福祉人材とコムスン問題の部屋

スタッフ自らの経営で、コムスン創業精神の再びの開花を
初代厚生省福祉人材確保対策室長 宇野 裕さん 2007.7.8

 今回の事件で、コムスンで働いている人、コムスンのサービスを利用している人、共に大変心配されていると思いますが、このピンチをチャンスに変えようという河さんの提言、服部万里子さんと長寿社会文化協会、市民福祉団体全国協議会の行動に賛同し、これに呼応して多くの方々が行動されんことを期待します。

 榎本さんが、コムスンの経営権を折口氏に売り渡した経緯は知りませんが、折口氏率いるグッドウィル・グループが、コムスン精神を歪めてしまっていたことは、確かだと思います。折口氏の経営哲学はグッドウィルではなく、ゲットウィル、つまりお金儲けだったことは、早い段階から明らかになっていました。
 しかし、そうした中でも、コムスン創設以来の精神を引き継ぎ、24時間サービスを支えてきた多くの職員の方々がいることは、これからの介護サービスの未来を切り開いていく上で大きな希望を与えてくれます。是非、これらの職員の方々が、NPO法人を立ちあげ、再び、本来のコムスン精神を開花させていただきたく思います。

 従事者の皆さんが自ら事業を運営するメリットはいくつもあると思います。まずなんといっても、自分の理念に沿った介護事業をできることです。また、中間の管理コストを省くことで、労働条件を良くすることが可能となるでしょう。理念を同じくする事業者がそこここに立ち上がれば、連携して業務の効率化を図り、コストダウンをすることができると思います。
 もちろん課題も多くあります。特に、初期投資の資金をどうやって確保するか。
 これには、自分達で資金を出し合うことや、地方自治体などが行っているベンチャービジネスへの融資制度を利用することなどが考えられますが、サービスの利用者に出資して貰うこともできるのではないでしょうか。最近、病院で始まっているのが私募債という方法です。
 これは、例えば高額の医療機器を買う資金を、その病院に関係する50人未満の人に資金を募って、債権を買って貰うのです。50人未満とすることで、証券取引法の適用を受けず、比較的簡単に発行できる上、関係者に出資して貰うことで、地域とのつながりがより強固になるというメリットがあるからです。
 介護サービスの利用者には、生活費を切りつめている人が多いと思いますが、その一方で、将来不安に備えて、意外に多くの貯金をしている人もいるはずです。そういう人に、銀行に預ける代わりに債券を買って貰うのです。いまなら、まだ、利回りはそう高くする必要はありません。介護サービスの利用者にとっても、将来にわたって24時間サービスが受けられる保証が得られるわけですから、メリットは大きい!

 そして、団塊の世代の大量退職が始まっています。これらの人々の中には、企業で培ったマネジメント能力を、これからは金儲けのためでなく、社会に貢献するために生かしていきたいという人が沢山います。この人達に、ボランティアで手伝って貰うのはどうでしょうか。
 とりあえずの思いを書かせて貰いました。

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