スウェーデンの首相は、障害をもつ人がこの国でほかの人と同じような生活を送るのを、邪魔するものは無くすべきだ、と言いました。民主主義の権利を誰もが使えるように、社会を変えるべきです。このパンフレットを読めば、どうすれば知的障害をもつ人が参加しやすい会議を開くことができるかが分かります。
覚えておいてください!
「障害を抱える人たちの組織と協力することは、市の課題の一つである」(LSS法第15条7項)
知的障害をもっているということ
−私たちには、ひとりの大人としての人生経験があります。
−知的障害をもっているということがどんなものであるかは、私たちが一番よく知っています。障害をもちながら生きることがどんなものであるか、その経験を他の人々と分かち合えなければなりません。
−いつも障害を感じているというわけではありません。
−なにかを学んだり、理解するのに時間がかかります。
−読んだり、書いたりすることが苦手です。
−なにかを覚えておくことが苦手です。
−なにかを計画することが苦手です。
−情報を理解するのが苦手です。
−会議では、話についていくのが大変です。
参加しやすい会議にするのためのアドバイス
[会議の計画表]
会議の計画表は、十分な時間の余裕をもって送りましょう。
一番重要な議題を、計画表の最初にもってきましょう。
あまりにもたくさんの項目を計画表に入れないようにしましょう。
あまりにも長い会議になると、話についていったり、話されたことをを覚えているのが難しくなります。
それよりも何度も会議を開きましょう。
[送迎サービス]
会議の計画表には、会議を開く場所の住所を書いておきましょう。
会議がいつ始まって、いつ終わるのかを書いておきましょう。
これは、移送サービスを予約する人にとって大切なことです。
[コンタクトパーソン]
会議についての質問に答えられる担当者の名前と電話番号を書いておきましょう。
[情報]
会議までに十分予習することが大切です。
予習は独りでも、グループででもできます。支援者と一緒にすることもできます。
会議の前に知っておくべき情報を、会議の計画表と一緒に送りましょう。
できれば、会議の参加者にどんな情報が必要かを尋ねましょう。
[会議の場所]
会議場は、いろいろな障害をもつ人が来やすいところですか?
車椅子の人が中まで入ってこられますか?
会議場は、簡単に見つけられるところにありますか?
もしも何度も会議を開くのであれば、会議場はいつも同じところがよいです。
知的障害をもつ人は、場所を見つけるのが苦手です。
[会議の記録]
できれば、会議をビデオに撮るか、録音をしておきましょう。
読むことができない人にとって、会議の内容を思い出すのに便利です。
[支援者]
支援者がいれば、障害をもつ人は社会活動に参加しやすくなります。
たとえば会議や旅行に出かけるときに、支援者は重要な助けとなります。
[スピーチサービスと通訳センター]
会議を計画する人が、参加者のなかでスピーチサービスや通訳を必要とする人がいるかを確かめ、必要ならそれらのサービスを頼みましょう。
スピーチサービスは、読み書きや話すことが困難な人を支援します。
通訳センター、耳の聞こえない人を支援します。
[会議の後で]
会議記録をできるだけ分かりやすく書きましょう。
耳で聞ける形ででも、会議記録を作りましょう。
たとえば、朗読テープやコンピューターの音声ファイルのようなものがあります。
会議をビデオに撮ったり、録音をしたら、それを必要とする人にダビングしたものを送りましょう。
[議長として考えること]
あまりにも早く話してはいけません。
難しい言葉は、多くの人が分かる言葉に言い換えましょう。
参加者を順に紹介しましょう。
参加者の前に名札を置きましょう。
分かりにくいことや説明が必要なことがあれば、手を挙げて会議を途中で止められることを、参加者に伝えましょう。
会議の計画表を読みあげ、みんなが理解したかを尋ねましょう。
もしも支援者や通訳がいる場合には、会議中に支援者や通訳が本人に話を伝えられるよう、間をとりましょう。
最終的な決定を下す前に、(次のように)尋ねましょう。
−みなさん、分かりましたか。
−最後の決定に入ってもいいですか。
決定をした後にも、(次のように)尋ねましょう。
−みなさん、最後の決定は理解できていますか。
[分かりやすく書くためのアドバイス]
読むことが困難な大人にとっては、簡潔に、できだけ分かりやすく書かれた文章を読む方が楽です。
[アドバイス]
・一番大切なことを一番最初に書きましょう。
・はっきりと書きましょう。より簡単に書き直すことができないのであれば、その部分はとばしてしまう方がよいこともあります。
・一行につき、一つの情報を書きましょう。
・出来事は実際に起きた順番に描写していきましょう。
・能動態を使い、誰が何をしたかを書きましょう。
・たとえの表現を使わないようにしましょう。たとえば、「〜に目をやると・・・」などは、文字通りに理解されることがあります。
・長く、難しい言葉は避けましょう。
・省略表現は避けましょう。
・絵は単純なものにし、文章とくっつけるようにしましょう。
・ ピクトグラムや表象記号は文章の内容を強めるのに便利です。
(スウェーデン語資料からの翻訳は阪大ソーシャルサービス論大学院生だった朝田千恵さんです)