資料翻訳の部屋

国連スタンダードルールのために(TIL FNs STANDARDREGLER)
コムーネ(市町村)の障害者政策に役立つアイデアと道具

(デンマーク語資料からの仮訳:翻訳家・秋田県鷹巣町まちづくり政策課 奥田靖子さん)


序言

障害を持つ人々に平等の機会を与えることに関する国連の標準規則は、アムト(県)とコムーネ(市町村)に対して何らかの意味を持っているでしょうか?はい、もっています。しかもそれは大きな割合いで。

デンマークは、1993年12月の国連の通常総会で、他のすべての国連加盟国とともに「スタンダードルール」を承認しました。国連の文書の原文は、それぞれの加盟国の「政府」にむけたものですが、デンマークのような地方分権が非常に進んだ国を念頭に、アムト(県)とコムーネ(市町村)に向けられるべきでした。

障害を持つ人々に平等の機会を与えることに関するスタンダードルールは、例えば教育、雇用、文化、スポーツ、余暇、さらに、物理的環境や障害を持つ人々への情報に対するアクセシビィティといった重要な分野に触れています。いずれも、コムーネの責任が非常に大きいこの分野なのです。

スタンダードルールは、1998年に成立5周年を迎えた。1993年以来、それは中央集権側からの大きな興味をもつ問題でした。今度はアムトとコムーネが努力をする番です。物理的なアクセシビリティに関しては、すでに住宅省からアムトとコムーネに対し、ハンディキャップアクセシビィティに対するローカルの対処プランを立てるよう要求されています。そのような対処プランはまさに、地方分権におけるスタンダードルールの施行の一種のでともいえるでしょう。

コムーネやアムトがスタンダードルールを政策に取り込むことは、このルールが成功したといえるまさに最終的な段階です。一旦アムトとコムーネがそのような取り組みをはじめれば、障害を持つ人々に平等の機会を与えることに対する見通しがつくといえるからです。

アムトとコムーネは、継続的な発展に関するアジェンダ21を例にとっても、特別な分野に力を注ぐことに慣れていません。
私達はどのように障害者分野に取り組み始めればよいのでしょうか?
私達はどこに向かえばよいのでしょう?
私達はどのようにその仕事を組織化すればよいのでしょうか?
私達はどこからアイデアを得ることができるのか?
私達のコムーネに障害者政策はあるでしょうか?
もしあるのならば、誰がそれを知っているのか?
もしないのならば、それはどういったものなのでしょう?
この仕事の経験がある者はいるのでしょうかか?

このパンフレットは、中央障害者委員会の求めによって、障害者平等センターによって出版されたものです。アムトとコムーネが障害者政策や対処プランを立てる、その努力を支える「道具箱」となるものです。
私達は多くのアイデアを収集しました。それはここ2,3年で非常に目立つ存在となったkoldingコムーネのアイデアだけではないのです。

Palle Simonsen
中央障害者委員会議長

序論

このパンフレットの意図するところは、障害を持つ人々に平等の機会を与えることに関する標準規則が、責任当局がコムーネやアムトである分野において実際的な意味を持つ時、コムーネやアムトは何ができるのかということに関しての多くのアドバイスを与えることにある。これは、地元または地方の障害者政策において開始できるイニシアチブや措置の範囲についてのアイデアカタログである。

私達は、アムトとコムーネが優先順位をつけることが必要な状態の厳しい経済の中でやりくりしているということに気付いている。それゆえ、全てのイニシアチブを一度に、または二度に渡って実行することも現実的ではない。しかし私達はその良い障害に対して最善を尽くしてはいけない。一連のイニシアチブは高いコストをかけることなく実行することができる。単に、多くのイニシアチブがプランを立てる上で、障害に対する尊敬の念を考え、取り込むことを扱っているだけである。

より高いコストがかかる分野においてでさえ、具体的、現実的な対処プランを通して追求されていくような目標を立てることによって発展させ、事業化することは可能である。対処プランの時間的な見通しについて、それが2年、5年、または10年かかるかどうかはそれに関わる経済状況による。しかし決定的なことはその期間の長さではなく、関連する分野が確実に目標を達成することができるような行動をするための時間の枠やプランがあるということである。例え少しでも前へ進むことは、全く行動しないことよりもずっと後々へとつながっていくのである。

このパンフレットでは最終的な鍵(答え)を全く述べてはいないが、その代わりにアイデアを収集している。そこからコムーネやアムトがアイデアを拾い、インスピレーションを得ることができる。具体的な取り組みにおいては、私達がその関連性を考慮することのできなかった多くのローカルの条件が関わってくるが、当然のことながらそれぞれのコムーネにおいて、それは流れに影響を与える。さらにこのパンフレットでは、すでにコムーネで実施され、いい結果を出している経験のいくつかを集め、さらに他の地域につなげようという試みがなされている。つまり、毎回最初から始める理由はないのである。

障害を持つ人々に平等の機会を与えることに関する標準規則は、1993年の国連の通常総会で承認された。標準規則は、それぞれの国が障害をもつ市民に条件と機会があることを確実にしなければならないことを指摘している。全部で22の規則があり、その中では国々がどのように障害を持つ人々に社会のその他の市民と同様に平等の機会があることを確実なものにできるかという目的を表している。

デンマークにおいて、私達はすでにその規則が与えている目的を達することに関して、順調に進んでいます。しかしそれと同時に、まだ多くの改善するべき点があります。

国連のドキュメントの話があるので−国連は国際的な協力機構であるため−、その規則は言語に関しても直接それぞれの国に適用される。そしてもちろん政府や国会には、障害者政策の枠組みを作成するという上の立場の責任がある。

しかし、規則の具体的な内容をデンマーク行政の視点から見た場合、標準規則が扱っている分野の多くがコムーネもしくはアムトの責任範囲であるということにすぐに気が付く。デンマークのような地方自治の進んだ社会においては、国会が作成した枠組みを管理するのは、大部分がコムーネやアムトである。それゆえ第1次コムーネやアムツコムーネが、 地方分権のレベルで標準規則が実行されるように対処プラン作りやその他のイニシアチブに関わり、進めていくというような発展が始まることが重要である。

パンフレットは3部門から成り立っている。第1部「始めの援助」では、コムーネやアムトが実際の地域でどのように標準規則を確立していくことができるかについてのアイデアを収集している。ここでは、コムーネやアムトのレベルで障害者政策を実行する前の仕事として典型的な内部の組織編成の考え方に触れている。それぞれの行政機関の誰がその規則の仕事に関わらなければならないのか?どのようにそれぞれの部門が交わりあうような形を確立することが可能か?「家」の外で誰が協力されなければならないのか?実際どのように協力がされるのか?そして誰が上の立場の責任を持つのか?

パンフレットの第2部では、Koldingコムーネの3人の行政機関のトップへのインタビューを掲載している。Koldingコムーネは1996年以来、国連の標準規則に従ってきており、今日ではその取り組みをもっとも長く行っているコムーネの一つである。そのインタビューでは、3人のトップが規則を実施した過程やその途中で出てきた問題のいくつかについて、またその問題をどのように解決したかを話している。

パンフレットの第3部「道具箱」では、私達がコムーネやアムツコムーネのレベルに最も関係していると思う規則に目を通し、それぞれの規則を実際の地域でどのように実施することができるかについて提案をしている。地元または地域の障害者政策に取り込むことができるイニシアチブや措置の範囲を集めたアイデアカタログの話がある。私達はアムトやコムーネが使用できる道具箱の完全なリストを作成したとは決して主張していない。これらの例の目的は、私達が直接見ることが可能なコムーネやアムツコムーネがイニシアチブのとれる分野を指摘することによって、アイデアやインスピレーションを与えることにある。

それに加え、以後私達がこのパンフレットの中で「コムーネ」という表現を使用する際は、第1次コムーネとアムツコムーネの両方を意味している。

始めの援助

障害を持つ人々に平等の機会を与えることに関する標準規則を実際のコムーネで生かしていくことは、実際のコムーネでは典型的である仕事の分担が大きく交差しあうプロジェクトである。コムーネの障害者政策を作成することは、色々な行政機関の部門が交差しあうプロジェクトであり、コムーネが、権力の行使者、仕事のリーダー、プランの責任者、または雇用者であるという話があろうとなかろうとコムーネの全ての責任分野を巻き込む。

それぞれのコムーネが、他と共通した、関連のある障害者政策へとつながっていく過程にどのように取り掛かり、組織化していくかは、コムーネによって異なる。それが正しいという一つの決まった方法はない。何が正しいか、そして何が適当かは一連の地域の条件による。

しかし、その過程で出てくる問題の多くがより一般的な性質のものであり、それゆえその問題は、コムーネ自体はそれぞれ大きく異なっているのにも関わらず、大部分のコムーネで共通している。すでに経験したことは、人が一度は関わる質問を生み、標準規則に従っていくという決定がなされた中、その過程を照らすことができる仕事の形を指摘する。

