障害福祉政策・激動の部屋

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基本は「地域生活支援」、そして、急速なサービスの伸び

 お手元の資料をもとに部長の説明を補足させていただきます。点字が用意できなかったこともありますので、できるだけ、言葉でおぎないますので、宜しくお願いいたします。
 障害者施策の基本は「地域生活支援」をキーワードにしています。それを実現する大きな手段として、支援費制度が平成15年4月にスタートしました(図2)。

 スタートしてみますと、特に、在宅サービスについて、当初の予想を上まわるスピードでのび、ホームヘルプについては、15年度の予算で3割増を見込みましたが、実績では6割増でした。中でも初めて利用された、知的障害者や、障害児の利用、お子様の利用が多かったのです(図3)。
 たとえば、知的障害者にサービスを提供している市町村は、制度前は3割だけでしたが、制度がスタートした4月には、5割近くの市町村でサービスの提供がはじまりました(図4)。
 4月から11月にかけ、サービスは急速に伸びていています。ホームヘルプサービスを例にとると、11月は4月にくらべて障害児では、2.20倍。知的障害者で1.72倍、身体でも1.24倍のサービス提供になっています。(図5)
 一人当たりのサービス利用量で特に目立ったのは、全身性障害者のホームヘルプサービスです。この利用時間が、平成13年、一人当たり83時間だったのが、15年には135時間。急速なサービスの伸びがあります。

極めて大きなサービスの地域格差、資源少ない精神分野

 サービス全体として伸びていますが、一方で、大きな地域間格差があるという状況もみえています。図6−図11は都道府県別の比較グラフです。
 人口1万人あたりのホームヘルプサービスの支給決定者数は一番多い県と少ない県で、7.8倍の差があります。ご参考までに、グラフの中に介護保険の要介護認定者が65歳以上の人口に占める割合を県別に折れ線グラフで示してございますが、支援費サービスに比べると、格差が小さくなっています。始まったばかりの支援費制度は、都道府県の格差が大きいことが見えてきました。
 身体障害者だけのホームヘルプサービスですと最大格差は5.5倍、知的障害者のホームヘルプサービスは、格差23.7倍、障害児のホームヘルプサービスは44.4倍、精神分野では上、11.6倍、という大きな差が出てきています。

 いまお示ししましたのは、サービスがどれだけ広く普及しているかという広がりですが、次に「深さ」という視点からホームヘルプサービスの時間数を例に取ってみます(図12)。ホームヘルプサービスの「一人当たりの平均利用時間」は都道府県の格差、4,7倍です。日常生活支援を除くと、少し格差が縮小されて、2.8倍になります。県別の数字は、図13−18です。同じホームヘルプサービスの中でも、身体介護、家事援助、移動介護、日常生活支援、それぞれのサービスでかなり差がある事がおわかりになると思います。

 図19は、サービスの広がりと深さを2つの軸で表し、都道府県の散らばりをみてみました。
 例えば、支援費のホームヘルプサービスでみると、「少ない人にしか、サービスを提供していないし、一人当たりのサービス量も少ない」という県があります。「多くの人には行き渡っているけど、サービスの提供量は少ない県」「受けている人は少ないけど、比較的手厚く、一人当たりのサービスが手厚いという県」もあります。かなりのばらつきがあります。
 この情報は、都道府県の方もみています。福祉担当者はこれをみて、「うちはまだまだ」とか、「広がりが少ない」とか、「サービスは行き渡っているが量がたりない」とか、一生懸命考えておられます。すると、少しずつ、「広げよう」などという、自治体の努力が続きます。特に、遅れている自治体を中心として、右斜め上に行きたいなという動きがおきているのが現状です。
 図19の下に示したグラフは精神分野です。残念ながら、サービスの広がりも手厚さも少ないのが現状ではないかと思います。精神は、知的、身体と違う特徴があります。手厚いサービスを提供しているところは受けている人数が少ない。要は使えるお金が多くなく、量は決まった中でやりくりしている状況が見えます。精神のグラフからは、サービスの資源が少ない状態ということが、伺える状況です。

