優しき挑戦者(国内篇)
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あなたの町の「地域福祉計画」が、どこで、どう、つくられているかごぞんじですか?
ところが、多くの自治体は市町村合併でアタマがいっぱい。例によって申し訳ていどの「公募委員枠」を少々つくって「住民参加」の形を整え、誰も読まないような役所の作文でお茶を濁そうとしています。
■「理不尽な理由で辛く悲しい思いをしている人はいないか」■
こうした常識を覆し、目覚ましい動きをみせているのが、千葉県です。堂本暁子知事のもと、人々がわきたっているのです。
これを受けて、知事の諮問機関、「二十一世紀健康福祉戦略検討委員会」が「健康福祉千葉方式」を提案しました。二つの柱からできています。
政策提言の作業部会に、知的障害、肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、精神障害など様々なハンディを抱えたご本人や二十代、三十代の福祉現場の若者が委員として参加できるようになりました。
市町村の地域福祉計画を応援するのが県の「地域福祉支援計画」ですが、この策定した作業部会もその一つでした。「素案」と書かれた百四十ページの提言書に、当事者や現場の人ならではの知恵がつまっています。
おそらく、全国で初めてではないかと思われるのが、住民が行政と一緒に計画の策定に携わるだけでなく、策定「後」も日常的にかかわっていく仕掛けです。
そうならないように、健康福祉千葉方式は新しい仕掛けを組み込みました。地域福祉支援計画素案も、作成中の新千葉県障害者計画も、策定作業部会の活動は計画が完成しても終わらず、それどころか、その下に専門部会をつくって末永く、かかわり続けるという仕組みです。
いずれも従来のお役所仕事と真っ向から対決する、けれど住民のしあわせには欠かせない原則です。
■「そのままのキミがいい」■
骨子案、素案、完成版と一歩一歩すすめながら、九回のタウンミィーティングが開かれました。タウンミィーティングというと、役所が「無難な意見」「ほどほどの批判論」を述べる人物を指定して行う儀式が多いのですが、千葉県の場合は、すべて、実行委員会方式で進められました。半年がかりのブレーンストーミングと勉強会の中からプログラムがつくられてゆきました。
その結果、「動員」もしないのに、六千人が会場に駆けつけました。小地域で催されたミニタウンミィーティングに集まった人も加えると八千人にもなります。
毎回工夫をこらした演出です。十二月二十日、千葉市で行われた「千葉県とわがまちの福祉について語り合おう」の場合――
開会宣言は、知的なハンディを負った中学一年生です。家族と水泳ボランティアに付き添われて登場した伊藤大史くんは恥ずかしそうに「はじめます」と一言(写真A)。右に写っているお二人も同様なハンディがあり、発言が長引くとベルで警告する役割を見事にやってのけました。
市民の中にも無意識にあった縦割りが、半年かけて準備する間に、崩れてゆきました。タウンミィーティングが終わったいま、思いがけない人の縁が結ばれ、まちづくりの輪が広がっています。
「涙がでるほど感動しました。素晴らしいうねり、素晴らしいふれあいの場でした。現場の意見を聞きながら政策を立案することの大事さを改めて感じました」 (大阪ボランティア協会『Volo(ウォロ)』[旧・『月刊ボランティア』]2004年1.2月号より) |
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