このパンフレットにおいてターゲットとなるグループは、アムトとコムーネであり、それゆえ私達は、イニシアチブがこの側からのものであることをスターティングポイントとしている。DSIは、一歩先を行くユーザー組織が標準規則を支えている考えを実現させるために使うことができる同じようなデータを、障害を持つ人々に向けて出版した。

コムーネの行政下の本質

プロジェクトを実現するには、全ての活動家をコムーネのシステムに関わらせることが重要である。システムの誰が、そしてどこが標準規則に従うという決定を出したかどうかは関係なく、その決定は政治的なレベル、つまり行政機関のトップである監督のレベルとそれぞれの行政機関、そしてその行政機関の職員に深く根付いていなければならない。

政治的な根付け

もしその過程が成功を収めたなら、最初から政治的な根付けができるに違いない。そのようなコムーネ議会やそれと関連する委員会が、実行されたアクティビティの責任者であると感じるといったポジティブな流れに最終的にはなった。それゆえ行政レベルでの根付けでは充分ではない。その過程を実行する義務的な政治的決定が下されなければならない。そして、コムーネ議会やそれと関連する委員会が続けてその実行されたアクティビティに関して情報を与えられ、関わっていかなければならない。国民のサポート確実なものにし、行政がプロジェクトに時間や資源を費やすことを正当化するのは政治的な根付けである。

指導的な根付け

充分な指導のサポートがなされなければならない。行政の指導がプロジェクトは重要であり、それを100パーセントの割合で支持するとはっきりと明確に合図を出さなければならない。指導のサポートはそれぞれの職員の雇用やプロジェクトに関係するアクティビティに時間を費やすためには必要である。

共通の障害者政策を作成することは、明らかに行政機関を交差し合うので、指導の根付けが組織の高いレベルにあること、また行政機関が交差しあって決定を下すことができることが重要である。過程を根付かす役目がコムーネのトップにあること、または最も関連性のある行政機関のトップから成る特別な運営グループを確立することも考えられる。

行政的な根付け

一般の政治的、指導的なサポートに加えて、専門分野やそれぞれの部門が交差しあうことは、まさに大きな問題を引き起こすチャレンジの一つであると様々な経験が示している。それゆえ、もし異なる行政機関の職員間の関係をしっかりと形付けることとそれほど形式的なものにしないことの両方ができれば、利点となりうる。交差しあう協力体制が引き起こす問題は、形式的な構造だけではなく、同じ割合で様々な行政機関を越えての文化の違いやお互いの仕事の分野や労働条件に対する知識が欠けていることである。

問題と取り組む方法は、様々な行政機関を越えて交差しあう「民間の」職員のワーキンググループを確立することである。そしてそのグループは、それぞれの行政機関における日常の調整や問題解決の責任を持つ。

どの行政機関が関わるべきか?

行政の組織化は、コムーネによって異なる。それゆえ、標準規則のそれぞれの規則に対して誰が責任を持つかは、コムーネによって異なる。それぞれのコムーネは、地元で選ばれた組織モデルから離れて、それぞれの規則に対する責任を関連のある行政機関に持たせなければならない。その規則が多数の行政機関を含む時は、互いに協力をしなければならない。その場合それら行政機関のうちの一つに、重要な責任の縄持ちをさせることがたいてい良いアイデアである。コムーネの行政構造次第で、それらの規則の責任はコムーネ議会の中の関連する委員会に分けられるであろう。

ユーザーと関わり合うこと

ユーザーと協力することは明らかに必要であるが、よく忘れられがちである。ユーザーを巻き込み、彼等の意見を聞くことは重要である。存在する問題を経験し、それらと共に生きていくのは彼らである。措置を良くするのはユーザーである。

過程が始まる時、ユーザーは徹底的に情報を与えられなければならない。プロジェクトに関する現実的な枠組みが与えられなければならない。そしてその取り組みの期間が明確でなければならない。行政には、市庁舎で話される言葉とはおそらく違った形でユーザーとコミュニケーションをとることが要求される。行政機関の一部分が前もってユーザーを知っており、彼らの知識や経験に耳を傾けることが重要である。

誰が「ユーザー」か?

障害を持つ人々を一つのグループにまとめることはできない。彼らは他の全ての人々と同様にそれぞれが異なっている。しかし障害を持つ人々に共通することは、機能の低下によって生じる必要性が考慮されなければ、大かれ少なかれ機能の低下によって、決まった背景や状況のもとで行動することが困難、または不可能となる。機能の低下は身体的、精神的なものまたはその両方が考えられ、その程度や期間も異なる。それと同様に、その程度や期間の補償の必要性も異なる。小規模で資力の小さい障害者グループを見落とさないように、それらの違いに目を閉じることが重要である。

他者との協力

障害を持たない人々と同じ条件下でアクティブな人生を送ることができる、障害を持つ人々の機会に関する一連の状況は、その他の行政機関や組織、私的な活動家にかかっている。それゆえこのプロジェクトを成功させるには、それらの活動家をも巻き込まなければならない。そしてそれら外部の活動家が、そのプロジェクトに携わっていると感じ、ポジティブな形で積極的に取り組まなければならない。他の関連する所に「市庁舎プロジェクト」である標準規則に従うよう圧力をかけることは、そのプロジェクトの実行を困難にする彼等の反発を生む危険を冒している。

それとは違って、その決定に関するポジティブなムードや意識をつくることができ、そして外部の協力パートナーを積極的に過程に取り込めば、その過程は自ら拡がり、コムーネの直接的な責任分野を超えて他の分野にまで影響を与えうるだろう。

コムーネには、以下の多くの協力パートナーがいる:ローカルの住宅共同体、スポーツ団体、ミュージアム。警察や救命ボートサービス。教会や集会所。地域のありとあらゆる国の施設−例えば職業安定所など。コムーネはEUのプログラムまたはEUのネットワークのいくつかに入っているのか?近隣のコムーネと協力しあう必要はあるのか?

それと同様に、例えば障害を持つ人々に対する病院での治療または特別教育や、リハビリテーション施設に関して、スタッツアムトと関わる必要がある。アムトの交通会社であるDSBや恐らく近場の港や空港に関しても考慮されなければならない。

そして、労働市場議会や社会調整委員会、アムトの協力委員会といった協力機関と関わることができる。しかしまた、民間企業との共通事項もあるだろう。それは例えば、商工会議所団体や地方新聞、医者、薬局、足療法士、理学療法士、特別な医師、歯医者、カイロプラクタ−である。外部の可能な協力パートナーはほとんど無数である。

準備

標準規則に取り組むというアイデアが出てきた時には、その過程が始まる前に徹底的な準備が行われなければならない。その最初の一歩の一つはしばしば、そのコムーネにはすでにどういった知識があるのか、また障害を持つ人々に平等の機会を与えるために、地元ではどういったことがすでに行われたのかを調査をすることであろう。

また、すでに取り掛かっている他のコムーネを横目でちらりと見て、彼等の経験から学ぶというアイデアもある。コムーネの最も重要なサービス提供の内容や程度、目的についてサービス化することは、個人的、家事的援助を含むサービスレベルの内容や程度の質を標準化するように、学ぶことができる。また健康プランを作成する際には情報が必要であり、ローカルプランや建築ルールをさらに学ぶことができる。

協力構造

確立された協力機構が結果の決め手となることがしばしばである。その協力が始めからあり、それが機能すれば、結果は非常に近くにやってくる。それゆえ、市庁舎内部の様々な委員会や行政機関との協力や、市庁舎や障害者団体、他の外部の活動家との協力を意味する、そういった協力構造を確立するために時間を費やし、考えを出すことは重要である。

コムーネの地方分権の施設には、彼等のフィールド内の障害部門に関してたくさんの知識を持つ人々がいることを忘れてはいけない。彼らをその取り組みに、個人的もしくは彼等の知識を引き出す形で関わらせることは有益であろう。それと同様に、彼らにプロジェクトの流れや結果を知らせることは、少なくとも彼らや彼等の施設には有益であろう。

コムーネの内部

プロジェクトの形はしばしば、標準規則の仕事に対して非常に適した形である。プロジェクトは、例えば行政機関のトップによる運営グループが確立される一方で、実際の日常的な調整の仕事は、最も関連のある行政機関の職員から成るプロジェクトグループによって運営されるといった形で組織される。プロジェクトグループの最も重要な仕事は、彼らの所属する行政機関にアイデアを売ることである。運営グループの主要な仕事は典型的に、それぞれの行政機関の優れた関係作りや、政治的レベルへの結びつきを確実にすることからなる。ユーザーはそのプロジェクトグループに入るのか、または彼らは形付けられた協力機関の外でパートナーとして働くのかを決めなければならない。

