優しき挑戦者(阪大・ゲスト篇)

第3次大阪府障害計画策定にむけて意見具申―人が人間(ひと)として普通に暮らせる支援社会づくり―
大阪府障害者施策推進協議会(2002年6月7日)

おわりに

 1925年生まれ脳性まひの俳人、花田春兆さんの有名な俳句「就学猶予クレヨンポキポキ折りて泣きし」の時代から約80年。身体障害者福祉法が制定されて約50年。障害者の福祉は、少しずつではあるが着実に進展してきた。昨日と今日とは、ほとんど何も変わらないのが実感であるが、その連続した時間の流れの中の変化が、障害者の生活を変えてきたのは事実である。

 障害者福祉の道のりは、まだまだ平坦ではないと考えられる。しかし、大阪府の「福祉のまちづくり」や「行政の福祉化」の取り組みのように、障害福祉行政は、障害福祉セクションだけが取り組むのではなく、障害のある府民のために全てのセクションが府民としての障害者への数々の施策を実施しているのは、それほど昔からのことではなかった。近年の大阪府のこれらの取り組み姿勢は、評価できるものと考えている。

 障害福祉施策は、大変幅の広い横断的な世界である。平成15(2003)年度からの第3次大阪府障害者計画(仮称)の策定に向けた意見具申を審議してきた本協議会は、その審議の冒頭、限られた時間の中での審議は、重点的な課題に絞って、委員自身の議論の積み上げによる意見具申を目指すこととした。

 ここに述べたもの以外にも、手話通訳者の適正配備とその援助内容の質の向上、高齢聴覚障害者の課題、教育のあり方、防災対策などさまざまな検討課題がある。

 地域福祉への志向が強まり、市町村での地域福祉計画の策定が期待されているが、なかなか地域の中で障害者・児の課題が顕在化してこない。特に児童期からの普段の活動の中での交流が非常に大切で、そうした意味から障害児教育をはじめとする教育のあり方の重要性の指摘があった。現在、障害のある生徒の後期中等教育の充実については、大阪府学校教育審議会で検討がなされたところであり、また、条例の改正作業の進む「福祉のまちづくり」については大阪府福祉のまちづくり条例改正検討委員会において別途検討がなされているところであることから、これらの検討の成果を新計画の策定に当たっては尊重すべきである。

 今後、大阪府が新計画を策定する際には、全部局が一丸となり、これら多くの課題に対しても、折節、障害のある当事者をはじめ広く府民の意見を踏まえて、その分野分野の目指すべき方向について、真摯な検討作業を重ねられることを強く望む。

 障害者も社会の一員であるが故に、その社会の発展と共にある。今後の21世紀は、右上がりの豊かさ追求ではなく、堅実な、質実な、静謐な豊かさをめざすこととなるのかもしれない。創意工夫が必要とされる所以である。

 大阪府の日々の着実な事業推進とあわせて、さらなる障害福祉の発展に資する計画の策定を期待する。

▲上に戻る▲

ゲストの部屋・目次に戻る

トップページに戻る