福祉用具は、年をとっても、病気や障害をもってもなお、希望をもって生き生きとふつうのくらしを営むために必要不可欠な社会資源です。福祉用具国民会議は、必要な人が必要な福祉用具を活用できる介護保険制度と社会環境の構築を願い、国、地方自治体、介護保険事業者、メーカー、ケアマネジャーら、広く福祉用具に関わる機関や人々に対して、次の事項について提言いたします。
@厚生労働省は、必要な人が必要な福祉用具を利用できるよう努めてください!
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今年4月の制度改定により、要支援、要介護1の利用者は介護保険制度の中での利用が除外されます。9月末までは経過措置とし10月1日から新制度が適用になります。10月1日以降についても、必要と判断される場合には、利用者の状態に応じて利用が継続できる仕組みにしてください。
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特に末期がん、進行性疾患、呼吸器疾患、疾患により緊急一時的に必要な状態を有する場合など、特殊寝台がなければ在宅介護ができないときについては、主治医の意見を踏まえたサービス担当者会議での必要性の判断にしたがって、福祉用具の利用ができるようにして下さい。また、障害者自立支援法においても、福祉用具を必要とする人に適切に給付されるようにして下さい。
A厚生労働省は、福祉用具利用者の実態把握に努めてください!
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介護保険の福祉用具利用者の大半は、適切に福祉用具を活用することで在宅生活を送っています。このことは、福祉用具国民会議がケアマネジャーらを通じて直接利用者に調査した利用実態調査(別添)の調査結果をみても明らかです。経過措置終了に伴って、万一、福祉用具の利用が妨げられるようなことになると、その影響は大きく、当事者の苦痛は計り知れないものになります。
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そればかりか、要介護状態が進み、社会全体からみたコストが増大することになります。この調査報告書の内容を精査、ご検討戴くとともに、厚生労働省においても同様な調査を行うなど、継続的に実態の把握に努めるとともに、その結果を公開して下さい。
B市町村は、利用者の実態に見合った認定を行ってください!
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利用者の生活実態に見合った要介護認定や障害者介護給付費等認定を行えるよう、@認定調査員や認定審査会委員研修を充実する、A認定審査会委員が適切な審査が行えるように、利用者に関する必要な情報を提供する、B市民が理解できるように、審査基準について、わかりやすい開示をする、などの対策を講じるとともに、審査委員の開示も行って下さい。
C福祉専門職は協働して、適合ができる仕組みを構築してください!
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●ケアマネジャー、理学療法士・作業療法士、福祉用具専門相談員等、多職種協働による判断が活かされる形で、利用者の状態を評価し、状態像と利用環境に応じた適切な福祉用具を、利用者の意向にしたがって供給できる仕組みを構築して下さい。
同時に、福祉用具サービスに係る人たちは自らの資質向上に努めるとともに、関係機関は資質向上ができる方策を検討してください。
Dケアマネジャーは、全人的な観点からの支援に努めてください!
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ケアマネジャーは、単にサービスの配分を行なうのではなく、利用者の自立と家族介護の軽減を含め、全人的な角度から適切なケアマネジメントを行なって下さい。
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また、必要以上のサービス提供がなされる事が無いよう、費用の縮減にも配慮をするとともに、適切なサービス事業者の活用・育成に努め、不適切なサービス事業者の排除にも意を尽くして下さい。
E福祉用具供給事業者は、低廉で高品質なサービスを実践してください!
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福祉用具供給事業者は、利用者の自立支援と生きがいの向上をめざして、個別のニーズに合致する福祉用具を適切に供給する方策を講じ、低廉で良質な福祉用具の供給とサービスに努めるとともに、利用者を中心とするケアスタッフの一員として、利用者への適合性の確認や不具合の調整など、適切に安全に安心して利用できる支援を継続的に行って下さい。
Fメーカー(製造事業者)は、利用者の立場でよい製品を開発してください!
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福祉用具メーカーは、利用者の立場に立って、高機能で安全性が高く、かつ長期使用に耐える低廉で良質な製品を開発して下さい。
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また、身体の状態や生活機能に適合する新製品の開発についても幅広い観点から開発及び改善に尽力して下さい。
G厚生労働省、国土交通省はじめ関係省庁、関係機関は連携しながら福祉用具が有効活用できる社会環境を整備してください!
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福祉用具の活用がスムーズに行え、利用者の自立生活が促進されるよう、公共交通機関や公共建築物、道路、住空間などの社会環境を整備して下さい。
以上