医療費と医療の質の部屋
(1997年9月19日 朝日新聞夕刊「窓」・論説委員室から)
「勘や経験や権威に頼った医療から脱却し、他の先進国のようにエビデンス・ベイスド・メディスン(証拠に基づいた医療)を政策の基盤に」と、社説で提案したところ、もっと詳しく知りたい、というお手紙をたくさんいただいた。
たとえば、世界中で発表されているおびただしい臨床研究の最新情報をもとに、患者一人一人に、もっとも有益で害のない治療法を選びだす手法だ。
日本では、長年、「証拠に基づかない」医療や行政が横行してきた。
こんなことはもう終わりにしたいと思う人たちが、「医薬ビジランスセンター」(浜六郎代表)を発足させた。「ビジランス」とは「寝ずの番」の意味、EBMの医薬品版である。
海外のこの種の医薬品監視組織には公的資金がそそぎ込まれているが、日本では熱意だけの旅立ちだ。 〈雪〉 |