福祉人材とコムスン問題の部屋

福祉と医療・現場と政策・志の縁結び係&小間使いとして、2007.6.11、知人友人にお送りしたメール

"コムスン問題"と福祉人材についてお寄せいただいた「目からウロコ」の視点を、お裾分けします。

★コムスンも、そして、メディアも、ヘルパーを血の通った人間ではなく道具あつかいしているように見えます。
心優しく真面目なスタッフは、コムスンから独立してそれぞれの地域で事業所を立ち上げてほしい。
さいわい、在宅サービスは、施設と違って資本金は少なくてすむのですから。
介護は、地域に密着した対人サービス。六本木から指令するシステムは似合いません。
(内閣官房審議官 河 幹夫さんから)

★コムスンのお行儀の悪さに「いい加減にしてよ」と思っている事業者が多いと思います。社員へのノルマの厳しさ、官僚的社長の独裁的支配は、福祉サービス参入の資格は無いと思います。
「利用者が可哀想」との論調は、本当の問題点を覆い隠す事になりかねません。
一部利用者への同情から問題の根源を見逃してはならないと思います。
金儲け主義優先、法の盲点を潜り抜けようとする、コンプライアンスのかけらも無いホリエモンと同じヒルズ族、と私は見抜きます。他の真面目な事業者まで疑われては、やりきれません。
(福祉サービス会社の常務取締役 西園靖彦さんから)

★創始者、榎本憲一さんがコムスンを立ち上げたのは、社会的入院をなくしたかったこともありましたが、地域の民主主義を実現する手段でもありました。
老いと介護は、対立軸をこえて万人が共有できる課題と考えてのことです。
今回の事件が、介護保険ができたときの「思い」の原点に立ち返り、「量の確保一辺倒」から、「労働環境と質を重視する介護」に生まれ変わるきっかけになることを願っています。
(榎本さんとともに、かつてのコムスンを育てた松永喜久恵さんから)

【榎本憲一さんの遺言】

★阪大大学院在職中の2003年4月9日発信のメールに、コムスン創始者の榎本さんについて書いたものがありましたので、抜粋します。

-----------------------転送元のメール-----------------------
Date: Wed, 09 Apr 2003 01:41:28 +0900
From: ゆき <DZY00573@nifty.com>

こんばんわ
ゆき@阪大ソーシャルサービス論(元朝日新聞論説委員室)です(*^^*)
(略)
24時間対応のホームペルプに日本で初めて取り組んだ、榎本憲一さんが、3月20日朝、自宅で息を引き取られました。

昨年12月、榎本さんからいただいた「癌との戦いと共存の経過報告」には、6月末に大腸癌を切除したこと、そのときすでに肝臓に広く転移しており、「6カ月以上5年」の命と告げられたこと、7月には抗癌剤イレッサの服用を始めたことなどが細かく記されていました。
そして、「6カ月以上5年を精一杯闘いたいと思います」と結ばれていました。

1985年の朝日新聞に、「北欧には"寝たきり老人"という日常語がない、その秘密のひとつは24時間対応巡回型のホームヘルパーの存在」と書きました。
多くの専門家が、「そんなことをしたら経済がもたない」「北欧は、医学が遅れているから寝たきりになるような老人は生きられないのだ」と取り合ってくれませんでした。

本気で話を聞きにきてくださったおひとりが榎本さんでした。
88年、在宅介護の会社「コムスン」設立。92年8月、福岡市と志免、久山両町の15世帯に早朝夜間のホームヘルプを開始。
コムスンはコミュニティ・メディカル・システム・ネットワークの略。
「あのころはNPOの制度がなかったので、会社にするしかなかった」といっておられました。「5月17日の『えにしの会』を楽しみにしています」と2月の電話では張りのある声で話してくださったのに……。
亡くなる1カ月前に自ら書かれた「惜別の言葉」を添付させていただきます。

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惜別の言葉

榎本憲一

 74歳の人生を終わるに当たって、平凡な人間であった私に、多くの優れた方々が様々な激励と御支援を下さったことを深く厚く感謝申し上げます。
 私に示されたご厚意は、日本の社会保障の確立に向けて、微々たる力ではあれども、精一杯努力したからであろうと考えております。

 公的介護保険は、日本の高齢者・障害者に、おおいな福音をもたらすものであり、そのことを国民全体で、保険料という拠出において、それぞれが連帯と共生によって行うことは、日本国民の優しい英知であろうと思います。
 確かに、未だ保険給付は、額において不十分であり、質においても十分なものではありません。しかし、介護保険の充実により、質量ともに拡大していくことが可能であると思います。

 介護という学問の確立とその事業の進め方について社会福祉法人せいうん会の諸君とともに勉強を致したいと思ってまいりました。残念ながら、その時のないままに、ここに皆様にお別れの言葉を述べることとなりました。叶うことなら、この地に介護を極める学問の府を設立していただきたい。

 私は介護という仕事が、人を支え励まし、誇りある人生の結実に役立つことを信じております。
 私のようなものに示された皆様方の愛情を胸にいっぱい抱いてお別れすることを幸せと思います。さようなら。

平成15年2月22日

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【基礎的なデータを】

★6月6日、厚生労働省老健局が発表した 『株式会社コムスンの不正行為に対する対応について』は、WAMNET

★事件についての経過は、ヨミウリ・オンライン

で、まとめて、お読みになれます。

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