優しき挑戦者(国内篇)
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◆いつのまにか、ボランティアに◆
白樺と梟がシンボルの、人口2万人たらずの石狩平野の当別町。偶然の機会から、ほんの数時間滞在したのは、ことしの夏のことでした。
写真@は、2日間の勉強会の裏方をつとめた北海道医療大学の学生、卒業生のみなさん。町をあとにするとき、フト思いついてカメラを向けたら、とっさにこんなポーズをとってくださいました。この茶目っ気も、町のあたたかさと関係がありそうです。 ◆ぬぐい去られていく偏見◆
昼のプログラムは型破りでした。
夜の部を盛り上げたのは知的にハンディのある町民でした。写真Bで手品を披露している田村準起さんの昼の仕事場は、地域オープンサロン「ガーデン」です。いまや、ドーナツづくりの名人として、欠かせぬ存在です。 ◆「いつのまにか」の秘密は◆
ここには、「1日コックさん」の日があって、料理自慢のプロやアマが腕を振るいます。
ただ、ここにかかわることで、それまで障害や福祉とはまるで縁のなかった人々が、いつしか、強力な理解者に変身してゆきます。 ◆社協とNPOが、仲良く机をならべて◆
ところで、社会福祉協議会とNPO、目標はよく似ているのに、互いの仲がしっくりいっていない、そんな例が少なくありません。
この2つのセンターが一つ屋根の下で仕事をするようになったのは、2006年度に策定された「地域福祉計画」の重点施策に「地域福祉ターミナル」が位置づけられたからでした。
「ターミナル」は、5つの機能をもっています。
写真Eは情報基地コーナーでの一コマです。左から社協の小國柑奈さん、NPOの穂刈真由美 さん、30歳の所長大原裕介さん。
育児の手助けが必要なとき、子育ての達人と結びつけ、場も提供するファミリーサポートシステムもあります。写真Fは、母の姿が見えなくなって泣き止まない赤ちゃんに、機転をきかせてポケモンの動画を見せたら機嫌がよくなった瞬間です。 ◆夕張にも広がる輪◆
この雰囲気に惚れ込んで、夕張では、「さぽーとセンター・シューパロ」が立ち上がりました。車がないので買い物にいくこともできないお年寄りたちのために食事をつくって1食500円で配る仕事です。主役は、精神病を体験した人々。シューは就職の就をあらわしています。
支える人が支えられる人から学び、支えられる人が支える側になる−−「当別発・ごちゃまぜ福祉」の輪は、次々と広がっています。 (大阪ボランティア協会の機関誌『Volo(ウォロ)』2009年11月号より) | ||||
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