戦略会議・選んだ場所で誇りをもって
在宅看護研究センターLLP 村松静子
T.高齢者の過剰医療がその後の生き方を変えてしまう
これまでの政策の失敗を繰り返さないためにも、高齢者救急医療の現状を把握しておく必要がある。病院へ救急搬送されると当然のごとく医療行為が施される。高齢者は誤嚥・失禁・便秘・脱水等の症状を起こしやすく、転倒・骨折等もつきものである。一方、数日入院しただけでも心身機能が低下する。その要因はその医療行為の不適切さにあり、その後の療養生活に少なからず影響を与え、生活意欲を失う人も多い。救急医療を重視し入院を短縮するからには、高齢者の過剰医療を避け、本人・家族が納得できる適切な説明を徹底すべきである。独居高齢者が仲間たちに囲まれて穏やかな死を迎えられる体制を整えることをめざし、施設医療への過剰依存は避けなければならない。
U.そろそろ、条件付きで、看護師の「一人開業」を認めて・・
鍼・灸師やマッサージ師によるクリニックの設置、一人開業に保険が適用されている。制度上の訪問看護ステーションは独立開業可能だが、常勤換算2.5人が開設の1つの条件である。また、看護師は訪問しなければ保険が適用されない。25年にわたって、在宅で多くの方たちの最期を看取ってきた看護師として切望することは、来所相談についても保険を認めていただきたい。また、活動のネットワークの構築や医師との連携、質の保証等の審査を条件に、そろそろ一人開業を認めてほしい。医療崩壊を食い止めるには医師や看護師の確保に加えて、医療に対する不信や不安の解消が重要である。外来の待合室を回って患者の重症度を判断するという看護師の活動も必要である。過疎地での訪問看護はもちろん、訪問看護だけではなく、看護の力を発揮することは医療再生にもつながるはずである。
V.看護と介護の連動が生活全体を支える杖になる
重症患者の入浴や清拭等、ヘルパーと組んで行った方がいい場合もある。また、互いの融通性ある対話がケアを円滑にし、療養者の生活をより温かくスムーズにする。しかし、介護保険ではヘルパーとナースが同時に訪問することが認められない等、制度上の規制がある。
W.社会起業、同じ法人格なのに、一方は非課税、一方は課税に疑問
法人格をもつ事業者が同じ業務を行なっているにもかかわらず、一方は営利と見なされて課税され、一方はNPOとして非課税となるというおかしな現象がある。法人格や活動形態を越えた社会起業の存在を認めるべきではないか。看護師等医療専門職が開業する場合は、「医療法人」または「看護法人」等の法人格が取得できるよう検討を望みたい。
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