 障害分野と高齢分野のグループホームについて、図20と21でお示ししています。 人口10万人あたりのグループホームの利用者数をみると、最大格差は、知的障害で15.3倍。精神で8.3倍となっています(図20)。ちなみに、介護保険導入の前と後の高齢者のホームヘルパーサービスの都道府県別の差をのせてあります(図21)。平成11年、都道府県格差は平均3.9倍の格差でした。ところが、14年は2倍あまりに縮小し、全体として大きくサービス量が伸びています。

 ここまでの課題を整理してみます。
 「課題その1」は、支援費制度の現状です(図22)。
障害者サービスについては、非常に地域の差が大きいということがポイントです。そこから予想されることは、全国的にみると、これからもサービスの利用者が増えるということです。特に、知的、精神については、これからやっとサービスを受けられる方、今受けられていない方がたくさんいます。これから初めてサービスを受けたい人、今は受けていない方、New-Comerと書きましたが、この方たちにどう対応するか。
 また、都道府県がサービスの水準を上げようと努力し、それによってサービスが急速に伸びます。これに、対応する仕組みをつくるかが1つ目の課題です。

身近なところでサービス提供を行うための創意工夫が必要

 少し角度をかえ、サービスを利用する人の現状について、簡単に数字をまとました。図23は、障害種別数、施設や病院に入院している人の比率です。
 身体が最も多くて350万人。入所はこのうち5.4%。
 知的は46万人です。入所の比率が高く、28.3%の方が、施設内にいます。
 精神分野は、患者調査数をもとにしていますが、258万人。入院の比率が13%。
 図24は年齢別の構成です。
 障害者、高齢者と別々のもののように話してきましたが、実は身体障害者の中の、59%は65歳以上です。知的は3%、精神は、29%。
 このグラフでは、団塊の世代は、65歳未満グループに入っていますが、あと何年かすると、団塊の世代が65歳の線を越えます。障害者のなかで、高齢者比率が高くなるという現実があります。
 図25をご覧下さい。構造改革特区というのがあります。特区という制度で、特定の地域で規制緩和し、モデル的、実験的に施策をやってみよう、というものです。福祉に関しても、いろいろ特区が提案されました。実現にこぎつけたなかで、多かったのが3障害別々に縦割りになっているものの相互乗り入れ。老人施策と障害者施策の相互乗り入れです。
 提案された特区の関係者に聞くと、地方ではそれぞれの制度ごとに整備すると、1つ1つのロットが小さくなるので、とても不効率とのことです。

 そこで、2つ目の課題を整理します(図26)。
 サービスの利用者側からみると、実態として障害者と高齢者の重複が多いです。そして、それぞれの地域で、身近なところでサービスを提供できるように、効率的で効果的なサービス提供の創意工夫の動きが始まっています。市町村や地域でのこういう動きを考えると、障害種別、年齢での切り分けが合理的かどうか再検討するべきだと思います。地域の実情に応じて、身近にサービスを利用できる体制の整備が大きな課題として浮かび上がっています。

一般就労への移行が課題

 次に、就労の角度から考えてみます。
 養護学校を卒業者の進路を見ると(図27)、就職される人19.4%。この比率は年々下がり、ついに、20%を切りました。施設へいかれる方、在宅の方のウエートが非常に高いのです。図28をご覧ください。就職は2割、そして施設へ行く。企業で働きたいという希望を持つ人が4割から6割もいるという状況です。親御さんのご希望は、本人よりも消極的な数字です。企業で働きたい人で、実際に移れる人の数は1%です(図29)。
 図30に「課題その3」として整理しました。青年期、壮年期における就労の意味は大きく、この政策が大事ですが、移行がすすんでいない。地域生活支援というとき、介護保障だけでなく、一般就労への移行に真剣に取り組む必要がある、これが3つめの課題です。

施設と医療に予算が偏重、地域支援重視の予算配分に変える仕組みは?

