自立生活の部屋

第1回障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会議事録
障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会(第1回)

日時:平成15年5月26日(月)14:30〜16:30
場所:経済産業省別館1014号会議室
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/05/txt/s0526-1.txt より)

 江草座長
 それではそろそろもう各論に入りつつあるわけでありまして、今日はただいまのところは当面のスケジュールということで、あらかたこういうところでよろしいかどうか、御賛成いただけますでしょうか。ありがとうございました。
 それではこの次に入りまして、その他という議題があるのですが、実はこれにつきまして大熊委員さんと中西委員さんが資料をお持ちになっていらっしゃるようでありますので、その資料をまず配っていただいて、順序として大熊さんに先にやっていただきます。それでは大熊さんお願いします。

 大熊委員
 時間を取っていただいてありがとうございました。お手元の資料は「福祉と医療・現場と政策をつなぐネットワークのホームページhttp://www.yuki-enishi.com/ に私が載せたものを、ミニコミの方が紙面化してくださったものを事務局でコピーしてくださったものです。なぜこれをお配りしたかといいますと、理由は2つあります。
 まず「地域支援の在り方」というこの問題を論ずる時に「スタンダードルール」、1993年に国連で採択された「障害者の機会均等化に関する基準規則」、世界では当たり前なこのルール、基準に照らしていくという筋を一本通していただきたいなというお願いです。障害福祉の分野で国際的な視野でも取り入れながら考えるべきではないかと思います。
 ここに写真が何枚か出ておりますクラウスという方はここにいまおられる当事者委員の皆さんよりもさらに重い、レスピレーター、いわゆる人工呼吸器をつけて全介助という人です。そういう人が恋愛をして、結婚をして、自分の家に住み、仕事をし、ということができる、それが国際的なスタンダードルールなのです。幸いなことにそういう方はそう大勢おられないので、ここに写真が載っているデンマークの例でいいますと、24時間全介助を受けて地域で暮らしておられる方は日本の人口にすると3,000 人ぐらいということになります。
 今年のお正月、ヘルパー派遣に上限を設けるとい方針転換をめぐって大騒動があったわけですが、中西さんとか太田さんとか大濱さんとかが願っておられることは、決して特別な贅沢ではなくて、国際的な基準からいったらごく当たり前のことを言ってらっしゃるんだということを認識していただきたくてこれを配らせていただきました。あとで読んでいただけると幸いです。
 日本ではここに今日いらっしゃっているような、特別な才能とかユーモアとか、魅力がある方がボランティアを魅きつけて在宅での暮らしをできる、パイオニアにしかそれが許されていない。そのようなことが、ちょっと国境を越えると、ごくごく普通な気が弱くて、とても中西さんみたいにハイハイと手を挙げたりできないような方にも保障されているということに御注目ください。さらに、そのような施策をとっているたとえばデンマークがそのことによって経済が傾くこともなく、日本よりずっとずっと景気も良いということに思いをいたしていただきたいと思います。
 もうひとつは、先程中西さんからお話のあった知的なハンディキャップをもっている方の検討会への参加についてです。これもすでにいろいろ試みられておりまして、資料の裏側に書いてございますが、知的なハンディキャップを持つ人が、お飾りの参加ではなく、本当に参画をするために、いろいろなやり方が工夫されています。御本人たち自身がそのルールを作ったりしています。ちょっと読んでみます。
 「私たちは読んだり書いたりすることが苦手です。覚えておくことが苦手です。会議で話についていくのが大変です。」「私たちが参加しやすい会議にするためにこう助言します。会議の前に知っておくべき情報を会議の計画表と一緒に送りましょう。一番大切なことを最初に書きましょう。はっきりと書きましょう。1行に1つの情報を書きましょう。」「議長は最終的な決断を決定を下す前に次のように尋ねましょう。みなさんわかりましたか。最後の決定に入ってもいいですか。最後の決定は理解できてますか」
 江草先生はベテランですのでそのようにやってくださっていますが、こういうふうにされますと、私のように年をとって頭がだいぶぼけてきたものも会議についていきやすいと思います。
 外国だけではなく、私が座長をしている千葉県の21世紀健康福祉戦略検討委員会でも知的なハンディキャップを持つ方を正式委員として入っていただいていますし、大阪とか北海道では、「1人だと気が弱くなって発言できないといけない」と、ペアで入っていただくということをしています。決してとんでもないことではないということです。
 身体障害と呼ばれる方の中にはいろいろな種類があって、その人全部を検討会に入れたら大変だという議論がありますが、知的なハンディキャップというのは、さまざまな身体障害の違いを超えて、ハンディキャップの種類が大きく違います。そういう方の意見を十分に聞き取る仕組みをここの中でお作りいただけるといいなということで、ここに載せてございます。
 それから私は大阪から来ますので、往復5時間かかってここへやって来て、2時間で終わっちゃうというのは、まあ大抵のお役所の検討会はそうなんですが、勿体ないような気がします。何か特別な事情がなければ一回集まったら3時間ぐらいは話すというのはいかがでしょうか。滋賀の方でも一つ座長をしているのですが、そこではもうそのぐらいの時間をかけるようにしております。
 それから御提供いただく資料ですが、紙だけではなくて、メールで添付ファイルでエクセルとかワードであらかじめ送っていただけますと、特にエクセルで送っていただくと自分なりにそれを整理して考えるということもできますので、そのようなことも要望させていただきたいと思います。
 千葉でやっている検討会では、メンバーどうしがメールで会議できるメーリングリストを作りまして、会議と会議の間でも始終やりとりをしています。会議に集まる時間は短くても、その間ずっとそのことについてみんなが熱心に語り合うというようなことができておりますので、いずれかの段階でそんなことも御考慮いただけるとありがたいというふうにと思います。時間をとっていただきましてありがとうございました。

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