コムーネとユーザーの協力

ユーザーと関わり合うことは、地域の代表である全ての障害者団体との集会で話を聞く、また違う方法として、障害を持つ人々に彼らの意見を人に伝えるよう求めるという形でできる。その取り組みは、個人の問題を扱うことにならないように、一般的そして原則的なレベルで行われることが重要である。ローカルの障害者委員会を確立することは、継続的な協力をもたらす非常にポジティブな方法である。さらにそのような障害者委員会においては、コムーネ監督法 第17条 4項にならって障害者団体の代表者がコムーネ議会のメンバーや役員になることができる。高齢者委員会、不服申し立て委員会、そして利用者委員会は同じ機能を満たしてはいない。なぜならそれらの機関は全く異なった仕事を抱えており、またそれらの委員会には、他の目的や政治的関心を持った全く異なる非政府組織の代表者がいるからである。

障害者委員会はプロジェクトグループのパートナーや敵として、またはプロジェクトグループの取り組みの結果として確立されることができる。ローカルの障害者委員会は、成立の段階を超えて過程を進めていくべき典型的な例であろう。もし障害者委員会がユーザーだけで成り立っているのであれば、政治家や職員と対話を進めていくことは委員会の仕事となる。

対処プランの作成

プロジェクトグループの仕事は、政策決定のために準備される取り組みの対処プランの作成で終わる。その過程は、中間目標やより長期の目標をたてられるように非常によく分配される。

コミュニケーション

対処プランは、コムーネの施設や公的、民間の協力パートナーに、そして特にユーザーに広く伝達されなければならない。目標や、中間目標を達成するために考えられた方策は公開され、率直であることが重要である。分けられたプロジェクトを実行し、評価することができる、「一度とめて、集まって話す」という形をとることができる。一年または半年ごとにユーザーや職員、政治家との会議や集会をもつことは、期待や可能性を実行し、調整する機会を与え、プロジェクトグループの外部から今後の過程に関するアイデアを与えることができる。

これに加え対処プランや目標、プロジェクトの進行状況に関しては、より広く情報が与えられなければならない。それぞれのコムーネにある他とのコネクションに使用される、例えばローカルの報道機関といったチャンネルを使用することができる。

高くなるのか?

しばしば人は、経済的な結果に対する恐れによってそれぞれのイニシアチブを最初に妨害してしまう。また、経済はもちろん現実のどんな野心のレベルにおいても役割を果たす。全てのイニシアチブを一度に、または二度にわたって実行することはできない。コムーネレベルにおいて国連の標準規則を取り込み、そして実行することは時間のかかる過程である。もし、その目的を考えるのみ、またはその目的に対して目をふさぐのであれば、多大なコストをかけることなくその道に沿って大きく進むことができる。多くのイニシアチブは、アクティビティやプロジェクトを計画するときにはすでに障害を見込み、含むことに関している。それはしばしば、後で修正するより非常に安い。

一歩先を行く

パイオニアであるKoldingコムーネ

Koldingコムーネは1996年以来、全ての新しいイニシアチブに関して、22の標準規則を取り入れるという原則で国連の標準規則の実行に取り組んできた。私達はKoldingコムーネを訪ね、Koldingコムーネではどのようにその過程を始め、国連の標準規則に取り組んでどのような結果が出たかについて、技術部長のHans-Joergen Boegesoe、学校部長のIb Hansen、社会部長のLars Rasmussenにインタビューした。

「国連の標準規則に対する取り組みにおいて、Koldingコムーネでは今のような状態をスターティングポイントとした」とKolingの社会部長であるLars Rasmussenは言う。「それは将来のこと、そして全体を考えることである。その22の標準規則によって、私達は必然的にあらゆるところを回り、アクセシビィリティの考えを全ての分野に入れていく。それは、物理的なアクセシビリティや情報または教育に対するアクセシビリティであろうとなかろうとあてはまる。実践自体がその考え方を私たちの職員の日常生活に根付かせ、統合させる。それは時間がかかるため、国連の標準規則の取り組みもまた長くてつらい道のりであるが、その間結果が表れ、次第に様々な分野において取り組むことができる可能性が得られる。」

「今現在私達は学校の分野において、私達の学校を障害を持つ子供達がアクセスしやすいようにするために堅実な取り組みを行っている。」と学校部長であるIb Hansenは言う。「取り組みは、アクセシビリティセンターが作成した身体障害者、視覚障害者、アレルギー患者に対するKolingコムーネの学校のアクセシビリティの状態を基に、そのアクセシビリティの問題をシステム的に位置付けた後に行われる。次の大きな取り組みの分野は、飛び越えなければならない障害物や階段があるために障害を持つ人々にとって大きなバリアとなる、街中の歩道や道路にある建物をリニューアルすることである。」

独立した経済はない

国連の標準規則の取り組みは、後に変える必要がなく、事が最初から正しくあるようにと新しいイニシアチブにおいては障害を見込むことに3人の部長は賛成している。「私達は、標準規則の取り組みのために特別にプールされたお金を捨てたくないが、例えば建物を新しくする時は、建築物は全ての人々にとってアクセスしやすいものでなければならないという原則により実行する。」と技術部長であるHans-Joergen Boegesoeは言う。「アドバイザー援助に使用する費用はプロジェクトのコストに入らないので、余分なお金はかからない。一方標準規則の取り組みは、後に建てかえなくてもよいようにアクセシビリティを最初から考慮する。というわけで最初は高くなる。」

「しかし、標準規則の取り組みはもちろん無料でできることではない。そして時間がかかるため、職員の給料がかかる。しかし独立した経済はないし、またそれは間違っているだろう。」とHans-Joergen Boegesoeは言う。「私達が前もってする取り組みにおいて、環境やその他関連するものを取り入れるように、標準規則を取り入れる。」

政治的野心や個人的雇用

Koldingコムーネにおける標準規則の実行は、障害者団体の深い協力のもと行われた。Lars Rasmussenによると、障害者団体は常に過程の一部感じており、彼らは過去の過ちを避けるという現実的な見解から取り組みに参加した。障害者団体との協力は新しいことではない。過去にさかのぼり1980年代には、技術部門はコムーネの建築物に対する出入り状況の改善を提案していた障害者グループと協力体制をとっていた。

「国連が1993年に標準規則を承認した時、そのことは障害者団体との協力をコムーネの全ての団体に拡げる、歓迎するべき機会である。」とHans-Joergen Boegesoeは話す。二つの行政機関が話し合うことにより、国連の標準規則を取り組むことがマネージャーに提案される方向へと導かれていく。マネージャーからの推薦により、経済委員会は機関車を走らせることを決定する。

「しかしまたKoldingコムーネの政治に関しては、一般的に高い野心のレベルであり、障害に対する態度は重要であると示している。職員はそれを深く真剣にとらえており、具体的なイニシアチブをもって取り組む人々は個人的に雇用され、その過程を前へと進めてきた。」とIb Hansenは話す。

プロジェクトのマネージメントとユーザーとの関わり合い

一つは標準規則を実行する決定を下すことであり、また一つは実践的な取り組みを始めることである。Koldingコムーネでは、他のプロジェクトで使われている組織の形をコピーした。技術部門、学校・体育部門、社会・保健部門の部長達がそのプロジェクトの運営グループをつくる。運営グループは、職員をパラレルグループに指名した。彼らの仕事は、その実行を確実なものにする対処プランを作成することである。対処プランは、ユーザーと関わり合うという原則と取り組みは将来を見据えるべきであるという望みの上に立つ。

運営・パラレルグループを確立した後は、様々な分野においてコムーネと一緒に取り組むワーキンググループがつくられた。教育の分野、物理的なアクセシビリティ、文化/体育、雇用/家族生活について取り組むグループが確立された。最初、グループは関連する行政機関の代表者で成り立っていた。彼らの仕事は、彼らの分野におけるステータスを確立することであった。つまりそれぞれの分野において、Koldingコムーネが障害を持つ人々に対してどのようなイニシアチブを持っていたのかを明らかにすることである。それに応じて障害者団体が大きな会合に呼ばれ、ワーキンググループに参加するべきユーザー側からの代表者が選ばれた。ワーキンググループはそれ以来、行政機関と障害者団体両方の代表者で成り立つことになった。彼らの仕事は、それぞれの分野において更なる取り組みを進めるには何が必要かを見つけることである。さらに、コムーネにおける出入りの状況に関する問題を書き出すために、障害を持つ人々対する質問調査票を作成した。その調査は、アクセシビリティのワーキンググループが持つイニシアチブのいくつかのスターティングポイントをつくった。

