高齢福祉政策激動の部屋

ふつうのくらし研究所所長、日本シーティング・コンサルタント協会理事長・吉川和徳さん

 要支援者(要支援1・要支援2)及び要介護1の者に対する福祉用具の貸与については、要支援者の自立支援に十分な効果を上げる観点から、現行の「福祉用具の選定の判断基準」を踏まえつつ、その状態像から見て利用が想定しにくい次の品目については、一定の例外となる者を除き保険給付の対象としないこととする。

 これは、厚生労働省が介護保険担当課長会議資料で説明している文章です。
 「自立支援に十分な効果を上げる観点から、福祉用具を保険給付の対象としないこととする」とは本末転倒もはなはだしいのではないでしょうか。

 福祉用具が自立支援にならないのは,適切にケアマネジメントを実施できる仕組みを担保していない,あるいは,身体機能とくらしに適合した福祉用具を供給する仕組みを担保していない,介護保険制度の仕組みに問題があるのであって,福祉用具を使うことが自立支援にならないなどというのは暴論に等しいと思います。

 福祉用具を保険給付の対象としないことは,不適切な保険給付という問題の根本的な解決にはつながらず,問題から目をそむけ,問題を解決することなく排除したことにしかなりません.適切にケアマネジメントを実施できる仕組みをつくることと,身体機能とくらしに適合した福祉用具を供給できる仕組みをつくることこそが,福祉用具の給付適正化につながり,自立支援に十分な効果をあげるものと確信しています。
 そのためには,他職種協働による生活機能障害の評価をする仕組みを作り,そのことを保険給付の対象とすることが必要であると考えています。


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