優しき挑戦者(国内篇)
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救急患者のたらい回し、医師不足、介護崩壊の危機……その元凶として「骨太方針」「経済財政諮問会議」という馴染みの薄い言葉がメディアに登場するようになりました。 ◆「社会保障制度が死んでしまう」◆
「自民党にこんな人がいたのか」と参加者を驚かせ、感動させたのは、尾辻秀久さんの"過激発言"でした。
「経済財政諮問会議は、総理大臣の知恵袋です。小泉内閣のときは、ほとんどすべての政府の方針を決めていたと言っても言い過ぎではありません。これを財界関係と学者さん4人の委員が主導していました。経済と財政至上主義者でありますから、財政を立て直すためには、国民が泣こうと知ったことかという感覚の人達です」 ◆「あまりに少ない福祉現場の報酬」◆
1987年、精神病の人びとが、日本で初めてカメラの前で思いを語りました。タイトルは「人間らしく生きたい」。
「福祉現場の方たちの給与がなんと低いことか。国は月額、22万円くらいというけれど、実際に足で歩いて聞いてみると、施設長さんで月給17〜18万円。これでは、食べていくだけでも大変。使命感がいくらあっても、あまりに忙しくて病気になってしまう。1人欠けると、残った方がまた疲れきっちゃうという悪循環が起ころうとしています」 ◆「下がり続けた診療報酬」◆
鳥取県の南部町長の坂本昭文さんは、診療報酬を決める中央社会保険医療協議会の専門委員でもあります。
「同時に規制改革して、雇用主の都合のいいように、労働者の約3分の1が非正規労働者になってしまった。この人たちは社会保障制度に参加できないわけです。これでは、世代連帯の社会保障制度は崩壊せざるを得ないことになります。その厳しさを受けるのは、高齢者や女性や子供や地方。いわゆる弱者のほうに、全面的にしわ寄せが来ると危機感を持っています」 ◆「絵に書いた餅を、ホンモノに」◆
高齢社会をよくする女性の会理事長の樋口恵子さんは、堂本さんの言葉を引き取っていいました。
「初任給で3万円上乗せしなくちゃ、と私どもは、緊急提言の要望書をまとめ署名を集めました。あっという間に15万1267筆、が集まりました。それを厚生労働大臣に届けました。そして、昨日、衆議院で『介護従事者等の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律案』ってのが、可決されました」 ◆Voloの精神に忠実に◆
現場と政策、福祉と医療の間には、深くて広い河が横たわっています。そこに橋を架けようと、「志の縁結び&小間使い」を始めて8年になります。ふだんはメールとホームページで志を繋いでいるので、私一人の夜なべ仕事です。
呼び物は、席を離れての「えにし結びタイム」です。左の写真は、おしゃべりに夢中な人たちに、フライパンとすりこぎ、チベットからとりよせた鐘を鳴らしてシンポジウム再開を告げる司会の根岸親さんと福島容子さん、それぞれ、ポルトガル語とデンマーク語の達人です。
どんなに有名な登壇者でも、手弁当がシキタリ。この連載を載せてくださっている『ウォロ』の表紙にある「Voloは、『喜んで〜する』。命令形のない動詞で、市民の自発性を象徴する言葉」を忠実に守っているつどいなのです。 撮影は、映像記録ボランティアの (大阪ボランティア協会の機関誌『Volo(ウォロ)』2008年6月号より) |
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