「障害者団体はもちろん要求する−それが彼らの仕事である」とLars Rasmussenは言う。「しかし私達の経験では、その要求が協力に関するフォーラムで出された時、障害者団体がコムーネの計画作成に参加する可能性は非常に高くなる。コムーネ側の優先事項は、障害者団体側が重要だと考える課題を把握するためにも、障害者団体との話し合いの後に決まる。私達は義務付けられた障害者団体との協力を継続して行うことを大いに優先し、障害者団体は、何が経済的に可能かという現実的な状況を踏まえて取り組みに参加する。」

障害者委員会

1998年、Koldingコムーネはワーキンググループが作成した、彼らに関わる全ての事柄に属する資料が提出される障害者委員会を成立させた。「私達は、障害者委員会に問題を提出し、彼らは発言する機会を得、そしてそのような形で彼らは影響を与えていく。」とIb Hansenは話す。「私達は障害者委員会を成立させた理由は、新しい社会福祉法において、高齢者委員会と不服申し立て委員会を成立させることを法律で義務付けているからである。以前、障害を持つ人々が代表である社会的な消費者委員会があった。しかし現在、それは高齢者委員会と障害者委員会に置き換えられている。障害者委員会は、9人の様々な障害者団体の代表から成っている。彼らは身体的障害、精神的障害、聴覚障害、視覚障害を持つ人々の代表である。」

「今日私達は、ユーザーがワーキンググループと障害者委員会両方の代表であるという状況にいる。次に私達は、障害者委員会が国連の標準規則の取り組みにおいて中心的役割を担うという新しいモデルを見つけなければならない。そういうわけで問題となってくることは、ワーキンググループが引き続き障害者団体から代表者を得るかどうかである。−これに関しては、まだ答えが出ていない。」

一人一人と真剣に接する

「ユーザーとの協力は、一人一人と真剣に接するということである。」とIb Hansenは言う。「障害を持つ子供の両親が私達とコンタクトを取る時、彼らはもちろん、特別学校を選ぶに際して、どんな長所と短所があるのかという重要な情報を得なければならない。今、マルチハンディキャップの子供達のための水泳施設がある学校が2つある。障害を持つ子供の両親は、例え彼らが他の学校区域に属していて、自由に学校を選択できても、私達はすぐに全ての学校に同じような施設をつくることができないということを理解している。全てのお金をそれに使用するべきなのだが。」

ユーザーと関わり合うということはまた、障害を持ったユーザーのために情報をのせた資料を作ることである。Lars Rasmussenによると、障害をもつ人々向けの雇用に関するパンフレットを作成した。「私達は、何人かのユーザーにその資料が分かりやすいかどうかの意見を聞くために、それに目を通してもらった。それにより、私達はそれがアクセスしやすい情報だと信じていたが、常にそうとは限らないということを学んだ。私達はユーザーのアドバイスにより、様々な障害者グループにどのように情報を提供していけばいいのかについて知識を得た。」

組織との協力

Hans-Joergen Boegesoeによると、国連の標準規則の実行はまた、組織との更なる協力を意味している。「しばしば彼らは個人的または組織の取り組みにおいて、私達が始めるイニシアチブと関わっている。」とHans-Joergen Boegesoeは言う。「例えば、私達はKolding商業委員会と協力している。私達は歩行者道路に関してイニシアチブをとり、その道路にある全ての店の商品を系統立てた。店の商品が歩行者道路のあちこちに置いてあることは、多くの障害を持つ人々、つまり身体障害や視覚障害を持つ人々にとって大きな問題であった。そこで私達は、店が物を置いてもよい所をブロンズの釘で塗装し、印付けた。もし、その枠が守られれば、その歩行者道路を通して歩道が確実にあることになる。しかしユーザーから、店が常にその枠を守っていないという批判が出ている。商業委員会はメンバーに対し、規則を守るよう話をしなければならない。私達は、物事がうまく運ぶための「ちょっとしたやさしさ」を試みている。人が歩くことができるように街を組織することは、大きな前進である。それは同時に、歩行者道路が乳母車を押す人々にとってもアクセスしやすいものとなる。

アクセシビリティと美学

「物事を障害を持つ人々がアクセスしやすいようにすれば、それはつまり全ての人々にとって快適なものとなる。」とHans-Joergen Boegesoeは言う。「その考えであれば、私達は障害を持つ人々だけのアクセスビリティではなく、全ての人々のアクセシビリティを考える。」私達はまた、物事がただアクセスしやすく、機能的であるだけではなく、審美的な次元をもつようデザインされることに大いに取り組む。それは例えば、視覚障害や弱視の人々のための指示線があるベンチやトイレ、規則的に光る歩行者交差点である。」
「指示線に関する取り組みにおいて、私達は視覚障害や身体障害を持つ人々はそれぞれ異なる関心をもつことを経験した。」とHans-Joergen Boegesoeは話す。
「歩道に高さを出して指示線をつくると、それは車椅子使用者や歩行困難の人々にとってはバリアとなる。そのようなケースにおいて、障害を持つ人々の異なった関心の共通項を見つけることが、そして確実に審美的な次元を兼ね合わせることが私達の仕事である。人々がその問題を意識した時、それが可能となる。」

全てを一つのかさの下に

「国連の標準規則の取り組みはまた、私達がすでに障害の分野で実行していることを目に見える形にしたことを意味している。」とIb Hansenは言う。「学校の分野において、私達はフォルケスコーレに障害を持つ子供達がどれだけいるのか、そしてどのように運営されているのか調査をした。私達は常に、障害を持つ子ども達をフォルケスコーレに統合しようと取り組んでいる。この分野においては、国連がこの規則を承認したからといって最初から始める必要はない。」

「私達は以前、障害者政策と何らかの関係があるプロジェクトを運営した。以前の技術部門と障害者団体の協力体制は、物理的アクセシビリティのワーキンググループと障害者委員会の協力体制に置き換えられた。私達の指示線に関するプロジェクトは現在、国連の標準規則の取り組み下に属している。このように、私達が常に取り組んでいる事柄を同じかさの下に集めている。」

将来は姿勢の教化を

今後Koldingコムーネにおいては、学校や街中、そして交通システムに対する物理的アクセシビリティを進める取り組みがなされるであろう。「私達は、物理的アクセシビリティを踏まえたその取り組みを必ず管理できると信じている。」とIb Hansenは言う。「その他の取り組むべき分野として、姿勢の教化である。私達は、歩くこと、または聞くこと、見ることができない人々については何度も話をしてきた。しかし、心に障害がある人々に関してはどうか?私達は彼らに対しても寛容であるか?私達は、視覚障害を持つ人々を受け入れることはできるが、精神障害を持つ人々はどうか?私達は彼らを学校、または職場に統合することができるか?私たちが取り組まなければならないのがこの分野である。

Koldingコムーネにおいて、標準規則の取り組みに関して具体的な結果を見るまでには時間がかかることを学んだ。プロジェクトは、人が思うように常に早く進むとは限らない。しかしKoldingコムーネにとって国連の標準規則の取り組みは、止まるまたは終わることのない過程である。実行される全ての新しいイニシアティブが標準規則、そしてアクセシビリティに根付くであろう。その3人の行政機関の部長いわく、それが全ての実践である。

道具箱

障害を持つ人々に平等の機会を与えることに関する国連の標準規則は、全部で22の規則から成り立っており、それらは3つの主要パートに分かれる。最初の4つの規則は、障害を持つ人々ができるだけ広範囲にわたって障害を持たない人々と対等に生きることができるよう要求する根本的な条件に関している。次の8つの規則は、障害を持つ人々の社会参加に対し特に意味をもつ取り組みの分野に関している。また最後10個の規則は、障害を持つ人々に平等の機会を与えるという目標の、主に中央のレベルにおける実践に関している。今から行う説明においては、特にコムーネやアムトのレベルに関連する1から12の規則に限る。同時に規則の概要は50ページ(注意:本文ではページ数が異なる)で見ることができる。

規則1.更なる考慮を

各国は、障害を持つ人々や彼らの権利、ニーズ、支援、発展の可能性に対して更なる考慮を払うための手段を講じなければならない。

健康な人々が障害を持つ人々の状況に対し目を向け、理解をすることは、平等の機会を与える根本的な条件である。障害を持つ人々の特別な生活状況に対する市民の一般的知識としては、障害を持つそれぞれの人々を同じ市民として積極的に受け入れること、そして障害を持つ人々が他の市民と対等の立場で生活できることを確実にするためには、お金や人的資源が使われることを普通に受け入れることの両方が条件である。

そのような理解を得るために、コムーネは、障害を持つ人々の生活状況に対して更なる知識を深めるよう積極的に支援をしなさい。コムーネは、幼稚園や国民学校、文化教室等の様々な施設の働きを通じて、障害を持つ人々と持たない人々両方と親密なコンタクトを取ることができる。障害持つ人々に対して更なる知識を深めることは当然、多くの方法で行うことができ、また一番適切で、地域の状況や伝統にあった形で行うことも可能である。

