卒論・修論の部屋

ハンディキャップを持つ人と旅行から見えてくるもの〜草薙威一郎さんのライフヒストリーを通して〜
地家 杏奈さん


 ここでは、日本の旅行分野でのノーマライゼーション推進に欠かせない人物である草薙威一郎氏にインタビューを行い、そのライフヒストリーを追う形で調査を進めたい。インタビューは、2001年11月12日大阪のとあるホテルで行った。
 ライフヒストリーとは、彼がハンディキャップを持つ人の旅行に関わってきた20年近くの間に、どのような出来事をきっかけにして、国や各種団体、企業やハンディキャップを持った人々が変わっていったのかを彼自身を通して考えるということである。そのため、草薙氏の略歴をここで簡単に紹介しておかなければならない。なぜなら、20年という月日には彼が置かれていた立場も変化し、その立場によって彼の発言力も変わらざるを得ないからである。つまり、彼がある一定の信念を持って発言したとしても、それがそのまま受け入れられない場合もあったということである。以下を参照されたい。

<草薙威一郎氏 略歴>
  • 1949年 埼玉県生まれ
  • 1973年 早稲田大学教育学部卒業
  • 1973年 株式会社日本交通公社・海外旅行虎ノ門支店
  • 1986年 同・たびたび営業部(現TRS【旅行関連事業】営業部)
  • 1988年 財団法人日本交通公社調査部主任研究員
  • 1994年 株式会社JTB経営改革推進プロジェクト調査役
  • 1996年 同・経営改革部ノーマライゼーション推進マネージャー
  • 2000年 同・本社営業部ノーマライゼーション推進マネージャー

 つまり、草薙氏は売上高日本一の旅行会社であるJTBに勤務される中で、ハンディキャップを持つ人々の旅行推進に邁進されているわけである。
 ただし、彼の活躍はそれだけに留まらない。「会社の仕事とは関係なく」さまざまな執筆活動もされている。それゆえに、以下に挙げたように、国や市民団体とのつながりも強く、だからこそ草薙氏の活動を追うことはすなわち、ハンディキャップを持つ人々の旅行の歴史を追うことになり、注目すべき課題も見えてくるのである。

<草薙威一郎氏の務める委員など>
  • (社) 日本観光協会国内旅行促進協議会障害者・高齢者旅行ワーキンググループ委員( 1994−1996年 )(運輸省)
  • (財) 日本障害者リハビリテーション協会機関紙編集委員( 1996−1997年 )(厚生省)
  • (社) シルバーサービス振興会・シルバーサービスに関する調査研究事業委員会委員( 1997年 )(厚生省)
  • (社) 日本旅行業協会(JATA)社会貢献委員会バリアフリー旅行部会副部会長( 1997年−現在 )(運輸省)
  • (財) 全国ホテル旅館振興センター・シルバースター旅館審査委員( 1998年−現在 )(厚生労働省)
  • (社) 全国旅館環境衛生同業組合連合会「人に優しい地域の宿づくり賞」選考委員( 1998年−現在 )(厚生労働省)
  • (財)交通エコロジー・モビリティ財団「接遇・介助教育プログラム検討委員会」委員(2000年)(国土交通省)
  • 国土交通省国土研究政策センター(旧建設省建設研究政策センター)「バリアフリー化による社会的経済的評価に関する研究会」委員( 2000年―現在 )(国土交通省)
  • (財)交通エコロジー・モビリティ財団「バリアフリーツーリズム勉強会」委員 (2000年―現在)(国土交通省)
  • 日本財団「ユニバーサルトイレ検討委員会」委員(2000年―現在)(国土交通省)
  • (財)都市農山漁村交流活性化機構「高齢者交流型グリーン・ツーリズム事例調査研究事業委員会」委員(2001年―現在)(農林水産省)
  • (財)高速道路技術センター「次世代の休憩施設のありかた検討委員会」委員(2001年-現在)(日本道路公団)
<草薙威一郎氏のその他の活動>
  • もっと優しい旅への勉強会代表
  • 日本社会福祉学会会員
  • 日本福祉文化学会会員
  • 福祉のまちづくり研究会会員
  • 日本トイレ協会会員
  • 空とぶ車イス・トラベルサロン相談役
  • 早稲田大学 総合研究機構「ホスピタリティ研究所」客員研究員(2000年―現在)
  • 立教大学 観光学部 非常勤講師(2001年―現在)
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