資料の部屋

新たな高齢者介護システムの構築を目指して
高齢者介護・自立支援システム研究会-----1994.12


 我が国は急速に高齢化しつつある。既に高齢化率は14%を超え、来たるべき21世紀には国民の4人に1人が65歳以上という社会を迎えることが予測されている。このような高齢化の進展は、国民生活の様々な分野に影響を与え、家族や地域のあり方を含め我が国の社会経済全体を大きく変えることとなるが、その中で、高齢社会にふさわしい社会システムを如何に構築していくかは、全ての国民にとって最も重要な課題である。

 なかでも、高齢者介護は喫緊の課題となっている。現在介護を要する高齢者は約200万人にのぼっており、今後ますます増加することが見込まれている。今や介護問題は、老後生活における最大の不安要因であると言って過言ではない。このため、高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)等に基づき、国、地方自治体そして保健医療福祉関係者が一体となって介護サービスの基盤整備を進めているが、こうした関係者の努力を踏まえ、さらに「国民誰もが、身近に、必要な介護サービスがスムーズに手に入れられるようなシステム」を構築していくことが求められている状況にある。

 本研究会は、このような観点から、21世紀に向けた高齢者介護システムのあり方について様々な角度から分析を行い、その基本的な論点や考え方を整理、検討する目的で設置されたものである。7月に開催以来、内外の学識経験者からのヒアリングを含め12回にわたり会議を重ねてきたが、その検討結果をとりまとめたので、ここに公表する。

 この報告書では、介護の基本理念として、高齢者が自らの意思に基づき、自立した質の高い生活を送ることができるように支援すること、すなわち「高齢者の自立支援」を掲げ、そして、新たな基本理念の下で介護に関連する既存制度を再編成し、「新介護システム」の創設を目指すべきことを提言している。

 我が国の高齢化のスピードは極めて速く、高齢社会に対する準備に充てることができる時間は限られている。残された貴重な期間内に、長寿社会へ向けて今後進むべき方向を明らかにし、その実現のための施策を着実に講じていくことは、高齢社会の前夜とも言うべき時代を生きる我々に課せられた責務である。また、高齢者介護の問題は、高齢者だけでなく、現役世代にとっても、老親に対する介護ということのみならず、いずれ自らも高齢期を迎えるという意味で、自分自身の問題でもあることを十分に銘記する必要がある。

 この報告書が一つの契機となって、高齢者介護をめぐる問題について、国民各層において幅広い論議が積み重ねられ、新介護システムの早期の実現によって、全ての世代の介護に対する不安が一刻も早く解消されることを期待したい。

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