以下のリストは、障害を持つ人々の生活状況にさらに注目し、知識を得ることができるイニシアチブのアイデアのいくつかである。

・コムーネは障害者政策をたてなさい。よい子供施設やよい学校、地域の文化サービス、病院における少ない待機者リスト、等のレベルにおいて、コムーネの障害者政策を目に見える確実に価値のあるものにしなさい。合理的な障害者政策は単に受身的な支出ではない。障害者政策を活気があり、効力のある地域環境やデモクラシーの一部にしなさい。

・コムーネは、意見者として前を進みなさい。コムーネは、コムーネが責任を持つ全てのアクティビティにおいて障害を持つ人々に対する考慮を示す、他の人々にとってのモデルでありなさい。当局や計画作成者、雇用者、集会や文化活動の主催者としてのコムーネの行動を通して、市民の一部が障害を持っているということに対し、コムーネは真に考慮していることが明らかである。コムーネの宣伝の例を挙げると、市民集会においては聴覚障害を持つ人々に対しワイヤーループがあり、また視覚障害、弱視の人々は市議会の資料をテープや光つきのものを得るよう申し出ることができる。またイベントにおいては、車椅子使用者用の設備がある。職に関しての注目すべきことは、障害を持つ求職者は歓迎される等である。しばしば可能性は前もって存在し、それらを挙げることは、その対象を注目させるよい方法である。

・コムーネは確実に、障害の分野でのイニシアチブを公にしたり、メディアに注目させるよう取り組みなさい。地方紙やラジオ、その他のものに、コムーネの新しい体育館や公園、遊び場等を障害を持つ人々が使用する可能性があるということを注目させなさい。

・ローカルの障害者委員会をつくることは、障害を持つユーザーと関わり合うことを確実にする良い方法である。というのも、そこでは、彼らの生活に影響を与える決定が下され、またそれと同時にその対象を注目させるよう支援することができるからである。今日、多くのコムーネがユーザー団体との協力体制をつくる上で良い経験をしている。ユーザーは、コムーネが提供するサービスを日常で経験しているため、非常に専門的なエキスパートである。そういうわけでユーザーとの親密な対話は、コムーネの資源を最善に活用するための優れた土台であり、そして必要なものの優先を支援するための良いスタートポイントとである。

全てのコムーネの学校や幼稚園において、障害分野に焦点を合わせたテーマ週をつくってみなさい。例えば子供達に、目を紐でふさぎ、棒を持って自分達の学校や図書館を見つけさせてみなさい。または、音無しでコミュニケートをとらせてみなさい。または、車椅子で街を「歩かせて」みなさい。

規則2.処置

各国は、障害を持つ人々が効果的な処置を確実に受けることができるようにしなければならない。

障害を持つ人々は一般的に、デンマークのヘルスサービスにおいて、この国の他の市民と同様に、確実な処置を受けることが保障されている。

処置に関するコムーネの重要な取り組みは、第一に、様々な部門の取り組みをさらに調整すること、また障害が起こった時、もしくは見つかった時、すばやくそれに対応すること、そして予防をすることである。

健康の分野において、コムーネが障害者政策に取り込むべき、より多くのテーマがある。

・ヘルスサービスの職員に対し、更なる教育を受けさせなさい。職員は、障害を持つ人々の状況に関する教育を受け、予防的な目を持って障害をできるだけ早く見つけ、楽にさせるようにしなければならない。

・アムトのヘルスサービスシステムとコムーネの取り組みの調整が可能な限りでうまく機能しているかを調査しなさい。

・事故や障害が原因の病気に対する過去の取り組みを徹底的に調べ、評価しなさい。調整され、首尾一貫したリハビリテーションの取り組みはすでに病院で実施されているが、言語療法士やソーシャルワーカー、社会教育者、家庭医、等と関わり合うという点で、それは一番良いといえることが多い。多くのアムトやコムーネは、いわゆる「ケースマネージメント」、つまり一人の人に対して、リハビリテーションで関わる多くの様々な専門分野のグループの取り組みを調整しなければならない点で、良い経験をしている。サービスが不足しているという問題はほとんどないが、その一方で実際にユーザーが適切なサービスを受けるという保証がないという問題が多い。

・予防の取り組みをさらに進めることはできるだろうか?それは例えば、交通の安全性や水の事故の予防、職場環境の改善、その他のイニシアチブに焦点を当てて行うことができる。社会や保健のセクターが多くの職場事故の原因であることはよく知られている。しかしそれは少なくとも重いものを持ち上げるからではない。これに関しては何とかしなければならない。

・保健や健康に関わる分野である病院や専門クリニック、歯科、理学療法や作業療法のクリニック、カイロプラクティック、足療法のクリニック、薬局等が、障害を持つ人々にとってアクセスしやすいかどうかを調査しなさい。それはまた、規則5にある物理的なアクセシビリティとも比較しなさい。また必要であればリストを作成しなさい。そうすれば、障害をもつ人々がそのリストからどこにいけばよいのか、またどのクリニックを選ぶべきかを知ることができる。

「1995年の建築に関する規則―アクセシビリティの要求について」(障害者平等センターにおいて無料で手に入る)を保健や処置に関わるコムーネの人々に送りなさい。そうすれば、彼らはアクセシビリティセンターのアドレスと電話番号を得ることができる。

規則3.リハビリテーション

各国は、障害を持つ人々に対し、彼らが最善の機能レベルに達し、自立ができ、それらを維持するようにリハビリテーションサービスの提供を保証しなければならない。

リハビリテーションを受ける機会は、障害を持つ人々が社会に完全参加することができ、平等の機会を得ることができるための決定的な条件である。リハビリテーションは常に、パートタイムの仕事や保護を受ける職、年金を割り当てられるといった特別な雇用制度が立てられる前に、試されなければならない。リハビリテーションのサービスを運営するのはコムーネである。サービスの最適な活用を保証するためのいいアイデアは、それらを注意深く調べ、政策にそのテーマを置くことである。

・コムーネは、リハビリを受ける人がどういう状況にあるのかを調査しなさい。彼らは仕事をしているのかまたは教育を受けているのか、又は彼らは疾病日割り手当てや早期年金を受けているのか?その調査を、どのような場合にリハビリテーションがうまくいくのか、そしてどのような場合にあまりうまくいかないのかを明確にする際に使いなさい。リハビリテーションが一人の人を職場に戻すことに充分ではない場合、それは何が原因だろうか?リハビリテーションのプランは非現実的であるのか?リハビリテーションが他の場合でうまくいく際の反対の原因は何か?コムーネは、システムにはどのような目的グループがあり、何から始め、リハビリテーションの後はどうなったか等を略記した「リハビリテーションのプロフィール」を作成しなさい。

・それと同時に、リハビリテーションの準備や評価の際にユーザーの声を聞き、彼らと関わりがあったかどうか評価されなければならない。ユーザーと関わることによって、彼らのニーズを知ることができ、以前のそして今のユーザーがリハビリテーションの取り組みについて思うことに対し解決の光を投じることができる。またそれは、新しいリハビリテーションの一歩につながる具体的なイニシアチブへと広がる。

・2リハビリテーションの取り組みは、ローカルの企業をターゲットにしなさい。そのような目標を立てることは、リハビリテーションが雇用という形で終結する手助けとなり、さらにその分野におけるコムーネのイニシアチブの後ろに、ローカルの支援をつくることができる。

リハビリテーションがテーマである日をつくりなさい。その時にはコムーネやアムト、必要があれば隣のコムーネがリハビリテーション施設や企業と共に参加する。

規則4.支援対策

各国は、障害を持つ人々の日常生活における自律性を高め、そして彼らの権利を活用することをふまえ、彼らに対する援助を含む支援対策を発展させ、提供することを保証しなければならない。

デンマークの障害者政策の根本的な原則として、公的機関は障害の影響に対し、無料で補償する義務がある。障害を持つ人々の家族は他の家族以上の負担を強いられてはいけない。それとは逆に、彼らができるだけ普通の生活を送ることができるよう支援されなければならない。

障害を持つ人々を平等に扱うもう一つの重要な条件として、彼らの特別なニーズをそれに関わるコムーネや行政が解決することである(セクター責任の原則)。通訳や補助器具を提供することは、必ずしも行政機関の仕事ではない。行政機関のそれぞれの部門は独自に、障害を持つ人々のニーズをその部門内で解決するという責任を持つ。セクター責任の目標を達成するために、コムーネ下で財政支援を分配する必要があるかもしれない。

新しい社会福祉法では、全体重視のアドバイスという原則さらに強調されている。それはまた、ケースワーカーの適性をさらに要求しているということである。

コムーネやアムトは、規則4の達成をさらに促進する方向性のイニシアチブをとりなさい:

