 ○右側の介護の図には、地域包括ケアセンターが中心。役所の機関が中心? ◆2012年 一体改革法案審議の地域包括ケアの図 ○右側の図は、生活の拠点である住まいが中心になった。 ○生活者の視点。その人らしい生活を支える。それぞれの人の人生の物語を  まっとうする。尊厳を確保する。 ○医療と介護部分がまだ縦割り。 ◆2013年 改革法成立後の地域包括ケアの図 + 植木鉢の図 ○住まいを中心に、生活支援・介護要望サービスがこれを支える。 ○医療と介護部分が縦割解消。医療の部分に病院と救急車がある。急性期医  療が地域包括ケアの一部であること。介護施設もその一部。 地域包括ケアは、地域で生活する人の目線! □地域(つながり) Community-based  人のつながりがあること   地域から生えてきたもの   □物語(寄り添う) Narrative-based   その人らしい人生の物語を尊重する     一人一人に寄り添う □包括的(生活者目線で一体的に) Integrated Care   安心して次のサービスステージに移行できる □急性期医療は地域包括ケアの重要な一部である □在宅から始まり〜再び在宅の循環的な医療介護サービス提供の仕組みをつくる  □地域における総合的なチーム医療介護によりサービスが連携して一体的に提供される 顔の見える関係とは? 継続的な ケア会議 定期的な 楽しい 研修会 皆参加できる円形テーブル議論 自由な意見の発表と交換 医師のリーダーシップと懐深さ(いばらないお医者さん) 地域市民との交流イベント 時々 飲み会 顔の見える関係を築く! □地域の総合的なチーム医療介護には、顔の見える関係が重要 □そのためには、継続的なケア会議が重要。しかし、会議の場で  ケアマネジャーなどはなかなか医師(主治医)に意見はいえない □継続的にケア会議のためには、医師が公平な参加と意見表明の機会を保障するリーダーシップを発揮する必要がある □誰でも自由に意見をいってよいということ。懐深く全体をウォッチし、参加を勧める □目標を共有し、ビジョンを示し、対等な関係を保障する 「あらゆる政策分野」の柱に 「地域包括ケアシステムの推進」を置く! □地域医療介護ビジョン・医療計画の作成  医療機関の機能分化と連携、医療介護連携など  □国民健康保険など医療保険改革     予防・健康づくり、医療費の重点化・効率化など                               □診療報酬改定  重点事項  □まちづくりや住宅政策  コンパクトシティ、地方創成など  □ICTの活用  ネットワークの構築、遠隔医療、在宅医療介護  □人材の養成確保  処遇改善、キャリアパス、職場環境改善(ノーリフトなど) ◆キーワード 地域(つながり) 物語(寄り添う) 生活者目線 循環的なサービスの仕組み 総合的なチーム医療介護 顔の見える関係 懐の深いお医者さん あらゆる政策分野の柱に 地域包括ケア推進を地域包括ケアシステムとは、介護が必要になっても、住み慣れた地域で、その人らしい自立した生活を送ることができるよう、住まいを中心に医療、介護、予防、生活支援サービスを包括的かつ継続的に提供するシステムである。  地域包括ケアは、地域と各人の物語に根ざしたケアを提供する。また、利用者の視点から医療・介護サービスが一体的に利用できる。 「地域」とは、単なる場所を指すのではなく、community-basedを意味する。 「物語」とは、narrative-basedであり、文字通りそれぞれの人の人生の物語を尊重することを意味する。 「包括」とは、integrated careであり、一体的なサービスを意味し、それは「生活者の視点に立つ」ものである。  急性期医療は地域包括ケアシステムの重要な一部であり、決して介護だけの問題ではない。在宅から急性期、回復期、慢性期、介護そして再び在宅へと循環する医療介護提供体制を構築する必要があり、医療提供体制の再構築は地域包括ケアシステムの創設と一体である。また、入院がフリーアクセスの我が国では、地域包括ケアを作るのが「望ましい」のではなく、「必ず」作らなければならない。   地域包括ケアで最も重要なのは、「顔の見える関係」であり、「連携」と同義である。それは、「多職種協働による地域における総合的なチーム医療介護」であり、地域の安心と信頼の基盤となるものである。顔の見える関係づくりには、ケア会議が継続して開催されている必要があり、医師の「懐の深いーダーシップ」が重要である。安心と信頼の基盤とは、「サービス利用者が次のサービスステージの見通しが立つ」ことを意味する。それは、医療難民や介護難民の発生を防ぐ。  地域包括ケアにおいて、在宅医療は大きな役割を果たす。それは単なる訪問診療の延長にあるのではなく、超少子高齢社会における医療のあり方にかかわる。在宅医療は、地域包括ケアシステムと本質的な部分で深く関連している。  未だ人類が経験したことのない超少子高齢社会を乗り切る方法は、地域包括ケアシステム以外にはない。それを作るにはいろいろな方法がある。共通のビジョンの下に、自分の地域にあった方法で、まちづくりとあわせて進めていく必要がある。 再び 地域包括ケアシステムとは □地域包括ケアとは、サービスが連携して、利用者の視点から一体的に提供される状態 □連携とは、サービス提供者間の顔の見える関係 □顔の見える関係とは、多職種協働による地域における総合的なチーム医療介護であり、安心と信頼の基盤となる □安心と信頼の基盤とは、サービス利用者が次のサービスステージの見通しがたつこと □地域包括ケアは、制度によってではなく、マネジメントによってつくられる