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さまざまな挑戦6
横浜市副市長 前田正子さん
平成15年4月1日からから副市長になられたばかりです。早稲田大学を卒業されて、松下政経塾研究員などを経て、生後半年の息子さんを連れてアメリカに留学。そこでアメリカの保育事情を体験され、帰国後ライフデザイン研究所で保育制度や支援策の研究をされてきました。このたび、働く母親の立場から、横浜市の保育成策を担う立場におなりになられました。
今明かされる副市長就任のきっかけ?!

 私は一昨年、41歳で10年ぶりに子どもを産みまして、今、小学生のお兄ちゃんと1歳4ヵ月の赤ちゃんがいます。
 育児休業明けに、横浜市の中田市長が突然来られまして、「横浜は非常に子育てをしにくい町なので、副市長になって子育て支援をしてほしい」と言われました。副市長という仕事がどんなものか全然わかりませんで、「大変ですか?」と聞きますと、「いやー、市長よりは楽です」(笑)と。知っていたら絶対なっていなかったという、現状では、子育て中のお母さんには向かない仕事です(笑い)。
 多様な人たちの声を反映するためにも、政治の中枢部に、例えば子育て中のお母さんとか、障害をお持ちの方とか、いろんな方と関わるような仕組みを作っていくことも、私の挑戦かと思います。

教育と福祉、福祉と医療の連携

 副市長というのは助役でして、横浜市には3人の助役がおられます。私は福祉・医療・環境・横浜市大・教育を担当しています。
 この5つの分野を担当することでの私の挑戦は、教育と福祉の連携です。教育委員会も大幅に入れ替わりまして、訪問の家「朋」理事長の日浦さんにも教育委員になっていただいて、福祉の視点から教育を議論していただくようにお願いしています。
 皆さんが危惧なさっている福祉と医療の統合もやっていきたいと思います。

わかりやすい予算に

 まずは自分がわかるフィールドからということで、子ども関係の予算に取り組んでいます。保育所での子育て関係は、福祉関係の予算とか、細かく分かれていて、現場でも書類をつくるのにすごく大変です。
 そこで、現場の人から例えば子どもだとどういう形でお金を出してもらうのが一番簡単かというのを今、財政局とかに投げかけて、それをどういうふうに処理していくかという仕組みも変えていきたいと思っています。

市役所の人々に「あなたのミッションは何ですか?」と聞くと……

 私のように、あまり行政経験がない人間ができることは何か。みなさん、事業概要説明と言っては、次から次へ資料を持ってこられて説明するんですが、「じゃあ、みなさんの局のミッションは何ですか?」と聞くと、ははーん?とみなさん驚かれる。「自分たちの仕事のミッションは何か?」ということをみなさんに投げかけています。

地域のみんなが気持ちよく使えるルール

 私は今、3つの壁を乗り越える挑戦をしています。
一つ目は、いろんな施設を一人でも多くの人が使えるルール作りです。施設は、すごく狭い目的で作られています。横浜には地域ケアプラザや地区センターがありますが、みなさん自分たちのためだけに施設を使いたいと主張されます。
 お互いのいろんな世代のいろんな立場の人を理解して、みんなでどう気持ちよく施設を利用できるか。「富山方式」が有名ですが、当初の狭い目的で作られた施設を地域に貢献していくというようなものを、挑戦していきたいと思います。

子どもたちにとって、たった一回きりの学校だからこそ

 二つ目の壁は、横浜市が大きすぎるということ。学校だけで590校ありますし、子どもも26万人います。一人ひとりの子どもたちにとってはたった一度の学校生活で、たった一回の人生で大事なんですが、行政からみると26万人分の1になってしまいます。それは保育園でも医療でも一緒ですが、個々のニーズや希望をどうこまめにケアするかというシステムと、大きい市の行政をどう動かすかということの仕組み作りです。教育や福祉において持っている大きな市のハンディを、どう減じていくかも壁だと思っています。

この時代だから議論を戦わせる

 三つ目ですが、議論すること自体が非常にタブーになってきています。私にとって驚きです。議論をしようとすると、今の制度がどうかなっちゃうのではないかという不安から、いろんな苦情がきたりします。本当に簡単に正解がない時代ですので、みんなで恐れることなくいろんな意見を戦わせながら、少しでもベターな道を探っていくということを、少しずつやっていきたいなと思います。任期4年間、できることがあればやっていきたいと思います。

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