・援助やその他の支援対策を提供する責任がある職員グループに対して、補足・継続教育政策をつくりなさい。そのような教育政策は、学校機関や技術機関の職員といった行政機関以外の職員グループをも含みなさい。コムーネに障害者委員会があれば、彼らと関わるという形でユーザーを委員会に連れて行くことはいいアイデアであろう。

・アムトの特別なアドバイスを提供する施設とコムーネのケースワーカーとの取り組みに関する共同政策をもつくりなさい。アムトの知識センターや補助器具センター、特別コンサルタント組織、コムーネが親密な関係を保つことは、大きな利点である。これにより、より優れたケースワークを考慮して、お互いの知識や経験を吸収することができる。

障害を持つ人々への支援対策に取り組む行政機関と施設の集会を開きなさい。そこで彼らはお互いを良く知り、それぞれの分野における取り組みについて話し合うことができる。

規則5.アクセシビリティ

各国は、社会における全ての分野において平等の機会を得るために、アクセシビリティは重大であると認識しなければならない。各国は、様々な種類の障害を持つ人々のために、
a:物理的環境をアクセスしやすくするという対処プログラムを導入しなければならない。
b:情報やコミュニケーションの機会を得ようと試みる取り組みをしなければならない。

a:物理的アクセシビリティ
物理的アクセシビリティは、障害を持つ人々を平等に扱うための決定的な条件である。普通の社会生活のなかで自立する、仕事する、参加する機会は、非常に大事なことであろう。しかし、もし障害を持つ人々が事の起こる所に行くことができなければ、それは意味のないことである。もし、物理的環境が整備されていなければ、障害を持つ人々は出歩くこともできないため、それは各人にとって非常に不自由なことであり、コムーネにとっても援助や補償といった不必要な支出を意味している。

コムーネは、物理的環境の計画作成に関して中心的な役割を果たしている。そして、コムーネの行政機関における全ての関連場所に物理的アクセシビリティを導入させる形でその役割を積極的に果たしなさい。それは計画作成の過程や物理的環境の構成や形成にあてはまる。技術部門のみがその役割を果たすのではなく、学校、文化、社会の行政機関といった他の機関もまた物理的な計画作成において、障害を持つ人々に対して考慮する場所に有利的な立場で実現しなさい。

コムーネは監督機関として、所有する建築物のみのアクセシビリティに関する責任をおってはいない。コムーネはまた、民間の建築物に対しても中心的役割を担っている。その責任はさらに、新しい小さな家に対する規則にも拡がっており、その中では民間の一戸建ての家に関するアクセシビリティを要求している。これによりコムーネは、新しく建築される際にはアクセシビリティを考慮する唯一の機会を得ている。もしコムーネがアクセシビリティの分野において、建築に関するケースワークや免除の実施に関するコムーネの政策への明らかな姿勢をも含む、アクセシビリティの政策をたてるならば、それは明らかなシグナルを送ることになるだろう。

・コムーネの建築物や公園の物理的アクセシビリティに関する対処プランを作成しなさい。そのような対処プランは、例えば今日、物理的アクセシビリティの問題がある場所を調査することから始めなさい。「アクセシビリティチェック」は以下の事を含む:
―アムツコムーネのデイケアや居住施設、学校、高校、成人教育センター
―ローカルの街環境:道路や歩道、横断歩道、公共トイレ等
―コムーネの建築物:市役所、アムツの公園、図書館、ミュージアムや文化施設、運動施設等
―病院やクリニック
―ローカルや地方の公共交通機関
―公的援助を受けている民間の施設や活動

物理的アクセシビリティはただ単に、車椅子利用者の出入りしやすい状況を保証することではないことを覚えておきなさい。彼らに加え、視覚障害や弱視、聴覚障害、発達障害を持つ人々やその他の障害者グループもまた、物理的環境に近づく際にはいくつかの特別なニーズを持っている。物理的環境を調査することにより、どのように物理的アクセシビリティを地域ごとに改善できるか、また保証できるかについて計画をたてることができる。

・その対処プランを今の環境におけるアクセシビリティを改善する土台として、また過去の過ちを繰り返さないように、将来の建築プロジェクトの土台としても使いなさい。

・コムーネの建築物のアクセシビリティを調査することにより、そのコムーネの居住者や旅行者に対し、どこがアクセスしやすい場所かといった情報のバックグラウンドをつくることができる。それにより、特別なアレンジメントが必要な障害を持つ人々が使用する上で、どのような可能性があるかといった調査が容易になる。

コムーネの建築物や公園におけるアクセシビリティのリストを作りなさい。そしてそれを図書館や観光案内所に置きなさい。

b:情報におけるアクセシビリティ
公的機関が市民に提供する情報を、障害を持つ人々が平等に得ることは、障害を持つ人々が平等の機会や民主主義社会における権利、義務を守る機会を得るための決定的な鍵となる。

コムーネは、ほとんどの公共図書館に対して責任をおっている。公共の図書館は障害を持つ人々がアクセスしやすいものであるといった、障害を持つ人々の情報を得る機会は重要である。今日、多くの図書館はすでに身体障害を持つ人々にとってはアクセスしやすいものとなっているが、その図書館が視覚障害や聴覚障害、発達障害、その他の読むことや コミュニケーションの障害を持つ人々もアクセスしやすいサービスを提供するまでにはまだ長い道のりがある。

公共の情報政策に関する委員会は、彼らの「時間通りの情報」というレポートの中で、情報政策のどのような原則も、国連の標準規則に従うように立てなければならないとしている。そのレポートにおいて、障害を持つ人々のニーズをも考慮に入れた適切な情報政策をどのように立てればよいかというインスピレーションを得ることができる。レポートの中にある推薦事項は以下の通りである:
・基本的な市民向けの情報、例えばパンフレットや公聴会の資料は、カセットテープ版もつくりなさい。

・情報の資料はフロッピー、または大きな字で印刷して配布しなさい。

・インターネットでのホームページや出版物を視覚障害を持つ人々がアクセスしやすいようにする。ちょっとした方法で、ウェブサイトが障害を持つ人々にもすぐに使いやすくなるようにしなさい。これは実際、少しのアイデア料しかかからない。

・公の集会においては、聾や聴覚障害を持つ人々に対して手話通訳やワイヤーループが提供される。

・障害を持つ人々全て、また居住施設に住む障害も持つ市民に行き渡るために、伝統的な方法より多くのものを使う。それは例えば、団体やクラブ、ホームヘルパー、医者、ソーシャルワーカー等である。

コムーネのホームページ「Bobby-test」(www.clh.dk)をチェックしなさい。そこでは、障害を持つ人々でもホームページを使うことができることを示している。

規則6.教育

各国は、障害を持つ子供や若者、成人には、基礎教育や初期教育、高等教育において平等に教育を受ける機会があるという原則を認識しなければならない。各国は、障害を持つ人々に対する教育が教育システムに統合されていることを保証しなければならない。

統合とノーマリゼーションの原則は、教育分野に関するデンマークの障害者政策において最も重要な要素である。これは、障害を持つ人々ができるだけその他の人々と同じ教育を受ける機会を得なければならないこと、そして教育は一般的に、与えられた地域で教育を受けているその他の人々と同じ場所で行われなければならないことを意味している。例えば、障害を持つ子供達は最後の解決法としてのみ特別学校を提供されなければならない。しかしながら聴覚障害や、聴視覚障害を持つ子供達は特別クラスや学校において教育を受ける必要がある。この目標は教育施設に具体的に要求しており、コムーネはこの規則を確実に守るよう努力しなければならない:

・ローカルの教育施設を見、それらが障害を持つ生徒を受け入れる準備ができているかどうかを検討しなさい。教育施設における物理的アクセシビリティは、統合やノーマリゼーションの目標が守られるかどうかについての必要な条件である。もし生徒や子供、成人が教育の現場に来ることができなければ、関係者ももちろん参加することはできない。生徒が教室に入ることだけでは十分ではない。それに加え講堂や音楽室、地理学室等に入ることも重要である。SFOはどうか?もしすでに教育施設を刷新、組織変えしなければいけないのであれば、この見地を取り入れることが比較的簡単である。

・同時に、その学校が特別なニーズを持つ生徒に援助を提供できるかどうかを調査しなさい。生徒の問題をその発生場所で解決することが最も簡単で早い方法であることがしばしばであろう。もしそれぞれの教育施設に、特別なニーズをもつ生徒に必要な援助を速くそして効率的に提供することができるシステムがあれば、それぞれの施設にとって大きな利点となるであろう。

・教育の資料を作成する際にはすでに、どのようにその資料をその他の関連媒介(大文字、カセットテープ等)に変えることができるかについて考慮しなさい。

・学校の教師は、特別なニーズを持った生徒を教えることができなければならない、そして補償の援助によって障害を持つ生徒を助ける可能性を知らなければならない。学校教育が始まる前に全ての障害について知る必要はない。ここで重要なことは、もし生徒に特別な問題があれば、教師がそれを発見することである。教師が特別なニーズを持つ生徒を教育することができるように、在職中の教育サービスを受けることも考えられる。

・特別サービスの調査を考慮する際に、両親と学校の協力は重要な要素であり、今までの経験が決定的である。それゆえ、その協力が適切に行われているかどうかを見張ることは良いアイデアである。

・障害を持つ生徒の中で、例えば高校からのドロップアウトやその他の教育サービスがその他の人々より多いかどうか、そしてもしそれが起こった場合にはその理由の調査をしなさい。それと同時に調査のバックグラウンドにおいて、障害を持つ生徒が教育システムの中でさらに進むための取り組みを促進できるかどうか考えなさい。

・同じように、特別学校において基礎教育を行った子供達が、他の人と同じ機会を持っているかどうか調査しなさい。例えば特別サービスを受けた子供達は、一般のコムーネの学校サービスを受けた子供達と同じように幼稚園クラスに行く機会があるか?後に、他で与えられた初期教育サービスとの比較に耐えるその生徒たちに対し、初期教育サービスはあるのか?

