福祉人材とコムスン問題の部屋

介護職員の待遇改善を 厚労省が都道府県、事業所へ指針

 厚生労働省は、介護サービス事業所で職員の過酷な労働実態が問題化していることから、都道府県や全国の事業所に労働時間や賃金についての監督・指導や待遇改善を求める「指針」をまとめた。長時間労働や低賃金は介護サービスからの人材流出や、入所者へのサービス低下につながっているとされる。26日の社会保障審議会福祉部会で正式決定し、関係先に通知する。

 「指針」では、訪問介護やグループホームなどの介護サービス事業所に対し
《1》週40時間労働制が適用されていない小規模事業所(19人以下)も同制度を導入する
《2》他産業の給与を考慮して、職員給与を適切な水準とする−ことなどを求めた。 都道府県や政令指定都市に対しては、介護サービス事業所で労働基準法が順守されているか、監督や指導を徹底するよう明記した。

 また、同省としても、事業所の人件費の原資となる介護報酬について「国民の介護保険料負担の水準にも留意しながら、適切な介護報酬を設定する」と、報酬引き上げに前向きに取り組む意向を示した。さらに、介護福祉士などの資格取得者を配置した場合に報酬で評価する仕組みや、人員配置基準を検討するとしている。

 同省の調査によると、介護サービス事業所の介護職員の給与(手当て含む)は月額で平均20万8000円(2004年)で、全産業平均と比べると12万円以上少ない。実労働時間は週平均37.6時間と、統計上は全産業平均より2.3時間長いだけだが、実際には待機や移動などの時間を含めると「拘束時間はかなりの長時間に及ぶ場合が少なくない」(介護関係者)。
 離職率も20・2%と全産業平均を2・7ポイント上回っている。

 「指針」ではこうした過酷な労働実態の改善を目指すが、あくまでも努力規定で、罰則がないため実効性を疑問視する声もある。

 現場からは「昨年の介護報酬の引き下げで、経営はぎりぎり」(グループホーム)との指摘も聞かれる。札幌地域労組は「劣悪な労働条件が、入所者の虐待につながった事例もある。現場は危機的な状態だ。介護保険制度そのものを見直す時期にきているのではないか」と話している。

 介護保険が適用される事業所で働く人は2005年で約112万人。高齢化で10年後にはさらに40万から60万人の確保が必要とされている。

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