たばこの部屋
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「幼い息子2人から大箱に入った200本のたばこをプレゼントされた日のことは忘れられないわ」と、来日中の米国の医療人類学者ダナ・ラファエルさんは言った。
たどたどしい筆跡で、こう書いてあった。
いま、医療の世界で「難がん戦争」が泥沼化している。「難がん」とは、早期発見が難しく、見つけても治療が難しいがんのことで、そのチャンピオンが肺がんである。このがんは、死に際がつらいがんでもある。
さきごろ米国で開かれた「がん予防国際会議−事実・可能性・うわさ」で、「肺がんとたばこの関係」は「うわさ」でも「可能性」でもなく、「事実」に分類された。
吸う本人が危ないだけではない。米国では年間5万3000人が、同僚や家族のたばこの影響で死んでいるという推計が米環境保護局でまとまった。
「喫煙と健康女性会議」は真っ赤なハートをあしらったステッカーを作り、こう印刷している。 〈雪〉 |
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