 もう1つは、財源やお金の面です。図31に支援費制度の全体のお金の配分が書いてあります。支援費制度の総額、16年度予算で、3473億円です。このうち、入所系の施設のための予算は65%、3分の2、通所系の予算は18%です。居宅生活支援が17%、こういう比率で予算が組まれています。
 もう1つの予算内訳を図32にお示ししました。福祉と医療のお金のトータルで、障害保健福祉部、我々の部の予算全体を見ました。7000億ぐらいです。医療部分(青色)が多いのは、精神の分野です。精神障害者に関しては、医療に7割のお金がかかっている状況です。

 こういう予算、厳しい財源の中で、自治体から財源確保とか、財源をどう配るかについてご要望がいろいろ出ています。図33に、特に多かった要望をまとめました。
 一番多かったのは、国庫補助を含めた安定的財源の確保というご要望です。加えて、ケアマネジメントを制度化してほしいということです。福祉に関するサービスの中で、最適なサービスを組み合わせて提供する、そこのマネジメントをしてくれる仕組みが支援費制度の中に入っていないではないか、これをきちんとしてほしいということ。もう1つは、支給決定基準を策定してほしいというご要望。支援費の支給量は今、市町村が決めています。支給決定のとき非常に悩みが深い。国としてきちんとした、支給決定基準、ルールを作ってほしいという要望が自治体から強かったのです。

 特区でみたように、「三障害一緒にしてほしい、縦割りはかなわない」という話、それから「地域ごとに好きにさせてくれ」という要望。こういう要望を突き詰めれば、自治体にお任せで、国からの補助金でやる仕組みをやめるという手段があります。
 それが図34です。三位一体の改革です。
 地方にどんどんと施策決定の権限とともなう財源の委譲をする、これがこの三位一体改革です。今年、来年、再来年の3年間で、今ある国庫補助金、負担金のうち、4兆円を廃止して、地方にお任せする形にしましょうということで、そのうちある程度は財源もくっつけて地方に渡しましょうということです。今年、1年目は、公立保育所のお金を地方に一般財源化をしたということになっています。
 これから先、全国市長会、全国知事会がともに「廃止をして、税源委譲すべきおもな補助金」として、支援費にかかわる補助金、負担金を候補としてあげています。ぜひこっちへくれ、といわれています。
 去年の予算編成で、今年の1兆円をどうするかが決まり、残りの2年間で3兆円が残っています。この議論がちょうど始まりました。

 実は、26日、ほんの2・3日前に、これから残りの2年間をどうするかで、担当の役所の総務省、ここから麻生太郎総務大臣名で経済財政諮問会議という、大きな方針を決める会議に、総務省として提言がされました。
 残り3兆円ありますということで、来年、17年度の予算は、これも地方にもっていくと。
 1つが、全国的にみて、経常的、普遍的におこなわれる国庫補助金は、全体を廃止し、地方に税源移譲、と。要するに公的サービス提供する施設、建物、福祉分野なら、授産施設を建てるとか、入所更生施設、保育所を建てるとか、特養ホームをたてる、廃棄物処理、学校などというハードのお金、これは、来年から地方にお任せし、国の補助金はやめようということです。次に義務教育関係の国庫負担金。最後に奨励的国庫補助金の削減率を決定しておこなう。
 福祉のお金は、「奨励的国庫補助金」に入るのですが、補助金は毎年何%カットと、どんどん地方に計画的にうつしていくという方針らしいのです。提案ですので、反対や、議論はこれから行います。
 残りの3兆円について、ハードの整備と補助金を計画的に一定の率をかけて廃止していく。こういう提言がされました。部長から、「大事な岐路にたっている」という言葉がありましたが、三位一体の2年目の議論の火ぶたが切って落とされました。

 そう言う意味で、自治体がいろいろなサービス提供の主体になっていくのはもちろんですが、今の現状を考えると、そこにも大きな課題があります。
 この福祉のために、どれぐらいのお金が必要なのかと考えるとき、まず、それぞれの地域が「うちの町では、市では、こういう人に、こういうサービスをという、計画があり、それを積み上げていくと国のサービス提供の計画になるはずです。
 実は、障害の分野は、老人とちがい数字をベースにした、それぞれの市町村の計画はありません。障害者基本法で、自治体でつくることが努力義務ではありますし、多くの自治体は作っていますが、その中で、数字目標をもつ自治体は36.7%です。これから、福祉にもっと財源投下をしてくれという話をしても、ベースの数字がないと、というのが現状です(図35)。

