雑居部屋の部屋

雑居部屋での暮らしは虐待です
社団法人 全国在宅療養支援診療所連絡会 事務局長 太田秀樹

あかの他人が同室で暮らす是非を問うことに、言いようも無い寂しさを禁じえない医師の一人です。たとえ夫婦でも寝室を別にする自由が与えられることが健全な社会だと思います。一体、世界のどの国で、このような議論が再び燃え上がっているのでしょうね。
監獄の雑居房と同じ水準で高齢者介護が論じられる国。
コメントのしようがありません。

入院は、介護の問題の解決ではなく、新たな問題の発生だということに、気が付いている市民は少ないと思います。
虚弱高齢者にとっての入院というイベントは、薬物ロック(身体抑制)⇒認知症増悪⇒寝たきり⇒廃用症候群⇒褥創⇒感染症⇒死亡
悪魔のスパイラルです。
意志疎通が困難で、チューブで栄養管理されている高齢者たちが死を待つ部屋は、雑居(多床室)で十分というロジックではないのでしょうか。

医療介入妥当性の尺度はQOLで、dateではありませんが、残念ながら、日本の高齢者医療は臓器別、疾病別です。そこに、QOLという概念はありません。
根源の問題は、「寝たきり老人」があふれる国だからです。
雑居部屋での暮らしは虐待なのですが、寝たきりを作ることが、医療が介入した虐待だと感じています。
これは、過激な個人的意見です。

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