・学校において、教師や保護者委員会がそれぞれ特別なニーズを持つ生徒への姿勢について話し合うことはいいアイデアであろう。その話し合いは、学校が障害を持つ子供の両親からの申込を受け入れる前に行われることが重要である。それは、学校指導陣や教師、保護者委員会や両親との共同アレンジメントといった形で、またはそのテーマがすべての両親に取り上げられる前に、保護者委員会で教師達への提案として議論するといった順追いの形で行いなさい。

・最後に、障害を持つ成人に対する教育を忘れてはいけない。成人に対する一般教育やその他の教育は、障害を持つ人々が障害を持たない人々と平等に教育に参加できるようにされなければならない。

学校に対し、特別なニーズを持つ生徒に対する姿勢のバックグラウンドをつくる討論の提案をつくりなさい。

規則7.仕事

各国は、障害を持つ人々は特に仕事の分野において人権を活用する機会を持つという原則を認識しなければならない。都市や地方の両方で、彼らは労働市場における生産的で有益な雇用の機会を持たなければならない。

雇用を得る機会は、平等政策における決定的な要素の一つである。消極的なサポートは、社会経済そして人権の面からしても高い解決法である。

コムーネは雇用者として中心的役割を担う。多くのコムーネにおいて、コムーネ自体が最大の雇用者であり、アムトもまた地域の非常に大きな職場の一つであることがしばしばである。アムトやコムーネは、全ての人々−障害を持つ人々をも含む職員政策においては前を進みなさい。優れたモデルとして機能することで、可能性を民間企業に証明することができ、社会的責任を担うという企業へのアピールに、より大きな価値を得ることができるだろう。

 コムーネは当局としてもまた、ローカルや地方の労働市場における重要な関係者である。その関係で、障害者政策を立てる上で関わるべき多くのテーマがある。

・大勢の障害を持つ人々に職を与えるという目的で、地域の企業に対するコムーネのサービスを改善するためには何ができるか?コムーネは企業に対し充分に行き渡っているか?企業が行政機関の中に適切な人を見つけることは簡単であるか?その人達は、コムーネが解決するべきであるとされているアドバイスが必要な問題を解決するために、充分な教育を受けている適切な職員であるか?

・それと同様に新しい調整委員会において、障害を持つ人々に充分に焦点を合わしているかどうか見なさい。コムーネやアムトは、何か目的をもって調整委員会に参加しているか?調整委員会に入るまたは仕える職員に対して教育がされているか?

・地域の労働市場における障害を持つ人々の状況を見積もり、評価しなさい。これは予防の取り組みを含む。

・主要労働委員会やそれぞれの職場の労働委員会において障害を持つ人々の雇用に関する質問を取ることは一つのアイデアであろう。障害を持つ人々がコムーネの職場に雇用されるにあたって、指導陣や職員が今まで何をしてきたのか話し合いなさい。一人の職員が病気で長期間休む、または事故にあったとき、それはつまりその人が今までの仕事をこれ以上続けることができないことを意味するが、その際コムーネの職場はどうするのか?普通の環境で障害を持つ人々を雇用するにあたって、それぞれの職場は何をするのか?障害を持つ人々の雇用を支援する法律にある規則や可能性について充分な知識はあるのか?

・公の仕事の提供や下請けに関して、特別な状況にある職員の雇用義務を提供題材に入れることで、コムーネもまたより広範囲の労働市場において取り組みを促進しなさい。公的機関からの賃金補助がない特別な状況における雇用、パートタイムの仕事や簡単な仕事、または社会部門の仕事などである。

コムーネの職員政策を見なさい、そして障害者政策の目的が入った段落を、もしなければ作成しなさい。

規則8.収入の維持と社会保障

各国は、障害を持つ人々の安定した収入に対し責任を持ち、社会保障を提供しなさい。

障害を持つ人々は、障害を持たない人々とできる限り同じ収入を得る権利を持っている。給料であれリハビリテーションであれ年金等であれ、収入のレベル自体は当然国のレベルで決定される。それでもなおコムーネは、維持、リハビリテーションを通して障害を持つ人々が収入を継続して得ることができるようにしなさい。社会法に加えて、コムーネは積極的に障害を持つ人々の労働市場への平等参加を保証し、また個人の身体的、精神的機能を維持し、更には資格、リハビリテーションを提供しなさい。労働市場において障害を持つ人々を統合することは、彼らが普通の収入を得る、または維持するための確実な手段である。

 障害を持つ人々の中で普通の仕事を引き受けることができない人には、その当事者の能力を考慮した上で、資格の維持や取得を目指し、いろいろな形で一般の労働市場に更に統合されるようような仕事が提供されなければならない。もし、教育やリハビリテーションを受けているために一般の環境での雇用が不可能であれば、パートタイムもしくは簡単な仕事の決まりのもと、雇用を可能にしなさい。

・コムーネは障害者団体と協力し、障害を持つ人々に対する様々な雇用のためのアクティビティの効果を調査しなさい。そのアクティビティは、更なるアクティビティの発展と一般の労働市場におけるより良い統合につながっているか?

・予防的な労働市場の取り組みを担当する調整委員会は、コムーネの雇用政策に関してアドバイザーとして中心的な役割を担うことになっている。民間又は公的企業と協力して、障害を持つ人々の雇用の新しい方法を確立することができるか?

事故に焦点を当てなさい、そして彼らが職場にいつづけることができるよう特別な取り組みをしなさい。

規則9.家族生活と個人の保全

各国は、障害を持つ人々が家族生活に完全参加できるよう促進しなければならない。彼らは個人の保全に関する権利を促進させなければならない、そして法律は障害を持つ人々に対し、性関係や結婚、両親の価値に関して差別しないことを保障しなければならない。

 個人の保全に対する権利は、社会のあらゆる場所に当てはまる。障害を持つ人が特別な援助や支援を必要とする、しないに関わらず、その取り組みは個人の保全を尊重のもと、アレンジされなければならない。

 最新の調査によると、コムーネの社会行政の多くのユーザーが、悪い経験もしくは低く扱われたことがある。障害を持つ人々の多くはしばしば、様々な理由からコムーネの職員とコンタクトを取っている。そのシステムの中で会う人ができる限り個人の希望やニーズを尊重し、応じることを障害を持つ人々それぞれが経験することが重要である。

 それぞれの保全が尊重されるという最も重要な保障は、個人の生活に影響を与える決定において、当事者と関わることによって実現される。障害を持つ人々の生活に関係する決定が下される時には、常に彼らと関わらなければならない。これは個人的な計画におけるそれぞれの事項、さらには障害を持つ人々の個人的な状況に関わるコムーネやアムトの最高の計画における決定も当てはまる。

 障害を持つ市民が個人の保全が尊重されるということを経験するよう、コムーネやアムトが貢献するべき更に多くの方法がある:

・障害を持つ市民に直接コンタクトを取る職員は、充分な、そして時代にあった教育を受けたことについて考えなさい。以前は、障害を持つ人々の多くは「無料で」大きな施設に住み、食事や衣服、お小遣いを渡されていた。今日では、各人が支払われた年金を受け取り、家賃を支払い、そして何に自分のお金を使いたいかを自分で決定することができる。それは、障害を持つ人々にサービスを提供し、彼らを処置する職員に新たに要求される。道徳や役割の認識、サービス、よい「接客」というテーマは、コムーネのフロント職員の(在職中の)教育にも含まれるアクティブなテーマでなければならない。

・個人の保全を可能にする重要な条件は、住宅や交通、買い物等に関して個人的に選ぶことができる機会である。そのような機会をつくる方法は、全てのセクターがそれぞれの決まりの中で障害と関わり合うことに注意するようコムーネが取り組むことである。

・障害を持つ人々とその家族は、適切な情報やサービスと機会に関するアドバイスを受けなければならない。障害を持つ人々の生活に関わる決まりや優先において、障害を持つ人々や障害者団体と関わり合いなさい。サービスの公表や質の標準化は、サービスレベルについての公開された公的議論のよいスターティングポイントとなる。

・コムーネやアムトは、障害を持つ人々の両親であるという権利の支援に関して重要な役割を担っている。新しい養子縁組の法律は、障害を持つ人々は両親としての役割を担うことができないという偏見を解決し、また障害を持つ人々の両親としての能力を包括的に評価することに注目している。それに関わる職員は、その新しい法律や変更事項に関して充分な情報を得たのか?

