ろう・難聴・中途失聴者、聴こえない・聴こえにくい方々が社会へ参加しようと思っても、聴こえない・情報が入って来にくいことから、なかなか参加できません。
聴覚障害のある方とない方のコミュニケーションを保障するためには、「視覚で伝える」方法と「より聞き取りやすい環境を作る」方法があります。
ろう者の方々が、その聞こえない文化や歴史の中から作り上げた「ことば」です。
手や指の動き、表情、視線、姿勢、表す速さなどから多くの意味を表し、「言語」として認められているものです。
難聴者、中途失聴者など、手話を知らない・使わない方々へ、文字で書いて情報を伝えるものです。
一人の難聴者が対象であれば、隣に座って紙に書く「ノートテイク」、広い会場で多くの方々に見ていただくためには、マジックでロールに書き込み、それを「OHP(オーバー・ヘッド・プロジェクタ)」を通してスクリーンに映し出します。
OHPは光が強いため、要約筆記者は黒いサングラスをかけています。
同様の方法が「OHC(オーバー・ヘッド・カメラ=実物投影機)」。
これは紙に書き込んでいる様子を、そのままスクリーンに映し出すものです。
また、乗り物内や観光地散策中には、「ボート」を持ち歩き、その場で書き込み、表示することもあります。
話者の発言やその場の状況などを即座にパソコンに入力し、文字で伝える方法です。
その場で聞きながら入力・文字通訳するだけでなく、最近では、字幕のない日本映画や演劇に字幕を付ける活動も多くなってきました。
また、音楽コンサート等では、歌詞や出場者のプロフィール写真も表示できることから、聴こえる・聴こえないに関わらず、より多くの方々が違和感なく楽しんで利用できる情報保障の一つでもあります。
会議室・ホールなど広い場所でスピーカーから流れる音声は、人工内耳や補聴器を装用している方々にとっては非常に聞き取りにくいことが多いのです。
その場合、マイクの音声を既設音響設備を通して各種アンプに入力、そこに接続させたアンテナに音声を送り、それらに対応した補聴器や人工内耳で、「より良い聴こえ」を届ける方法があります。
この方法には、「磁気誘導システム」、「フラットアンプシステム」、「赤外線方式難聴者対応システム」などがあります。
最近では、磁気ループが設置してある観光バスもあります。
聴こえる学校に通う、一名ないし数名の難聴児の場合。
先生がFMのピンマイクをつけて、先生の声をダイレクトに人工内耳や補聴器を装用している難聴児の耳に届くようにして下さるケースも増えてきました。
教室でイスや机を引きずる音。聞こえる人にとっては雑音程度でも、人工内耳や補聴器を装用されている方々にとっては、物凄く不快な音に聞こえるといいます。
その音を少しでも小さくするために、「テニスボール」を机やイスの足に付ける学校も増えてきました。
机やイスそのものに最初から厚めのゴムがついていて、引きずる音が小さくなるように作られているものもあります。
東京都福祉のまちづくり条例には「集団補聴設備」のことが記されています。(平成12年12月版)
■(十一条)観覧席・客席 整備基準 ■
観客席・客席を設ける場合は、次に定める構造とすること。
一.車椅子使用者のための観覧席を出口から容易に到達でき、かつ観覧しやすい位置に1以上設けること。
二.集団補聴設備等、高齢者、障害者等の利用に配慮した設備を設けること。
情報保障とは、その場にいる全ての人が、
同じ時間に分かり合い・参加し合い・意見を交換し合うために必要な体制です。
【E-mail】 akemizo@beige.ocn.ne.jp
【H.P.】http://www2u.biglobe.ne.jp/~momo1/sub1/akemizo2.htm