「ゆずり葉」を観にいきました。全日本ろうあ連盟の創立60周年を記念した映画。
堅苦しかったり、歴史ばっかり流れる、おもしろくないもしれないな・・、と思いつつ、縁があって観にいった映画です。
これが、いい意味で、裏切られました。
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「聞こえない」からこそ出来る見せ方で、「こう来たか!」と最後は、もう、驚きと感動でいっぱいでした。
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号泣です。
一映画としてすごく素敵な映画でした。
主演はSPEEDの今井絵理子さんで、友情出演で林家正蔵さんも出ているので、余計に一般の映画っぽく見れます。
上映されてるのは区民センターとかで、上映日も限られているので広く知られていないのが残念。口コミで広がっていって、観にいける人が増えて、大きな劇場でやってほしいです。
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これはブログに現れた感動の言葉の、ほんの一部です。この映画を見ると、「これを大きな映画館で、みんなに見せるために何かしなくては」というボランティア精神がこみ上げてくるらしいのです。
実は私もその一人。ぜひ見ていただきたくて、この原稿を書いています。
プログラムには、こうあります。
2組の恋人達をつなぐのは、一本の手づくり映画に秘められた、愛と哀しみの奇跡!
人情あふれる東京の下町を舞台に、"もうひとつの美しい言葉・手話"で織り成す、幾つもの世代をつなぐハートフル・ストーリー
筋をここに書くことができないほど、ドラマティックなラヴストーリーです。
でも恋物語に終わらない厚みがあります。
それは、企画、脚本、監督を手がけた早瀬憲太郎さんのこれまでの生き方が裏打ちされているからかもしれません。
憲太郎さんは、NHKテレビの「みんなの手話」の講師もつとめているので、姿を見かけた方もいらっしゃるかもしれませんがそれは憲太郎さんのほんの一部です。
たとえば、耳の聴こえない子どものための教材としてのドラマや映画をたくさんつくってきました。
ろう児対象の国語専門学習塾「早瀬道場」塾長。そして、12年前に開校された「スマイルフリースクール」の理事長でもあります。
ここは、日本初の『ろうによる、ろう児のための、ろう教育』の場です。「次世代のろう児のために私たちは何が出来るのか?」「どのような大人に育って欲しいのか?」という、ろうの青年たちの自身への問いかけから生まれた非営利活動です。
社会で生きていく人間として必要な力を育て、社会のルールやマナーを教え、さまざまな出会いと体験を通して次世代の社会を築く力を養おうとしています。そこに集うこどもたちのはち切れそうな笑顔から、この活動の意義が伝わってきます。
ところで、この映画には、もう1つのストーリーが重ねあわせられています。
薬剤師の国家試験に受かりながら、耳が聴こえないという理由で資格を得られず、苦しむ女性の物語。
そのモデルは、憲太郎さんのパートナー、久美さんです。
久美さんは薬剤師の母に憧れて、ごく自然に薬科大学で学びました。
98年、卒業。国家試験には、1度で合格したのですが、壁が立ちはだかりました。
「耳の聞こえない者には、免許を与えない」という薬剤師法の欠格条項で免許申請を却下されてしまったのです。
けれど、あきらめずに社会に訴え、とうとう220万人以上の署名が集まりました。そして、2001年7月、ついに法改正が行われ、日本初のろうの薬剤師が誕生したのでした。
久美さんは、いま、この年開設した昭和大学付属病院聴覚障害者外来のスタッフとして、薬剤師として働いています。
聞こえない人も病気になります。
医療スタッフの言っていることが分からず誤解が生まれがちです。
手話通訳を連れて行くには、自身で手配しなければならず、この交渉が実に面倒なのです。
この大学病院の外来は予約制で、診療時間は1人1時間。その間に診察や検査など全部をすませるように、病院の他の部門が協力する体制ができています。
病院に手話通訳がいるので、楽に、安心して診察を受けられるます。久美さんは、診療中、おかしいなと思ったこと、気になったことなどを聞けるように心を配ります。
久美さんは、同時に、全日本ろうあ連盟の、聴こえない人が安心して診療を受けられるための「医療の手話」の本づくりの編集者もしています。医療関係の手話を覚えたい人にはもちろんですが、病院に備えておけば、聞こえない方が診察に来たとき、この本を見せながら、絵を指さしていくことで、コミュニケーションできるという願いから取り組んでいるボランティアです。ろうの人が納得しやすいDVDも一緒に出しています。
映画の最後の方、法律が改正され、念願かなって就職できた准主役の女性が、病院の薬剤部を訪ねるシーンがあります。
そこに、優しい笑顔で登場する「先輩薬剤師」の役を演じているのが、が久美さんです。
●上映スケジュールは、
http://www.jfd.or.jp/movie/
予告編もこのサイトで見られます。
●障害者の欠格条項をなくす会は
http://www.dpi-japan.org/friend/restrict/index.html
(大阪ボランティア協会の機関誌『Volo(ウォロ)』2009年9月号より)