・アジェンダにおける特別な介助を必要とする市民の、個人的な保全のために、コムーネは、これらの人々と直接コンタクトを取る職員のスターティングポイントとして、価値や目的の議論のイニシアチブをとりなさい。仕事の組織や力の分配、情報提供、その他の組織的問題もまた、そのような価値や目的の議論にとりこみなさい。

職員やユーザー、家族が視点を見つけ、発展させることができるように価値ある聴聞会をを開きなさい。

規則10,11&12.文化、余暇、スポーツ、宗教

規則10 文化
各国は、障害を持つ人々が統合され、他の人々と平等に文化活動に参加できるように保証しなければならない。
規則11 自由時間とスポーツ
各国は、障害を持つ人々が余暇活動やスポーツを行う平等の機会を確実に持つことに取り組まなければならない。
規則12 宗教
各国は、障害を持つ人々が社会において宗教に平等に参加できるような対策がとられるよう要求しなければならない。

障害を持つ人々は、身体的に、クリエイティブに、精神的に広がるために、他の人々と同じニーズを持っている。それを可能にする条件は、コムーネの中で文化・宗教活動が行われている場所、例えばシアターや図書館、ミュージアム、コミュニティセンター等が、障害を持つ人々がそこでのサービスや活動を利用する機会を持つようにアレンジされていることである。それらの活動へのアクセシビリティが広く定義されていることが重要である。それは例えば聴覚障害や耳の不自由な人々への通訳サービスやテープによる情報提供、また視覚障害や目の不自由な人々への点字をも含む。

スポーツや文化、宗教活動へのアクセスは、単に見ることができればいいという問題ではない。障害を持つ人々はまた、それらを積極的に実践することを必要としている。それゆえコムーネの文化・余暇政策もまた、障害を持つ人々が自らそれらの活動に参加する機会を考慮することが重要である。

・コムーネやアムトは、障害を持つ人々のスポーツ活動の機会を支援し、促進することに貢献しなさい。体育館や運動場を、障害を持つ人々がアクセスしやすいようにアレンジしなければならない。またコムーネはスポーツ団体やクラブに対し、障害を持つ人々が参加できるように機会を広げるよう要求しなさい。これは全ての人向けのサービスにおいてではなく、障害を持つ人々に他のサービスと同じレベルでの指導やトレーニングを提供しなければならない。

・一般教育や成人教育などの一般的なサービスは障害を持つ人々に対し、統合教育を通してまたは一般的なサービスが提供できない場合には特別なグループを設けて同じようなサービスで補足されなければならない。

・もし、ツーリスト情報に宿泊や文化活動に関する明らかな情報があれば、障害を持つ人々にとって大きな助けとなる。それにより、彼らはそのコムーネはニーズを持つ人々にとって魅力的かどうかを前もって決めることができる。

・建築物のみならず、公園や自然もまたアクセシビリティの面を含まなければならない。コムーネは、障害を持つ人々が地域にある自然に確実にアクセスできるよう取り組みなさい。それは例えば、国の海岸や森や自然の中の道、海辺の魚釣り場、公園などである。また、ツーリスト情報がこれらの場所へのアクセス状況をも含んでいたら良いといえる。

・文化、余暇を担当する行政機関の2、3人の職員がコムーネを散歩し、皆と同じ機会を目的にしてコムーネの文化、余暇サービスを見てまわる日をもちなさい。チェックリストを作り、そして毎回スイミングホールや映画館、教会等に来るたびに、この場所は聴覚障害や視覚障害、身体障害を持っていればどのような状況になるか自分達自身に尋ねなさい。

障害を持つ人々が参加する機会を持つ、コムーネのアクティビティやレストラン等に関するポジティブリストを作りなさい。

規則の要約

T.条件
規則1.更なる考慮を
各国は、障害を持つ人々や彼らの権利、ニーズ、支援、発展の可能性に対して更なる考慮を払うための手段を講じなければならない。

規則2.処置
各国は、障害を持つ人々が効果的な処置を確実に受けることができるようにしなければならない。

規則3.リハビリテーション
各国は、障害を持つ人々に対し、彼らが最善の機能レベルに達し、自立ができ、それらを維持するようにリハビリテーションサービスの提供を保証しなければならない。

規則4.支援対策
各国は、障害を持つ人々の日常生活における自律性を高め、そして彼らの権利を活用することをふまえ、彼らに対する援助を含む支援対策を発展させ、提供することを保証しなければならない。

U.取り組み分野
規則5.アクセシビリティ
各国は、社会における全ての分野において平等の機会を得るために、アクセシビリティは重大であると認識しなければならない。各国は、様々な種類の障害を持つ人々のために、
a:物理的環境をアクセスしやすくするという対処プログラムを導入しなければならない。
b:情報やコミュニケーションの機会を得ようと試みる取り組みをしなければならない。

規則6.教育
各国は、障害を持つ子供や若者、成人には、基礎教育や初期教育、高等教育において平等に教育を受ける機会があるという原則を認識しなければならない。各国は、障害を持つ人々に対する教育が教育システムに統合されていることを保証しなければならない。

規則7.仕事
各国は、障害を持つ人々は特に仕事の分野において人権を活用する機会を持つという原則を認識しなければならない。都市や地方の両方で、彼らは労働市場における生産的で有益な雇用の機会を持たなければならない。

規則8.収入の維持と社会保障
各国は、障害を持つ人々の安定した収入に対し責任を持ち、社会保障を。

規則9.家族生活と個人の保全
各国は、障害を持つ人々が家族生活に完全参加できるよう促進しなければならない。彼らは個人の保全に関する自分達の権利を促進させなければならない、そして法律は障害を持つ人々に対し、性関係や結婚、両親の価値に関して差別しないことを保障しなければならない。

規則10 文化
各国は、障害を持つ人々が統合され、他の人々と平等に文化活動に参加できるように保証しなければならない。

規則11 自由時間とスポーツ
各国は、障害を持つ人々が余暇活動やスポーツを行う平等の機会を確実に持つことに取り組まなければならない。

規則12 宗教
各国は、障害を持つ人々が社会において宗教に平等に参加できるような対策がとられるよう要求しなければならない。

V.実践
規則13 情報とリサーチ
各国は、障害を持つ人々の生活状況に関する情報の収集やアレンジメント、また障害を持つ人々の生活に影響を与えるバリアを含む全ての分野における幅広いリサーチを促進する最終的な責任を担っている。

規則14 戦略と計画作成
各国は、関連する全ての場合の戦略や計画作成において、障害の面が考慮されることを確実にしなければならない。

規則15 法律
各国は、障害を持つ人々の完全参加と平等の機会を実現するための取組みの法律化する責任を担っている。

規則16 経済政策
各国は、障害を持つ人々の平等の機会に関する国のプログラムと取組みに対する経済的責任を担っている。

規則17 取組みの調整
各国は、障害に関する質問を国家的な収集機関として機能する国の調整委員会またはそれに連なる組織の確立や強化の責任を担っている。

規則18 障害者団体
各国は、障害者団体が障害を持つ人々の国や地方、ローカルにおいての代表である権利を持っていることを認識しなければならない。各国はまた、障害者団体が障害に関する質問に対し、決定を下す過程でアドバイスを与える役割をも持っていることを認識しなければならない。

規則19 職員の教育
各国は、全てのレベルにおいて障害を持つ人々に対する計画作成やプログラムの確立、サービスの提供に関わる職員に対し、充分な教育を確実に与える責任を担っている。

規則20 国の追跡と標準規則の実行に関するイニシアチブの評価
各国は、障害を持つ人々の平等の機会に関する国家的プログラムやサービスの実行に対する追跡や評価の責任を担っている。

規則21 技術、経済協力
各国は、発展途上国と同様に先進国が発展途上国における障害を持つ人々の生活状況を改善するために協力をし、取組みを行う責任を担っている。

規則22 国際協力
各国は、障害を持つ人々の平等の機会を提供するための戦略に関する国際協力に積極的に参加しなければならない。

障害を持つ人々に平等の機会を与えることに関する国連の標準規則は、中央障害者委員会のホームページ(www.dch.dk) に全項が掲載されている。

▲上に戻る▲

資料翻訳の部屋・目次に戻る

トップページに戻る