少子化と子育て、そして教育の部屋
「怪傑ハウスハズバンド」と「経産省の山田課長補佐」を縁結び

村瀬 春樹 様、ゆみこ・ながい・むらせ 様
拝啓、

 この度は、大熊由紀子さんに教えていただき「怪傑ハウスハズバンド」を拝読させて頂きました。疾走感のある読みやすい文章で一気に読み終えてしまいました。

 今であればともかく、今から20年以上も前に、男女の役割についてあれだけ徹底して割り切った考え方に辿り着かれていたということに素直に驚きました。
 そして、おそらく、その当時に支配的だった男女の役割分担の考え方から脱却することが、どれだけお二人の人生を自由に、かつ、豊かにしたか、ということに頭を巡らせることができました。
 タブテくん、ハテナくんは私よりも少し若いくらいでしょうか。
 きっと、このような御両親に育てられ、健やかに大きくなられたんでしょう。お二人のご子息のその後を読んでみたい、と思いました。

 人の親としては二十数年も後輩になりますが、育休をとって三人の子どもを育てたときのことを本にまとめました。人生の先輩にお渡しするのも僭越ではありますが、お送りさせていただきます。お気の向いたときに御笑読いただければ幸いです。

敬具

山田正人

山田正人様、山田淳子様

 正人さん、御著書「ただいま育休中」をありがとうございました。
 お人柄の良さがつたわってまいります。
 それにしても、20年前、ぼくが、マナジリを決して臨んだことを、軽々とクリアしてらっしゃるんですね。

 テレビも見ましたよ!!
 子ども3人って、大変なんですね!
 ぼくが書いたものを同封します。
 おヒマな折・・・というか、子育てと仕事の合間にでも御一読を。
 いずれ、ゆきこさんの縁でお会いすることになるかもしれませんね。
 それでは、また。お元気で!

村瀬春樹

以下は、ご本人おふたりによる「育児」と自著の自己紹介です(^_-)-☆

苦労を上回る喜びo(^^o) (o^^o) (o^^)o

お前、出世を諦めたのか!? 
1年仕事を休んだ男性官僚の育児奮戦記。
保育所、ご近所、行く先々で遭う無理解やトラブルの数々。
笑いあふれるエピソード。
少子化問題もちょっと考えさせられる一家5人の心温まる物語。
『経産省の山田課長補佐、ただいま、育休中』
四六判 並製   248ページ ISBN978-4-532-16551-2
1,470円(税込)  2006年1月発売 日本経済新聞社

 私は2005年11月まで1年間、第三子の育休を取りました。上の双子の育休は妻が取りましたので、共働きである以上、今度は自分が取るのが当然だと思いました。

 でも、実際に育休を取ると言い出すと、周りからは、「男が育休なんか取れるのか?」との声。多くの男性にとって育休は自分の世界の外の出来事のようです。「出世は諦めたのか?」とも言われました。親としての責任を果たしているだけなのに、なぜか育休は職場での低い評価と結びつくと信じられているようです。

 育休が始まった後にも、育児は女性が行うものという固定観念には悩まされました。例えば、「今日は、ママはどうしたの?」という乳児検診の保健師さん。外出先で、オムツ替えシートは女性のトイレのみという施設も少なくありません。

 また、男女を問わず大変なのは駅などの階段です。車椅子対応のエレベーターなどが設置されていても、ベビーカー使用が認められていないことがあります。10キロ近い赤ん坊を抱いてベビーカーをたたんで担ぐなどというのは、男だって大変です。

 このような苦労もたくさんありますが、それを上回る喜びを知りました。 「ダッコしてー」「絵本よんでー」子どもになつかれると、親はますます大変になります。けれど、親にとって、子どもに頼られることが、こんなにも幸せなことだとは、育休を取り子どもと向き合ってみて初めて知りました。

 それまでは所詮妻の育児のお手伝いですから、子どもは、最後は母親を求めていくものだと思っていました。全幅の信頼を私に寄せてくれている子どもたちとの生活を送っている今、私にとっては、子育ての楽しみももはや捨てることはできません。

 願わくは、一人でも多くの男性に育児に参加し、子育ての楽しみ、喜びを味わっていただきたい。そうして、子どもに対する温かいまなざしが増えてくれば、今よりもっと子育てしやすい日本になるのではないでしょうか。

1984年以来20年を超えるロングセラー!!!!!!!

『怪傑! ハウスハズバンド』
村瀬春樹 著
晶文社
定価1,325(税込み)
19×13cmサイズ/255ページ
1984年11月20日発行

〈ぼくは「主婦」なのだ。男の「主婦」である〉という書き出しではじまるエッセイ集。ジョン・レノンあるいはマイク・マグレディ風にいえば「ハウスハズバンド(主夫)」である〉

 だれが言い出したか知らないが(誓っていうが、ぼくじゃない)、日本の「女性学の古典」「男性学のバイブル」、あるいは「女性行政担当者の必読文献」の名著といわれているが、この本ほど不幸な運命(さだめ)を背負った本はないと思う。なぜかというと……

 1984年、初版を出した直後から大きな反響があり、新聞、雑誌、テレビにラジオ、書評や著者インタビューは合計30数回を数えた。「すごいじゃん! これでビルが建つぞ」と晶文社の編集担当・村上鏡子さんと喜びを分かち合ったのだが、反響のわりには売上が伸びない。なぜなんだろう……? と小首かしげて薮の中。

 ほどなくナゾは解明された。ある日、都内の公民館で「主夫もの」の講演会が終わると、数人の中年女性が演壇に駆け寄ってきた。そのうちの1人が手に高々とこの『怪傑! ハウスハズバンド』を掲げているではないか。
「私たち、あなたの大ファンなんです」とその女性はいった。「私たちのグループ全員が、この本を読んでいるんですよ!」

そりゃ、ありがたい! ぼくは聞いてみた。
「皆さんの勉強会って、何人いらっしゃるんですか?」
「総勢18人です!」
やった! 18冊のお買い上げ!

 「そうなんです!」と彼女は手柄顔にこういった。「1人が読み終わると、次の人に回して……ほら、この本、もうこんなにボロボロ!」
 なんと、1冊の本の背後に18人の読者! そりゃそーだろ、これじゃ売上が伸びないはずである。
 帰りに寄るレストランで2000円のステーキ・ランチを食べる余裕があるのに、なぜ、1300円の本が買えないの? 気に入った本なら回し読みしないで、一家に一冊、座右の書にしてやってね。トホホ。

 世評と読者数のわりには売上数が伸びなかったこの不幸せな本は、しかし、本屋さんの店頭で20年間のロングセラーをつづけ、いまもネット販売で手に入る。
 書いた本人が最も愛着をもっている1冊である。全国の図書館に置いてあるので、目に入ったら、ぜひ、ご一読あれ。

村瀬 春樹

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