福祉と医療・現場と政策の新たな「えにし」を結ぶつどいより
(2007.5.26(土)東京・内幸町のプレスセンターで)
川名:清水康之さんありがとうございました。私達一人一人が、人とどういう関係を結んでいくのが大事なのかという事を、今、伝えていただいたような気がします。
― 進行がんを告白、「がん対策基本法」制定に尽力した参議院議員 山本孝史さん −
山本:皆さんこんにちは。ご紹介いただきました、参議院議員の山本孝史です。きょうは治療日でしたので、遅れてきて、まず申し訳ありませんでした。
「えにしの会」のの半年ほど前、2006年暮れに、胸のがん、ここに胸腺と言うのがありますが、(胸元を指しながら)大人になったらなくなるそうなんですが、どういうわけか残っていまして、私の場合はそこにがんができ、それが他の臓器にもすでに飛び火していました。自覚症状は全くないのに、その時点で、「進行がん、ステージ4」と言われてしまいました。
川名:年金問題です。社会保障の専門家でいらっしゃるから、年金問題でインタビューさせていただいたんです(笑)
山本:どうやって民主党の年金案を納得してもらうかと言う事で、機会を作ってもらいました。
― 治らない患者を待ち受ける「落とし穴」 ―
山本:去年の医療制度改革では、医療費が足りないので、どこかでカットしようと。今、医療現場は深刻です。病院から勤務医はいなくなるし、地域でも診てくれない、夜はいない、というので、小児科、産婦人科をはじめとして、ほとんど全ての科で、医療崩壊状態になっています。「金が足らん、どこで使われてんねん」と言う一方で、「使うとこにはちゃんと使おうや」と言う事もあって、がん対策基本法はできました。超党派で皆が賛成してくれました。
その中にもう一つ、がん対策も入れてもらう。がん対策基本法も同じように、がん対策推進基本計画の策定があります。
― 個人に押し付けず、社会問題として捉えること ―
山本:清水さんが今、命の問題とおっしゃいました。私も、交通遺児の問題から命の問題にかかわって来ました。突然に交通事故で命を奪われてしまう、その理不尽な思い。私も兄を亡くしましたが、その事故の後で、家族みんなが思うのは、心の中にどこかぽっかり穴があいている、食卓の中で一つだけ椅子が空いている。その空虚さに耐えられない。救える命を救えない、次々死なれていくのを救えないのは、政治の問題やろうと。そんな思いで、本会議場の同僚議員の皆さんにお話しさせいただきました。
自殺問題も4年越しで関わりをしてきましたが、それは交通事故や病気の場合と違い、自殺した親を持つ子供たちの気持ちは、心がなかなか開かれないというか、子供たちもそれでものすごく苦労している、困っている。どうしても自殺は、個人的な問題にされてしまうけど、その向こうにある社会的な問題をちゃんと見ようという事で、法律で「対策をちゃんとやっていこう」と言うたわけです。
実は、武見敬三さんという、自民党のその時の厚生労働委員会の与党側筆頭理事ですが、私が野党側筆頭理事で、「武見さん、ずっと自殺者が3万人を超えている問題、なんとかならへんやろか」ということから始まったんです。参考人質疑だけで国会審議もなしに、一昨年7月の参議院厚労委員会で、「自殺対策の推進を求める決議」を上げて、それを後から法律が追いかけるような、極めて珍しいケースでした。去年、厚労委とは別の内閣委員会で、自殺対策基本法が成立しました。清水さんのライフリンクを初めとする市民団体との連携も、法律成立に大きな力を発揮しました。
がん対策基本法も同時に成立して、2つとも議員が提出した法律ですが、それが一国会で2つも成立するいうのは、たぶん珍しい。それに関わったというのは、「なかなか、これはええ仕事ができたな〜」と過去形で言っておりますが、そんなふうに思っています。
― 社会的・経済的に弱い立場の人にこそ、政治はある ―
人の命が軽んじられている社会状況、「生きていたい」という気持ちを否定する国の医療政策や福祉政策。
貧乏な政治家と言うか、私はお金には縁がありません。お金をもらっても元気になりませんが、マイクを持つと元気になりますので、こうやって話をさせてもらいました。これから先の仕事は、国もそうですが、都道府県で、知事さんら行政の皆さん、政治家の皆さん、市民の皆さんがご一緒にですね、様々な取り組みをされていかれる。福祉、医療などの問題にぜひ皆さんも参画をしていただきたい。
川名:山本さんありがとうございました。参院選の事が、そろそろ、色々な形で話題になっていますが、山本孝史さん、ちゃんと参議院選挙にも立候補していただけるので、まだまだ、ご活躍頂けると思っています。(拍手) |