福祉人材とコムスン問題の部屋
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朝日新聞2007.7.8社説より
職員の数をごまかして介護報酬を不正に請求したコムスンの事件は、背後にある重大な問題を浮かび上がらせた。
新しい施設や訪問介護の事業所を開いても、職員が集まらない。都市部では、とくにひどい。景気が回復しているここ数年は、福祉系の大学や専門学校を出た若者たちも一般の企業に就職している。
理由は、はっきりしている。重労働なのに報われることが少ないからだ。
介護サービスにかかる費用は、人件費も含めて国が決める介護報酬でまかなわれている。9割は保険料と税金から支払われ、1割を利用者が負担する。
生協を母体にした千葉市の社会福祉法人生活クラブは、老後の不安にも応えたいと11カ所で訪問介護サービス事業を展開している。事業費の8割は人件費だ。
いまこそ、介護に携わる人たちの待遇を抜本的に考え直さなければならない。といっても、介護報酬をただ上げればいいわけではない。報酬を人件費とそれ以外とに分け、人件費は削れなくする。あるいは一定の給与水準を保証する。そんな仕組みをつくる必要がある。
現在、約100万人が介護保険のサービス分野で働いている。お年寄りの喜ぶ顔を支えに頑張るといっても、いまのような低賃金で、将来の昇給の展望が描けなければ、限界がある。 |
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