 課題の4つ目です(図36)。財源面から課題を考えました。
 現状の予算を考えると、そのウエイトは施設、医療に比重がおかれています。少ない社会資源をどう公平に配分するか、効果的効率的に、地域の裁量をどう拡大するか、自治体から制度を、もっと整備して欲しいという要望があります。そのベースになっているニーズの数値的な把握ができていない実態です。
 施設に入所している方が現実にいる、その人達が地域に出てくることを考えながら、どうやって「地域へ」と、「財源も地域へ」とウェイとを変えるのをどうやっていくか。限られた資源の中で必要なものを、どう、配分し、効果的、効率的に配分するルールをつくっていくか、ベースになる、ニーズ把握をするしくみをつくっていく、そういう財源から見た、財源配分、仕組み作り、ニーズ把握の仕組み作りが残されています。

障害を持った人への介護保障を、国民全体の問題課題に

 5(図37)は、分かり切ったことなので、簡単に言葉だけで整理をしました。この問題を考えたとき、今、障害の問題を担当部署にいて、つくづく思うのですが、高齢者問題については、「いづれ、自分も年をとるよな」と、多くの方が自分の問題としてとらえています。同様に、障害を持つ事は、誰にとってもおこりうること、家族が障害を持つことも起こりえます。相対的なことですが、障害を持つことは、生まれた時から、若いときから、必要な介護保障を考えたとき、長いスパンで考える必要があります。それだけ重い問題だと思います。
 しかし、障害を持った人への介護保障を、高齢者と同様、国民全体の問題、社会全体の問題として考えてもらう。この部分がまだ、我々の中でも、運動として弱いのかなと。最後の課題としてあげました。

前向きの議論を、皆様と一緒に

 まとめ、として、これからの方向性をもう1回、整理をしてみました(図38)。
 大事なキーワードですので、あえて、もう1回、我々が課題として抱える目標を申し上げます。
 地域生活支援、自己決定の尊重、利用者本位の理念。これらが我々の大きな目標です。どう、発展させるかというために、自立支援、介護のための人的サービス、介護保障という言葉も使いました。就労支援、住まい、発達支援の問題ということで、大きな政策目標をたてる、これに総合的に取り組む事が大事です。

 図39に、絵の形で、その姿、大きな施策を描いて見ました。
 生涯を通じての介護保障。子どもの頃、特に狭間にいる人に対する支援、就労支援、そして住まいも含む全体像、これらが、私共の、生涯障害福祉の考えです。先ほど説明した5つの課題がありました。これからの課題が見えてくると思います。
 まず、これから新たにサービスを利用する障害者を含め、地域できちんとニーズを把握し、それに基づき、これからの伸びに耐える仕組みをつくりたい。
 第2に、障害者がそれぞれの地域の中で、地域の実情に応じ、身近なところで支援を受けられるように仕組みをつくる。
 第3に市町村が中心となって、障害の種別や年齢を超えたサービスを提供する仕組み。障害の定義からもれたから、とか、或いは、年齢で何歳以上だからだめというのではなく、それらを超えて、支援が受けられる社会を作る。
 第4は、地域の住民が納得するような公平な社会資源の配分をする仕組みです。
 理想を実現するのは難しいです。目指す社会資源がいくらでもあれば良いですが、それがないので、いかに、システムの中に組み込み、誰の目にも、その人にとっては、必要、公平なサービス提供が出来ているという、仕組みです。
 これが大事な課題だと思います。
 今後、支援費のしくみをどうするか、介護保険のしくみを活用するかどうか、障害者施策を発展させる為の前向きの議論を、皆様と一緒に話し合っていけたらと、思っています。

(記録の文責:ゆき  当日は資料のページ数で説明が行われましたが、ホームページ読者のために図1〜図40という表現に変え、読みやすいように小見出しをつけました)

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